十二社の池の主

主に読書感想文を毎週日曜日に配信しています。

十二社の池の主

主に読書感想文を毎週日曜日に配信しています。

マガジン

記事一覧

山久瀬洋二「日本人のこころ Japanese Values and Virtues (ラダーシリーズ Level 5)」

この本は日本人の精神と価値観を深く理解するための貴重な一冊です。この本を通じて、私は日本人の心の中心にある「和」の概念、「美」の意識、そして「徳」の積み上げとい…

読書感想文「矢羽野隆男の『大学・中庸 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)』

矢羽野隆男の『大学・中庸 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)』は、古代中国の二つの重要な哲学書「大学」と「中庸」を解説し、その現代における意…

読書感想文 谷本真由美「世界のニュースを日本人は何も知らない5」

この本は、世界の現状について日本の視点から解き明かした興味深い一冊です。本書は特に、AI技術の進化がもたらす労働市場への影響、世界各国の厳しい現実、そして日本の音…

2

OJTソリューションズの「トヨタの片づけ」

この本は、非常にシンプルな方法で片づけを進めることができる点が魅力的です。 本が伝える方法は理にかなった片づけ方を提案しており、納得しながら実践に移すことが可能…

読書感想文「竜馬がゆく」司馬遼太郎

この本では、坂本竜馬の禅に通じる生き方が描かれています。彼は内面の静寂と集中を保ちながら、時代の変革者として動いていく姿が感銘を与えます。 本作を通して、地道に…

4

読書感想文「君の背中に見た夢は」(外山薫)

この本は、子育てを通じた親の自己表現とその果ての自己発見について描かれた作品です。 物語は子供たちの成績争いを軸に展開され、家族間の比較や競争が激しく描かれてい…

2

読書感想文 「巨人軍論」野村克也

野村克也氏の「巨人軍論」は、長い歴史を持つ巨人軍の伝統と革新のバランスについての洞察を提供する。本書では、伝統は組織の脊骨であり、新しい技術や革新は筋肉のような…

1

読書感想文:谷本真由美「日本では報道されない世界のファクト」

世界のリアルを見据えた警鐘 ー 谷本真由美の洞察 谷本真由美の「日本では報道されない世界のファクト」は、世界各地で起こっている事実を基に、リベラルな思想や政策がも…

4

読書感想文 清沢洌の「暗黒日記:1942-1945」

 この本は、戦時中の日本社会における厳しい現実と、戦争に対する著者の深い洞察に深く感銘を受けました。この日記は、戦争の悲惨さと、その中での個人の思索を率直に描い…

6

読書感想文 榎村寛之の「謎の平安前期-桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年」

日本の歴史において、奈良時代から平安時代への移行は、大きな転換点を示しています。榎村寛之の「謎の平安前期-桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年」は、この重要な…

10

読書感想文 冬木糸一【「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門】

『冬木糸一【「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門】』はSFが未来を思索する上での素晴らしい道具であることを強調しています。まず、SFは未来への洞察を…

6

読書感想文「未来職安」柞刈湯葉

「未来職安」は、仕事の自動化が進んだ未来社会を描いた作品で、その中で注目すべき点がいくつかありました。 まず、仕事が完全に「ロボットによる自動化」されるという未…

5

読書感想文「世界のニュースを日本人は何も知らない5 - なんでもありの時代に暴れまわる人々」谷本真由美

「世界のニュースを日本人は何も知らない5 - なんでもありの時代に暴れまわる人々」は、極端な思想に対する警鐘と、日本文化の底力に触れる興味深い一冊でした。 ますます…

2

【読書感想文】岡田斗司夫の「評価経済社会」

「ネット情報の過剰」が引き起こす新たな価値観とは?-著者が指摘する社会の変化とは この本は、現代社会が「モノ不足、ネットによる情報余り」の時代であることを指摘し…

3

読書感想文『完全新訳版 自助論(サミュエル・スマイルズ』

『完全新訳版 自助論』は、人間の働き方について深く考えさせられる一冊でした。まず、「人間働きすぎは良くないけど、怠けすぎはもっと良くない」という考えに共感を覚え…

1

読書感想文『倭国 古代国家への道(古市晃・著 』

『倭国 古代国家への道』を読んで、日本の古代史に新たな視点が開かれた感が強く残った。著者が指摘するように、日本の天皇も結局は争いに打ち勝ち、勢力を保った豪族だっ…

5
山久瀬洋二「日本人のこころ Japanese Values and Virtues (ラダーシリーズ Level 5)」

山久瀬洋二「日本人のこころ Japanese Values and Virtues (ラダーシリーズ Level 5)」

この本は日本人の精神と価値観を深く理解するための貴重な一冊です。この本を通じて、私は日本人の心の中心にある「和」の概念、「美」の意識、そして「徳」の積み上げという三つの重要なテーマについて考えさせられました。

まず、「和」の概念は日本人の心の中心にあるとされています。「和」とは、調和や協調を意味し、個人よりも集団の調和を重んじる日本文化の基盤となる考え方です。これは、家族や社会、職場などあらゆる

もっとみる
読書感想文「矢羽野隆男の『大学・中庸 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)』

読書感想文「矢羽野隆男の『大学・中庸 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)』

矢羽野隆男の『大学・中庸 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)』は、古代中国の二つの重要な哲学書「大学」と「中庸」を解説し、その現代における意義を伝える一冊です。本書を通じて、儒教の根本的な教えに触れ、自己の成長と人間関係の在り方について深く考える機会を得ました。

まず、「大学」について。この書は、なぜ人が学ぶのか、そして勉強の方法の大枠を説いています。「大学」は、個人の自

もっとみる
読書感想文 谷本真由美「世界のニュースを日本人は何も知らない5」

読書感想文 谷本真由美「世界のニュースを日本人は何も知らない5」

この本は、世界の現状について日本の視点から解き明かした興味深い一冊です。本書は特に、AI技術の進化がもたらす労働市場への影響、世界各国の厳しい現実、そして日本の音楽グループYOASOBIが如何にして国際的な成功を収めたかという三つの重要なテーマを掘り下げています。

まず、AIによる職業の自動化は、多くの人々にとって驚くべき変化となります。例えば、AIがライターやデザイナーなど創造的とされる職業ま

もっとみる
OJTソリューションズの「トヨタの片づけ」

OJTソリューションズの「トヨタの片づけ」

この本は、非常にシンプルな方法で片づけを進めることができる点が魅力的です。

本が伝える方法は理にかなった片づけ方を提案しており、納得しながら実践に移すことが可能です。

そのため、継続しやすく、毎日の生活に取り入れやすい内容となっています。実際にこの方法を試してみると、スッキリとした空間が生まれ、心地よい気分になれるのが大きな利点です。

整理整頓が苦手な人でも、この本の指南に従えば、効果的に片

もっとみる
読書感想文「竜馬がゆく」司馬遼太郎

読書感想文「竜馬がゆく」司馬遼太郎

この本では、坂本竜馬の禅に通じる生き方が描かれています。彼は内面の静寂と集中を保ちながら、時代の変革者として動いていく姿が感銘を与えます。

本作を通して、地道に目標に向かって努力することの重要性が強調されています。竜馬は小さな一歩を積み重ねることで大きな成果を上げ、目標達成へと進んでいきます。

また、彼の行動は口先だけではなく、実際の行動によって時代の流れを変えていくことを教えてくれます。この

もっとみる
読書感想文「君の背中に見た夢は」(外山薫)

読書感想文「君の背中に見た夢は」(外山薫)

この本は、子育てを通じた親の自己表現とその果ての自己発見について描かれた作品です。

物語は子供たちの成績争いを軸に展開され、家族間の比較や競争が激しく描かれています。この過程で、親たちは自らの価値や存在意義を子供の成績や成功に見出そうとする姿がリアルに描かれます。しかし物語の終盤にさしかかると、登場人物たちは「程々が良い」という大切な教訓を学びます。

この作品は、子育てにおける圧倒的な競争心や

もっとみる
読書感想文 「巨人軍論」野村克也

読書感想文 「巨人軍論」野村克也

野村克也氏の「巨人軍論」は、長い歴史を持つ巨人軍の伝統と革新のバランスについての洞察を提供する。本書では、伝統は組織の脊骨であり、新しい技術や革新は筋肉のようなものだと例えられています。これは、伝統が組織の基盤を形成し、革新がそれを動かし、成長させる力であることを意味しています。しかし、著者は伝統を無視して革新を行うことはできないと主張しています。つまり、過去を尊重し、そこから学びながら、新しい技

もっとみる
読書感想文:谷本真由美「日本では報道されない世界のファクト」

読書感想文:谷本真由美「日本では報道されない世界のファクト」

世界のリアルを見据えた警鐘 ー 谷本真由美の洞察

谷本真由美の「日本では報道されない世界のファクト」は、世界各地で起こっている事実を基に、リベラルな思想や政策がもたらす影響を深く掘り下げた作品です。本書は、リベラルな思想に傾倒し、その結果苦悩する人々への一種の福音書として書かれています。著者は、リベラルな思想によって将来が暗いとされる英国王や、ヨーロッパの政策を盲目的に模倣することの危険性を警告

もっとみる
読書感想文 清沢洌の「暗黒日記:1942-1945」

読書感想文 清沢洌の「暗黒日記:1942-1945」

 この本は、戦時中の日本社会における厳しい現実と、戦争に対する著者の深い洞察に深く感銘を受けました。この日記は、戦争の悲惨さと、その中での個人の思索を率直に描いています。

まず、著者は戦争の非人道性を強調しつつも、いったん戦争を選択した以上は、勝利を目指すべきだと述べています。これは、戦争の避けられない現実に直面した時の厳しい決断を示しており、読者に深い印象を与えます。

次に、著者は国民を騙さ

もっとみる
読書感想文 榎村寛之の「謎の平安前期-桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年」

読書感想文 榎村寛之の「謎の平安前期-桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年」

日本の歴史において、奈良時代から平安時代への移行は、大きな転換点を示しています。榎村寛之の「謎の平安前期-桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年」は、この重要な時代を深く掘り下げ、その変化の本質を明らかにしています。

奈良時代は、明治時代と同様に合理的な統治を目指す時代でした。この時代、日本は中国の強い影響下にあり、政治制度や文化の面で多くを模倣していました。しかし、榎村寛之はこの時代を単な

もっとみる
読書感想文 冬木糸一【「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門】

読書感想文 冬木糸一【「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門】

『冬木糸一【「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門】』はSFが未来を思索する上での素晴らしい道具であることを強調しています。まず、SFは未来への洞察を提供し、その力は非凡です。SFの世界を垣間見ることで、未来の社会を身近に感じ、リアルな想像力が湧き起こります。著者は、SFが単なる娯楽に留まらず、未知の領域へのドアを開く手助けとなり、我々に未来の可能性を考えさせると論じています。

もっとみる
読書感想文「未来職安」柞刈湯葉

読書感想文「未来職安」柞刈湯葉

「未来職安」は、仕事の自動化が進んだ未来社会を描いた作品で、その中で注目すべき点がいくつかありました。

まず、仕事が完全に「ロボットによる自動化」されるという未来において、人々は今まで以上にマイペースに生きることができると感じました。仕事に追われることなく、個々の時間を大切に使える状況が、新しい生活様式の一環となっています。

一方で、働く人は生産者としての存在であり、それ以外の人は消費者として

もっとみる
読書感想文「世界のニュースを日本人は何も知らない5 - なんでもありの時代に暴れまわる人々」谷本真由美

読書感想文「世界のニュースを日本人は何も知らない5 - なんでもありの時代に暴れまわる人々」谷本真由美

「世界のニュースを日本人は何も知らない5 - なんでもありの時代に暴れまわる人々」は、極端な思想に対する警鐘と、日本文化の底力に触れる興味深い一冊でした。

ますます、リベラル思想や保守思想が極端すぎるのはよくないというメッセージが際立ち、著者は中庸を提唱し、極端な立場から生まれる対立や分断を警告しています。この視点は、現代社会が多様性を受け入れる必要があることを考えさせられる次第です。

一方で

もっとみる
【読書感想文】岡田斗司夫の「評価経済社会」

【読書感想文】岡田斗司夫の「評価経済社会」

「ネット情報の過剰」が引き起こす新たな価値観とは?-著者が指摘する社会の変化とは

この本は、現代社会が「モノ不足、ネットによる情報余り」の時代であることを指摘しています。著者は、物質的な豊かさよりも情報の過剰が特徴となり、その中で人々が新たな価値観を形成していると論じています。

著書では、お金の重要性が相対的に低下し、代わりに人々がより重視するのは「評判」であると述べています。これは、ソーシャ

もっとみる

読書感想文『完全新訳版 自助論(サミュエル・スマイルズ』

『完全新訳版 自助論』は、人間の働き方について深く考えさせられる一冊でした。まず、「人間働きすぎは良くないけど、怠けすぎはもっと良くない」という考えに共感を覚えました。適度な努力と休息のバランスが、充実した生活を築く鍵だと感じました。

著者は、結局は真面目に働いて生きることが自立した素晴らしい生活をもたらすと主張しています。この視点には一理あります。努力には報われる喜びがあり、それが人を成長させ

もっとみる
読書感想文『倭国 古代国家への道(古市晃・著 』

読書感想文『倭国 古代国家への道(古市晃・著 』

『倭国 古代国家への道』を読んで、日本の古代史に新たな視点が開かれた感が強く残った。著者が指摘するように、日本の天皇も結局は争いに打ち勝ち、勢力を保った豪族だったことは興味深い。特に、今の天皇家の先祖である継体天皇に焦点を当てることで、歴史の中での天皇の位置づけがより明確になった。

継体天皇がそれまでの天皇を名乗った一族とは別の一族であったという事実は、日本の古代史が多様な要素や出自を持つ中で発

もっとみる