パルプ小説

ハントマン・ヴァーサス・マンハント/第2章/第1節/「月の砂漠と呪いの血統」/前編

(まるでデコボコで石だらけな今までの第1章は以下のリンクから)

砂漠、砂塵、砂嵐。世界には砂の海だけがあった。照り付ける日差しも、喉を焼く渇きも、大切にしていた筈の荷物も、自分の記憶も、何もかも全てを何処かへ置き去りにしたまま俺の体は砂漠に飲み込まれつつあった。苦痛は無かった。そこには自分に対する恐怖だけがある。死の直前に自分が何者であったか思い出してしまうことへの恐怖。それは生きることへの執着

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カササギは薄明に謡う 【17,18】

全21シークエンスを11日間にわけて連載します。
<2,800文字・読むのにかかる時間:6分>

前回

【17】

「遮蔽物を利用しろ!」
 SDIRの隊員たちは銃撃をしつつ、包囲を広げて後退してゆく。校庭の外縁に沿って遊具が並んでおり、各々、そこを目指している。
「来る!」
 瑠華の言葉で俺は視線を戻した。振り上げられた触手が二本、こちらに落下を開始するところだった。俺は左足を踏み込み、いった

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【ホラー連載】ココカラダシテ 第一顔

ゴッゴゴゴ。ゴン。
 微睡みの中、聞こえてくる。
 ゴッゴゴゴ。ゴン。

 叩き、引きずり、唸るようなあの音が。

 ゴッ。ゴッゴゴゴ。ゴン。ゴウン。
 ゴッ。ゴッゴゴゴ。ゴウン。

 寄り集まっていく。部屋に広がる闇が。のたうっている。蠢いている。這いずっている。

 ゴンゴ。ゴッゴゴゴ。ゴウン。
 ゴッ。ゴッゴゴゴ。ゴンゴ。ゴ。

 蟲のようににじり寄ってくる。体にまとわりついてくる。体液のよ

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やったぜ!
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死闘ジュクゴニア あとがき

ネタバレだらけなので、
本編未読の方はお気を付けください。

そう、あれは2018年の終わりが見えてきた頃だった。

何気なく第一回逆噴射小説大賞に参加したしゅげんじゃは「あれ。小説書くのってめちゃくちゃ楽しいな……?」と創作の喜びに目覚めた。そして逆噴射先生の教えに従い、まずは一本、物語を仕上げることを目標に掲げたのだった。

そうして始まったのが「死闘ジュクゴニア」の連載だった。それから約二年

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やったぜ!
16

【ホラー連載】ココカラダシテ 目次

毎週火曜日19時に更新していきます。

陳野洋平は悪夢を見る。

ココカラダシテ 第一顔
ココカラダシテ 第二顔
ココカラダシテ 第三顔
ココカラダシテ 第四顔
ココカラダシテ 第五顔
ココカラダシテ 第六顔
ココカラダシテ 第七顔
ココカラダシテ 第八顔

顔。

やったぜ!
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東のエデンとエデンの東:新帝都カルイザワの章

さて、新帝都の森に潜む危険といえば何だろう?まず第一に思い浮かぶのがオオカミの氏族だ。彼らは強く、賢く、そして気高い。自らの縄張りに足を踏み入れる人間には容赦なく襲い掛かるであろう。第二に、サルの一族。どこから調達したものか、剣や槍、弓までも使いこなす恐るべき狩人であり、厄介な略奪者でもある。オオカミの縄張りに足を踏み入れ、小競り合いを起こすなどは日常茶飯事だ。そして最後に第三の脅威。それが我ら人

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カササギは薄明に謡う 【15,16】

全21シークエンスを11日間にわけて連載します。
<2,800文字・読むのにかかる時間:6分>

前回

【15】

 一瞬手を止めた自衛官がいた。弾丸を放った張本人だろう。だが、彼は少年を一瞥しただけで戦闘に戻った。
「ヒロト!」
 瑠華が左手で少年を抱きしめる。
 俺も一歩踏み出したが、そこで動けなくなった。
 媒介者が空気を振動させたのだ。それは雄叫びそのものだった。
 下腹部のあたりから紫

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カササギは薄明に謡う 【11,12】

全21シークエンスを11日間にわけて連載します。
<3,300文字・読むのにかかる時間:7分>

前回

【11】

 校庭の端に、いくつかの遊具が並んでいる。すべり台、シーソー、ブランコ、雲梯、登り棒。ヒロトは駆け出すようにして、ジャングルジムに向かった。そして金属棒に手をかけてから、わずか数秒で最上段に腰掛けてみせた。
「速くない?」
 瑠華はまだ二段目に脚を掛けたままだ。
「毎日登ってたから

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カササギは薄明に謡う 【9,10】

全21シークエンスを11日間にわけて連載します。
<2,800文字・読むのにかかる時間:6分>

前回

【9】

 ヒロトの家は小学校からすぐの場所にあるそうだ。通学時間が徒歩3分なのでギリギリまでテレビを観られて同級生に羨ましがられたらしい。無理もない。こんな田舎では、40分かけて歩いてくる生徒もいるはずだ。

「ちょっと待って、ここを通るの?」
 俺たちがいるのは、農道というより林道だった。

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カササギは薄明に謡う 【13,14】

全21シークエンスを11日間にわけて連載します。
<3,200文字・読むのにかかる時間:7分>

前回

【13】

「来た……かな?」
 群青色の中空を見上げながら瑠華が呟く。その焦点は遠い。
「感じるか?」
「うん」
 俺はやや深めに肺にニコチンを送ってから、点けてほどないタバコに別れを告げた。
「おい。いくぞ」
 車内のヒロトに声を掛ける。残酷かもしれないが、少年を残しておくわけにはいかない

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