カミ様少女を殺陣祀れ!/23話

【目次】 / 【1話】 / 前回⇒【22話】

塩尽修學館高校、2年2組の教室に入り、教卓に面する最前列を通り過ぎるとクラスメートたちが僕を見て、ひそひそ話をするのが聞こえてきた。
僕は何となく居心地の悪さを感じ、鞄を抱え直して窓際の自分の席に急ぐ。
右隣りの席に座って、本を読むショートカットの女子生徒が顔を上げた。
「おはよう、ジンジくん」
「おはよう、トドロキさん」
彼女は等々力三月(トドロキ

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I'm glad to see you !!
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カミ様少女を殺陣祀れ!/22話

【目次】 / 【1話】 / 前回⇒【21話】

「あ、あんたたちッ! 冗談でも言っていいことと悪いことがあるわよ! 天照大神なんて神様がそもそも存在するかどうかすら分からないけど――」
「ヘッ、塩尽の神様だってこうして存在してるだろ。天照だって存在するに決まってらぁ! 俺らの組織、静寂霽月(シジマノセイゲツ)は権威ぶってシャチホコ張ったヤツらがでぇ嫌ェなのさ! それが例え神であっても!」
「だから

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その二文字よ、何と力強く心地よい響きか!
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カミ様少女を殺陣祀れ!/21話

【目次】 / 【1話】 / 前回⇒【20話】

塩尽警察署、所長室。制服の腹を出っ張らせて窓辺に立ち、アナグマめいたとぼけ顔で景色を見渡す壮年男。署長の巾崎(ハバサキ)だ。眼下の近縁に並ぶ住宅街と、それを取り巻くように奥に広がる桔梗野のブドウ畑、そして遠方には、頂を白雪に染めた峻険なる山々が壁のように聳え立っていた。
巾崎は溜め息をつくと、アナグマのようにのっそりとした仕草で振り返る。
大窓から枯

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最後までお読みいただき、感謝申し上げます!
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ようこそ、ユーシャルホテルへ!⑥

ふと目の前が暗くなった、目の周りがとても冷たい物に覆われた。

「目ぇ閉じろ!クソガキ!」

 とても怖い声が耳のそばに響いた。嗄れて、とても低い声だった。もし岩が喋れたらこんな声だろうと思った。そんな声が出せる人、私は一人しか知らない。

「魔女のおばあさん……?」
「目ぇとじろッ!ぶっ殺すぞ!」

   脅されて、私に言う通りにして目を閉じた。燃え上がった家と両親が心配だが、魔女おばあさんがも

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ドローンを撤退させた。
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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第138わ「回想」

(承前)

全身がシュレッダーにかけられているような苦痛。俺の肉は千切れて、骨は砕けて、何の配慮も無いまま棺桶に詰められて吸血女に運ばれているのだから無理も無かった。苦しいときは、もっと苦しかったときのことを思い出して耐えるに限る。意識を過去に飛ばす。予防接種。歯医者。こんなものじゃない。灼熱の運動会。晒し者の文化祭。そこまで遡ったあたりで確信が生まれる。俺は今、人生における最大の苦痛と戦っている

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カミ様少女を殺陣祀れ!/20話

【目次】 / 【1話】 / 前回⇒【19話】

S県、出雲。上り坂の鳥居前町を行き、丘に聳える黒い大鳥居を潜った先は森の細道。参道を抜け、広がる境内を進めば、荘厳な大社が姿を現す。
社殿へと至る参道の中途、下り坂を降りきった道の脇に広がる、瓢箪池。
木杭を並べて隔てた岸辺や、池の濁った水面に花は無い。花菖蒲も紫陽花も蓮もただ青々と葉を茂らせて、梅花咲く時節の寒さを黙々と凌いでいた。
池の傍らにポツ

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宜しければ、他のお話もご賞味下さい。
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悼む色は赤「怒り深き青 〜怪人シンクの解体工事〜」

その家は最初、土地の売却を了承していたのだという。古い家と土地を売り、田舎のほうでのんびり暮らすつもりだと円滑に話は進んでいたはずだったのだと。その家は家主と妻、そして一人娘の三人暮らしだった。夫婦は大人しい善良そうだった。娘のほうは今年高校を卒業するということだった。娘は暗い印象だが、土地の売却について来客した不動産屋に茶を出すのはいつも彼女だった。契約書を取り交わして、これでトントン拍子に事は

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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第137わ「回帰」

(承前)

しょんぼりしながら吸血女は粛々と俺の外套を剥がし始めた。この時点で既に体の節々がシクシクと痛みが走っている。問題はここからだ。

「本当にいいんですか?急いで移動するので相当に揺れると思いますけど。死ぬほど痛いのに死にたくなっても死ねないんですよ?きっと後悔すると思いますよ。途中で止まったり出来ませんからね?」

会話には応じない。待ち受ける苦痛も恐ろしいが、未来の後悔よりも今の決意が

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カミ様少女を殺陣祀れ!/19話

【目次】 / 【1話】 / 前回⇒【18話】

「あざっしたー! お嬢ちゃん、また来てなー!」
「どうも、御馳走様でしたー!」
午後1時を少し過ぎ。少女・古畑切子は中華屋・餃子将軍のドアを出た。
「うぃ~、っぷ。食い過ぎた……」
切子はパーカーの腹を摩りながら歩き、失敗してばかりいたオバサン店員の顔を思い出し、どうもこの辺には相応しくない顔と語り口調だと思った。
切子はまだ知らない。化粧の濃い都会

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Thank you so much !!
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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第136わ「取り引き、駆け引き、奈落への道」

(承前)

「ダンナが私をお腹いっぱいにしてくださるなら、ここ数日の不調も何のその、実力以上の力を発揮してあっという間に目的地です。そうすれば❝魔王の翼❞も暫くはダンナに預けたままでも構いません。剥がされたくないでしょ?そのマント。私の心配は要りませんよ。道中で襲撃者に出くわそうが一瞬で返り討ちです。更に更に!ちゅーっと麻酔を体に入れて差し上げますので今の全身の痛みともバイバイです!」

わかった

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