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おもに小説が並んでおります。著作権フリーの怖い話「禍話」リライトから、奇ッ怪な作品、謎の雑文までいろいろある雑貨屋です。タメにはならないよ! ☆ブログに書いていた「禍話」リライトシリーズはこちらに移転しました。

マガジン

  • 拙著・禍話リライトまとめ 51~100 +α

    無料&著作権フリーの怖い話ツイキャス「禍話」から、私がリライトしたものをガーッと総まとめにしたマガジン。前の50話+αはこちら↓↓↓ https://note.com/dontbetruenote/m/mb0ae1767b460

  • 謎の文字列 ~雑~

    小説ではないものの置き場です。

  • 逆噴射小説関連

    「ニンジャスレイヤー」で有名な創作翻訳チーム、ダイハードテイルズが営む賞や小説講座にまつわる記事をぶっこんだマガジン。ほぼ自分用。

  • 短編集 ~温~

    単発小説とかそういうのの置き場です。あたたかみのあるお話(作者による主観)が置いてあります。

  • 拙著・禍話リライトまとめ 1~50 +α

    無料&著作権フリーの怖い話ツイキャス「禍話」から、私がリライトしたものをガーッと総まとめにしたマガジン。50話+番外編7話収録。51話からは、こちら↓↓↓↓ https://note.com/dontbetruenote/m/mdfe74858d008

最近の記事

【怖い話】 幽体離脱のあと 【「禍話」リライト108】

 幽体離脱という体験がある。  眠っている時に体から、半透明の肉体や意識だけが抜け出て、寝ている自分を眺めていたり、部屋を俯瞰で見下ろしていたりする。  そういう体験である。  幽体離脱の怖い話となると、 「布団の中にいる自分のそばに黒い影がいた」  とか、 「抜け出た自分を引っ張る手が」  などというのがよくあるパターン、なのだが。 「そういうのじゃないんッスよねぇ」  Xくんは言う。 「あっ、最初に言っておくとこれ、深く聞けなかったもんで、オチとかはないんですよ──そ

    • 【怖い話】 桃色の栞 【「禍話」リライト 番外編】

       実家のトイレの壁に、へこみがあったのだという。 「へこみって言うか、くぼみ? スペース? 花とか芳香剤とかを置いておける、正方形の小さい空間──わかります?」  とにかく、ちょっとしたモノを置いておける「へこみ」が、便座の横の壁にあったそうだ。  トイレットペーパーの替えを置いたり、お母さんが小さな造花を飾ったりしていた。  ある日の夜のこと、トイレに用を足しに行った。  電気をつけて、便座に腰をかける。  用を足し終わった後にふっ、とへこみに視線をやると、見慣れない

      • 【怖い話】 こたつの怪 【「禍話」リライト107】

         Yさんはこたつが嫌いなのだそうだ。  身体に合わないとか苦手だ、とはたまに聞くが、「嫌い」というのはあまり聞かない。  小さい頃に中にもぐって、のぼせちゃったりしたんですか? と冗談半分で尋ねてみると、ちょっとイヤな顔をされた。 「まぁそうとも言えるし、そうとも言えないというか」  よくわからないので、話を聞いてみることにした。  小学1年か2年の時の出来事である。  親戚のおばさんの屋敷に、両親と共に出かけた。  盆正月の挨拶ではない。親類がみんな集まるような、

        • 【怖い話】 遺影を持つ人 【「禍話」リライト106】

           怖い目に遭ったので、お酒をやめたのだという。  彼は街で呑んでいて、そこそこ酔っていたらしい。  店を出てふらふらと外を歩いている時に尿意をもよおした。  が、コンビニや公園──飛び込みで入れるトイレは周囲になかった。  しばらく歩いて探したが、運悪く見当たらない。  酔いで気が大きくなっていたため、 「しょうがねぇな……ま、いいか!」  と、ビルとビルの間に入った。  街路灯もない道で、大通りからの明かりで足元がかすかに見える程度だ。  しかしこういうことをやるには

        【怖い話】 幽体離脱のあと 【「禍話」リライト108】

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        • 🔴仮面ライダーオーズ ビヨンド ~王の帰還~
          3本

        記事

          【怖い話】 旅館の貼り紙 【「禍話」リライト新年号】

           場所も時期も明かせないため、都市伝説だと思ってお読みいただきたい。  どこかにある、小さな旅館の話だという。  フロントのそばに掲示板のようなものがあって、イベントやお知らせの貼り紙がしてある。  その中に一枚、指名手配状のような紙があるそうだ。男の顔写真が印刷してあって、下にごちゃごちゃと説明が書いてある。  大半の客は「あぁ、警察の人が貼っていくアレだな」と見過ごしてしまう。  しかし少し注意して見ると、素人がパソコンで作って印刷したものだとわかる。  説明書きに

          【怖い話】 旅館の貼り紙 【「禍話」リライト新年号】

          【映画】2023年に観た「怪映画」9選+おまけ【……?】

           今年も、たくさんの映画がありましたね。  手元にある映画館のチケットの半券を見ますと、記憶が甦ります…… 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 『シン・仮面ライダー』 『スーパーマリオブラザーズ ザ・ムービー』 『東京リベンジャーズ 2&3』 『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』 『君たちはどう生きるか』 『イコライザー THE FINAL』 『ゴジラ -1.0』 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』 『窓ぎわのトットちゃん』  などなど……  

          【映画】2023年に観た「怪映画」9選+おまけ【……?】

          【怖い話】 双子鏡の話 【「禍話」リライト105】

           髪をとても短くしていたのがきっかけだった記憶がある。  現在なら「ベリショ」という言葉もあって、女性が短髪にすることも珍しくないが── 「平成のはじめ頃でしたから、まぁ目立ちましたよね。私は単にカッコいいと思って短くしてたんですけど」  当時高校生だったWさんは、同じクラスの女子グループに目をつけられた。 「なにこの髪型ァ~って、汚いモノみたく指でつままれたりね。あとは教科書やカバンを──。まぁ、いろいろされましたよ」  Wさんの顔が翳る。よほどのことをされたらしい

          【怖い話】 双子鏡の話 【「禍話」リライト105】

          【怖い話】 おにぎりの家 【「禍話」リライト104】

           Aさんが、事故物件の内見に行った際の体験である。  Aさんは旦那さんと息子さんとの3人家族。  都会の方に引っ越しをすることになった。  お子さんはまだ小さいものの、将来のことも考えて少し広い家の方がよいだろう、と考えていたという。  広さだけではなく立地条件や職場との距離、周辺の環境に気を配りながら、いい物件がないか探していた。  ある不動産屋に出向いて、何件か家を回っていた時のことだ。その日は息子さんも連れていたという。 「次の家なんですけれども」  不動産屋の青

          【怖い話】 おにぎりの家 【「禍話」リライト104】

          真夜中の檻

           小型の護送車が横転していた。  夜の山道のど真ん中だ 。あやうく激突しかけた。私は車を降りた。ボロのコートではひどく寒い。  ヘッドライトに照らされた車体に近づいていく。前方が潰れていた。砕けたガラスが靴の下で鳴る。 「止まれ」と声がした。  車の陰から腕が伸びている。手には銃、テーザーガンと一目でわかった。 「抵抗するな。いいか」  私はあぁ、と答えた。  姿を現したのは、長い黒髪の青年だった。  病院着で、頭から血が垂れている。裸足だ。 「悪いけど、乗せてもらうよ」

          真夜中の檻

          【怖い話】 顔がグチャグチャな話 【「禍話」リライト103】

           本当に何もしていないのに、ひどいことに巻き込まれた話である。  平成の、一桁台の出来事だという。 「今はあんまりやらないんでしょうけど、当時は町内会とか学区で、お泊まりとかキャンプとかやってて」  Tさんは小学生の時の体験をそう語りはじめた。 「俺のところは団地単位でそういうのやってたんですよ。A棟、B棟、みたいな区切りでね」  小学4年の時に、住んでいる団地の子供たちで山に行くことになった。団地の役員の大人たちが引率する。  一泊二日、キャンプやレクリエーションを

          【怖い話】 顔がグチャグチャな話 【「禍話」リライト103】

          聖女の囁き

           暗い路地に逃げ込んだ直後に追いついた。手首を握りひねり上げる。 「知らねぇよ!」男はわめいた。「あんたの女なんか見たこともねぇって!」 「マリア……本当にこいつもか?」 ジグは聞いた。 「そうよ」  耳元で女の囁き声。 「こいつも、私を殺した連中のひとり」 「そうか」 「あんた、一人で何喋って」 「黙れ」  髪を掴んで顔面を壁に叩きつける。二度。三度。四度。男は真っ赤になって地面にずり落ちた。 「……あとは?」 「まだたくさんいるわ。あっちに……」  彼女の声は柔らかく、甘

          聖女の囁き

          【怖い話】 古着屋の別人 【「禍話」リライト102.5】

           古着屋巡りが好きなAさんが体験した、短くて、ちょっと変な話。  恋人と一緒に出向いた店で、いい感じのシャツがあった。 「おっ、これよくない?」 「いいじゃん。着てみなよ」  恋人にも勧められたので、店員さんに試着室の場所を聞いた。  中に入ってカーテンを閉める。  袖を通して頭をくぐらせて、さてどうかな? と鏡に目をやった。  鏡の中に、そのシャツを着た見知らぬ男が立っていた。  うわあっ!? と叫んでカーテンを開けた。外で待っていた恋人に思わず、 「お、俺がいない!

          【怖い話】 古着屋の別人 【「禍話」リライト102.5】

          にぎやかな葬儀【逆噴射小説プラクティス】

           公園のベンチで本を読んでいると、汚れたTシャツ姿のオッサンがそばにドカッ、と腰を下ろした。 「ふぅ~っ、暑いね!」  言いながら自分の横にトロフィーを置いた。木製の台座が血まみれだった。銀のプレートには「優勝!」の3文字。台座から屹立している金色の胸像の顔は、オッサン本人だった。  俺は文庫本をそっ、と閉じて、「暑いですね」と返した。  平日昼の公園、誰もいない。俺とオッサンのふたりきり。アヒルやカメの遊具が俺たちを見ている。 「君はアレだね! 若いのにイカンよ働き

          にぎやかな葬儀【逆噴射小説プラクティス】

          【おしらせ】年に一度のお祭り、「逆噴射小説大賞」がはじまるよ!【フェス】

           皆さん……「逆噴射小説大賞」というコンテストをご存じですか?  これはnoteで毎年開催されている、「小説の冒頭800字の面白さ」だけで競う、世にも珍しい賞です。  パルプ小説とありますが、「広義の娯楽小説」と考えてください。  SF、犯罪、青春、ホラー、バトル、時代物……上にある記事内の「結果発表」や「大賞作」などをお読みいただければわかる通り、多種多様な作品が集まっています。  主催はニンジャスレイヤーでおなじみ、今年はTRPGブックも発売した創作/翻訳チーム「ダイ

          【おしらせ】年に一度のお祭り、「逆噴射小説大賞」がはじまるよ!【フェス】

          【怖い話】 床下の仏壇 【「禍話」リライト102】

           同じ学年だが、年が3つ上の友人がいたという。 「留年したのか浪人したのかは、ついに聞かずじまいだったんですけどね」  白井くんはその「年上の同級生」、高山さんについてこう語った。 「まぁ、人生の先輩ってやつですから俺らは敬語で。高山さんはタメ口で話してました。でも年上風を吹かせることもなく、」  いい人ではありましたよ。  と白井くんは言った。  高山さんはとても真面目な大学生だったらしい。  ダルいとか面倒だという理由で講義を休んだことはなかった。  廊下や講堂

          【怖い話】 床下の仏壇 【「禍話」リライト102】

          【怖い話】 据え置き冷蔵庫 【「禍話」リライト101】 

           お得さに釣られると、かえって損をするかもしれないという短いお話。  大学に合格したAくんは、ひとり暮らしのためにアパートを探していた。 「えっと、大学に近くて、駅とかコンビニにも近くて、あと広さがあって、綺麗で、家賃の安いところを探してたんですけど……」  そんな都合のいい物件はない。  うまいこといかねぇなぁと思いつつ、「家賃が安い」を第一条件に色々と巡った。  あるアパート、一部屋空いているというので内見に出向いた。 「こちらですね~」  不動産屋がドアを開ける

          【怖い話】 据え置き冷蔵庫 【「禍話」リライト101】