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【エッセイ】ぬか漬け〜赤かぶの葉茎〜[家庭料理](1397文字)

赤かぶの葉茎をぬか漬けにしました。

里の駅で、いつも楽しくお喋りする生産者さんから、
「赤かぶの葉を浅漬けにすると、苦味が何とも美味しい」
と聴いたので、夫が、その生産者さんにお願いして、赤かぶを葉付きのまま売っていただきました。

それを聴いた時、私は、正直のところ、
「困る」
と思いました。

かぶの葉なんて、たいていは病気か虫食いで取らなくてはいけないので、気持ち悪いし、面倒と思いました。

かぶの葉茎は、香りが豊かで美味しくて、私も好きですが、咄嗟に面倒という気持ちが勝ちました。

夫に伝えると、
「私がやるから」
とのこと。

「ならば良いか」
と安心しましたが、現実には、共同作業で、赤かぶの葉と茎の下ごしらえをしました。

かぶは、アブラナ科アブラナ属の越年草の根菜の一つで、アフガニスタン原産のアジア系と、中近東から地中海沿岸原産のヨーロッパ系があり、別名はカブラ・カブナ・カブラナ・スズナ(鈴菜・菘)・ホウサイ(豊菜)・ダイトウナ(大頭菜)等と多く、春の七草の一つ。

肥大化した根の部分・茎・葉を食用にします。

赤かぶは、根が大きなもので直径10cmを超える扁平な球形で、根の表皮が鮮やかな紅色、根を切った断面には白色に紅色のまだら模様が入り、茎が深紅色をしています。

そんな赤かぶの葉茎をぬか漬けにしました。

赤かぶの葉と茎をよく洗い、傷んでいる葉を茎から取り除いて、傷んでいる葉を捨てました。

太い茎。

筋が心配でしたが、茎自体は、ふっくら瑞々しくて、美味しそうでした。

赤かぶの葉茎をまとめて、ぬか床に、やや丸めるように、漬物がめの内側の形に沿わせて漬けました。

赤かぶの茎は、1本1本、ばらばらにしたので、小さいものが行方不明にならないように、取り出す時に、まとめて取れるように、ぬか床の上のほうに漬けました。

一晩置きました。

いつも楽しくお喋りする生産者さんからは、浅漬けと伺っていたので、一晩で取り出して、食べてみることにしました。

束にして取り出した赤かぶの葉茎のぬか漬けについたぬかを水で流したら、排水口のゴミ受けが詰まってしまいました。

作業が終わったら、掃除をしなくては。

赤かぶの葉茎のぬか漬けをまとめたまま、2.5cmくらいの幅にザクザク切って、盛り付け。

さて、お味は。

とても美味しかったです!

シャクシャクと歯触りの良い赤かぶの葉茎のぬか漬けが、口の中で細かくなるとともに、かぶ特有の上品な良い香りが、ふわっと鼻腔に広がりました。

凄い甘味でした。

とても甘かったのですよ、そこに、微かな苦味が加わりました。

この調和は素晴らしい!

心配していた筋は、全く気になりませんでした。

「美味しい、美味しい」
と繰り返しながら、夫と私は、赤かぶの葉茎のぬか漬けを一気に食べてしまいました。

漬かり具合は、ちょうど良い感じ。

淡い塩気で瑞々しくて、サラダ感覚の美味しさでした。

少しくらい、ごはんと合わせても良かったとは思いますが、ごはんの味の混ざらない、赤かぶの葉茎のぬか漬けだけの美味しさを、ひたすら堪能しました。

これは、葉の処理が少々面倒でも、また味わいたい味ですね。

次の食事でも、漬物がめの中の残りの赤かぶの葉茎のぬか漬けを食べてみましたが、普通の美味しい葉物野菜のぬか漬けのようでした。

あの絶妙な調和の味は、浅漬けだけのものなのですね。

赤かぶの葉茎のぬか漬け、とても美味しかったです。

ありがとう、ごちそうさまでした!

天野マユミ

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天野マユミ丨散文詩人丨文化財めぐりと素敵な日々
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