景色

友人にもらった三題噺のお題「蜘蛛、参考書、吊り橋」と
また別の友人に勧められた官能小説というジャンルで書きます。

「あっ」
蜘蛛がいた。小さな蜘蛛が。
私の上にのさばった身体の向こう、決して遠くない決して綺麗でない天井に。
「何」
と甘くだらけた声がした。
「別に」
私は相手の耳珠に齧り付いた。
吐息が漏れる。汗の粒が私の頬に落ちる、ポタリ。
吐息に混じって溢れる、話し声から少し離れた声色。

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忘れないでね☆忘れてないよ♪ 創作落語 de 心灯杯 #三題噺

 『過去』『見返り』『増えるツンデレ』
を使って作品をつくってください☆

お!

今頭のなかでざっくりとでもシュミレートできた人は、アーティスティックなセンスに溢れていますね♪

ぜひぜひこのまま続きを読み進めて欲しいです。

「作品をつくってください」と聞いて、どんな“ジャンル”の作品を思い浮かべましたか。

落語台本、脚本、シナリオ、小説、ショートショート、日記、エッセイ、俳句、短歌、都々逸

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次も書いたら、また読んでね☆
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「珈琲/大根役者/鱗雲」、或いは「破片」

目が覚めて寝室から出ると、床に伏せた妻が居た。
周囲に黒い液体と赤黒い液体とを撒き散らし、緑色の欠片を散乱させた妻が。
机の上には封筒が一封。貴方へ、と書いてある。

ああ、死んだんだな、と思った。

彼女とは学生の頃に知り合った。
二年片想いした後に付き合うことになったが、初めての恋人に戸惑って亀の歩みを続けた。
進路の関係で一度別れ、再開したのは六年後。
お互いに大人になり、多くのことを経験し

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三題噺 35 読み手を呼ばないブログ

“秘密” “山” “沸騰”

俺は山が好きだ。
山を登るのが好きだ。ただ歩くだけでなく、その過程にあるものが好きなのだ。
登山と一口に言っても実は色んなルートがある。
険しいけど、早く山頂に着く道。緩やかな道。
花が咲いている道、湧き水を飲める道、鳥の声を聞ける道。
その日、その日登る山には、その日にしか無い顔がある。

今日は険しい道を通って山頂に辿り着いた。
雨が降るかどうかと言ったどんより

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三題噺 34 秋のひ

秘密 コーヒー 焚き火

 彼と並んでのんびり焚き火を眺める時間は、最高のひとときだ。
 パチパチと、火の粉が跳ね、木から独特の匂いがする。
 松や、杉の木は油分を持っていて、燃えやすいと教えてくれたのは彼。
 空気を含ませるように丸めた新聞紙と、細かくした木の屑と、大きな薪を組み上げて、火をつける。
 冷える秋風を背中に感じながら、お腹はボウボウと燃える火に温められる。
 この感じが好き。
 焚

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ビタースウィートと月夜とサムゲタン

 田舎だったら綺麗だろうに、都会の人工的な光のせいでどことなく申し訳なさそうに月が浮かんでいた夜のことだった。男数人に囲まれていた黒髪が、さらさらと困ったように揺れているのを見て、俺はつい声をかけてしまった。振り向いた彼女の胸元に度肝を抜かれた。彼女が着ていたTシャツにカタカナのポップ体で大きく「ビタースウィート」と書かれていたからだ。彼女も目を丸くしていた。道端で安く売っていた俺のTシャツには、

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ありがとうございます!あなたの糧になりますように。
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「ラジオ/深海/空き地」、或いは「魴鮄」

君は魴鮄みたいだね、と笑った彼を想う。

俺はくだらない奴だ。頑張ることなど一つも無く、勉強も最底辺で、やる気が出ない、と嘆きながらも何もしない。そんな何にも成れないイキモノ。友人だって居ないわけでは無いけど、高め合う仲かと言われるとそうではないと思う。奴らのことは大好きだが、世間で言う「良い友人」「好敵手」ではない。今日だって、缶ビールを買って空き地でたむろ。楽しいが、退廃的。かれこれ一年程続

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三題噺 33 白兎が黒くなるまで

“テニス” “うさぎ” “ポニーテール”

「転校……」
「うん、ごめんね美冬」

急な話とは急に来るものだ。
中学二年の冬、親友の夏希がこう切り出した。「お父さんの仕事で転校が決まった」と。

「本当に行くの?」
「ごめんなさい」

夏希の転校は、春休みに決まった。四月から遠くの学校に行く。
私と夏希はただの親友だけじゃ無い。テニスのダブルスで、今年の大会に準準優勝まで登り詰め、来年優勝候補筆頭

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三題噺 32 こいよ

恋、鯉、来い

⚠︎ねいろ→あそぼ→こいよ

 アヤカが死んだという報せは中二の三月終盤、バスケ部の春休み合宿から帰ってすぐに、母さんから知らされた。
 俺とアヤカは家が隣り合わせで、いわゆる幼馴染だった。幼稚園からの付き合いで、そこから小学生、中学生の時間を共有し、いつの間にか、異性として意識し始めていた。

 「どんな事でも頑張れる、一生懸命な人が好き」

 その言葉を安直に受けて、苦手だった

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三題噺 31 あそぼ

スゴい、頑張れ、勝ち負け

⚠︎ねいろ→あそぼ→こいよ
 彼と初めて会ったのは、幼稚園。
 ある日、うちのお母さんと、マナトのお母さんのお迎えが偶然重なって、一緒の方向に向かって自転車を漕いで「あれれ?」とお母さんと思っていると、マナトのお母さんが私の家の隣に自転車を停めた。
 そこでようやくマナトとマナトのお母さんも気付いて、お母さん同士で笑い合った。
 自転車から降りた私もマナトと笑い合った。

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