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読書感想文「矢羽野隆男の『大学・中庸 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)』

矢羽野隆男の『大学・中庸 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)』は、古代中国の二つの重要な哲学書「大学」と「中庸」を解説し、その現代における意義を伝える一冊です。本書を通じて、儒教の根本的な教えに触れ、自己の成長と人間関係の在り方について深く考える機会を得ました。

まず、「大学」について。この書は、なぜ人が学ぶのか、そして勉強の方法の大枠を説いています。「大学」は、個人の自己修養を通じて社会全体の調和を目指すことを教えています。特に、「明明徳」(めいめいとく)という概念が印象的でした。これは、自己の内面を照らし、徳を明らかにすることを意味します。この考えは、現代においても自己啓発やリーダーシップの基盤となりうるものであり、個々人が自身の内面を磨くことが社会全体の調和に繋がるという思想は、非常に共感できるものでした。

次に、「中庸」について。この書は、人として何が大事なのか、そして儒教の重要な教えが述べられています。「中庸」の核心は、過不足のないバランスの取れた生き方を追求することです。「中庸」は極端に走らず、中庸を保つことで、人生における困難や誘惑に対処するための指針を与えます。この教えは、現代社会におけるストレスや混乱の中で、冷静さと均衡を保つための貴重なアドバイスと感じました。特に、過剰な欲望や恐れに囚われず、冷静な判断を保つことの重要性は、日々の生活の中で意識するべきポイントだと感じました。

最後に、「大学」と「中庸」の教えを常に心の中に置いておくことの大切さについてです。これらの教えは、人生に迷うことがないための道標となります。自己修養と人間関係のバランスを重視することで、どんな状況においても冷静な判断と行動が可能になります。例えば、職場での人間関係や家庭内でのトラブルに直面した時、「大学」の明明徳や「中庸」の均衡の教えを思い出すことで、感情に流されず、適切な対応ができるようになるでしょう。

矢羽野隆男の『大学・中庸 ビギナーズ・クラシックス』は、古典の知恵を現代に生かすための指南書として非常に有益です。これらの教えを日々の生活に取り入れることで、より豊かで調和の取れた人生を送ることができると確信しています。

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