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一杯のかけそば 広島死闘篇 #パルプアドベントカレンダー2022
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これは、広島のある町であった、心あたたまるお話です。
今から何十年前も前の、昭和のある年の暮れ、大晦日の夜のこと。
昨日の晩から降った雪が、家並みを真っ白にしています。
暗い町をトボトボと歩く、三人の影がありました。
真ん中にいるのは背を丸めた女性、年は三十歳ほどでしょうか。
その両の手につないでいるのは、小学校低学年と高学年ほどの男の子です。
女性は小脇に、風呂
【短編】2月2日、夜、鬼やらい
「それで、息子さんが外に出ようとしたら、足の指先が切れたんですね?」
その青年は玄関の外から声をかけてきた。
「えぇ。そ、そうなんです」
母親は震えながらそう言った。平屋の一軒家、上がりがまちに敷いた絨毯の上にへたりこみながらも、腕には息子を強く抱きしめている。
「さっきも電話で伺いましたが、スッパリ綺麗に切れていて? もう血は出ていない?」
「えぇ、はい。あの」戸惑いながら母親は続ける。「数
「頭をむしり取る男(Man tearing off the head)」についてのレポート[抄訳]
【はじめに】
本記事はアメリカのユタ州立総合大学 Utah State Organized university に勤める知人から、私に送られてきたレポートの抄訳(=ダイジェスト版の翻訳)である。
レポートそのものにも序文がついていたが学術的で長いため、それに代わって私(訳者)による簡単な解説を、ここにまとめておきたいと思う。
その知人は、ごく最近の欧米の怪奇・心霊体験/都市伝説を研究して
【恐怖譚】ひっくり返る家
「俺も当時はヤンチャしてたんで、廃屋なんて、って馬鹿にしきってたんスけど」
この体験をしてからすっかりマジメになったというAさんは、そう語った。
「本当に、すごい体験をしました……」
山奥にポツリと建つ一軒屋。平屋建ての、和風建築の屋敷。
そこに入ると、「とんでもない目に遭う」という噂が地元で広まっていたという。
ところが。
その「とんでもない目」というのが、どういう目なのか皆目わか