パルプ小説

東のエデンとエデンの東 #ゼロ・アワー(前編)

新帝都の正午に響き渡るサイレンは格別だ。サイレンと言っても旧世界の騒がしい電気式拡声器ではない。耳長族のお嬢さん達が当番制で、この地に潜む西国連合≪ウェストマーチ≫の兵士に向けて発信する魔法の言葉、あるいは言葉の魔法のことである。

「正午になりました。西方から来た人類兵士の皆さん、慣れない土地での潜入任務、お疲れ様です。私達は、いつでも貴方の降伏をお待ちしています」

……概ね内容はこのようなも

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悪魔とドライブ

(本文2000文字)

「もっとスピード出せよ」と男が言った。
「黙ってよ」と赤毛の女は答える。
なんでこんなクソ野郎とドライブしなきゃならない?
もっと注意すべきだった。あのとき、鍵のかかってないドアを開けてはならなかったのだ。

赤毛の女はコールガールだ。その夜も馴染みの客から指名が入った。
「呼び鈴鳴らしても出なかったら勝手に入っていい」と男は言っていた。
何度か呼び鈴を鳴らしたが応答がなか

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素敵な暗黒の夜を!
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【ホラー連載】 ココカラダシテ 第七顔

【これまでのできごと】
・ 2019年7月23日 19:11 陳野洋平は嘔吐した。
・ 2019年7月19日 22:25 水原恵は失踪した。
・ 2019年7月23日 21:18 角田雅彦はタクシー運転手だ。
・ 2004年8月8日 20時頃 宮司東太は姿を消した。
・ 2019年7月23日 22:34 夏野美咲は死んだ。
・ 2019年7月24日 02:38 エミリはいなかった。

「う、うわあ

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やったぜ!
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『エイベル・カートライトのエンジョイ! ゴーストハンティング!!』第1稿

Photo by Taras Zaluzhnyi(@Unsplash.com)

*この物語はフィクションであり、現実に存在する人物、団体・企業とは
一切関係ありません

(2020.9.20)

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街の記憶、いま語る

まー、近頃は狂人が街にうろつきまくってたんですわ。もうどこ行っても狂人!玄関出たら、便座を振り回して正座するのを繰り返す男がいましてね。
「オイ、何やってんだ」って聞きましたら、「ノーベル賞不受賞の舞」なんて答えまして。不受賞ってなんだ!もらう前提かい!なんつってね。
そもそも、こんな街からノーベル賞取るやつなんざ生まれねぇよ!なんて思ったもんです。

それから、少し歩いてね、薬局行こうと思ったん

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三🎍三🎍三
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【短編小説】バック・イン・タウン

(本文2000文字)

「帰ってくるのか、ヤツらが?」と老人は言った。興奮で声が震えている。
「はい。そう連絡が来ました」と男は答えた。「向こうでの仕事にカタがついたと」
老人は深く頷いた。
「ザ・ボーイズ」がこの街に帰ってくる。

「何年ぶりだ?」
「十七年です」
「良く辛抱したな。残ったのはお前一人だけだ」
老人は男の手を強く握った。
「むしろ、ここからが大変で」
「他に知らせたか?」
「いえ

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狂ったピエロに愛を捧げよう
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【ホラー連載】 ココカラダシテ 第六顔

【これまでのできごと】
・ 2019年7月23日 19:11 陳野洋平は嘔吐した。
・ 2019年7月19日 22:25 水原恵は失踪した。
・ 2019年7月23日 21:18 角田雅彦はタクシー運転手だ。
・ 2004年8月8日 20時頃 宮司東太は姿を消した。
・ 2019年7月23日 22:34 夏野美咲は死んだ。

 雨が降っていた。

「あ……れ?」

 陳野洋平(つらのようへい)が目

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やったぜ!
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『銃夫と魔眼3』(ガンフーとマガン3):PARTⅢ

イラスト:かな
https://skima.jp/profile?id=126704

PARTⅡまでのあらすじ

 ゲオルクとアンナという技術者一家の護衛を依頼されたカイルとリン。
 彼らが潜伏していた廃棄区画から市街地への脱出には成功したものの、『連合』との合流ポイントに侵入者が発生。
 カイルとリンは護衛対象を守り切れるのか!?

6章:暗転

 ビルの1階。駐車場への出入り口付近。俺はリン

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感謝! 感想もいただけると泣いて喜びます!
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ハントマン・ヴァーサス・マンハント/第2章/第2節/「短生種は長命種の隣に立つ夢を見るか?」 #3

(承前)

ドナの様子がおかしい。それにしても大事な話というのは何だろう。何だって?一緒にヴァチカンに来てくれないかって?報告書の作成に協力者の証言を必要とするからだろうか。……そうじゃない?こっちでの内定を蹴って教皇庁で就職しないかって?ちょっと待ってくれ。確かに君とは長い付き合いだし、俺だって、このまま君と別れるのは寂しいと思ってはいるさ。だからといってだな……。

「……それで朝からこんな感

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ハントマン・ヴァーサス・マンハント/第2章/第2節/「短生種は長命種の隣に立つ夢を見るか?」 #2

(承前)

申し訳ない。今からウラクラド伯爵と戦わなくちゃいけないっていうのに緊張感が足りなかったな。うん。ドナの淹れてくれたコーヒーは美味い。……そんな思いつめた顔をしてどうした?そっちこそ少しはリラックスした方がいいんじゃないか?何だって?この戦いが終わったら大事な話がある?

「まだ寝ぼけているんですか?ていうかドナさんって誰です?ダンナの交友関係は全て洗っているので実在する人物でないことぐ

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