記事一覧
お母ちゃんどうして僕を産んだの?自閉症の子どもと家族の抱える苦悩について
我が家の自閉症の息子は、いつもと違う日常だったり、アクティビティが重なって疲れていたりすると、些細なことで癇癪やメルトダウンを起こしていた。過去形なのは、最近は少しずつ回数も回復までの時間も少なくなってきているから。
メルトダウンを起こす前の状況ってどんな感じだろうか。
今私はコーヒーを飲みながらこの記事を書いているが、ポットのお湯を想像してもらえるとわかりやすいかもしれない。10分前にコーヒ
日本人の働き方を辞めたくなる時
私は縁あって現在デンマークの社会に身を置かせて頂いている。普段の生活では食事以外の面で、自分が日本人であることをさほど意識することはないが、仕事の場に置いて時々「私ってつくづく日本人だよなぁ」と溜め息をつきたくなることがある。
自分が日本人であることを恥じているとかネガティブに感じるとかそういうことではない。ただ、いいとか悪いとかは横に置いておいて、「日本人であること」を否応なく痛感してしまう
若者達へのメッセージ
最近noteは読み専門になっていたが、久しぶりに下書きに眠っていた文章に手をつけてみた。
少し前になるが、デンマークでも公開されている、宮崎駿の映画「君たちはどう生きるか」を観に行った。宮崎駿ワールド全開のストーリーで、先祖代々からその子々孫々へと命のバトンを紡いでいく、過去と現在そして未来、あの世とこの世、生と死を行ったり来たりするような、壮大なスケールの物語。主人公の少年目線で描かれていて、
新しいインクルーシブ教育 (Nest project from NY)
昨今どこの国でも耳にする、インクルーシブ教育。私が2010年にやってきた頃のデンマークでも、普通学校内に併設する形で特別支援クラスが存在していたように思う。だが残念なことにそのインクルーシブの試みの結果として、特別ニーズの子供たちが学校に通えなくなり不登校になるケースが増大し、その子ども達の行く先として特別支援学校、療育学校、入所施設などへの対応が迫られ、どこのコミューンも財政を圧迫してきた実情が
もっとみるデンマークにおける老人介護の実情と私の職場環境
この度、日本の看護研究をされている方から、デンマークの老人施設での介護の実情についてインタビューを受けるご依頼を頂いた。その方の研究内容は詳しく書けないが、その時に話せるように頭を整理する意味もこめて、今日は私が勤務している老人入所施設について触れてみようと思う。
私は2010年デンマークに移住する前までは、看護師として日本で公立病院の病棟勤務を10年経験し、その後は小児科クリニック、予防医学の
自閉症、本当の自立に向けて (Never give up!)
多くの自閉症のお子さんをお持ちの親御さんなら(もちろん定型発達のお子さんをお持ちの方も)きっと考えずにはいられないテーマ。「この子は大人になったらどうやって生きていくのだろうか…」。
今日は、自閉症についての執筆や講演、YouTube活動を沢山されている、信州大学児童精神科医の本田秀夫先生の動画を見て考える「自閉症児の本当の意味での自立」について書いてみようと思う。
本田先生はご自身も発達障害
自閉症の息子と動物達の絆
我が家の自閉症の息子は幼い頃から生き物が大好きだ。幼稚園は歩いて2分の場所にあったにも関わらず、帰り道にはアリやテントウムシを見つけては、自分のお弁当の残りのニンジンをあげたりしながら熱心に昆虫観察を行うため、1時間くらい家に帰りつかないこともしょっちゅうあった。
また、当時から収集癖があったのか、団子虫などを見つけてはポケットに沢山集めて帰って来た。ある時、洗濯機からカラカラと石のような音がし
自閉症の"Meltdown" と "Low Arousal approach"について
前からずっと、どうすることがベストなのか悩んできた、自閉症の感情メルトダウンとそこに至る前のアプローチについて書いてみたいと思う。
日々自閉症と関わっている職員の方々、自閉症のご家族をお持ちの方なら誰もが経験したことのある彼らの"メルトダウン"。自閉症のメルトダウンとは、簡単に言えばストレスが脳内処理能力の許容量を超え極限に達して、対処しきれなくなった時の制御不可能な一種のパニック反応で、その症
自閉症の共感能力について考える(感情の伝播という言葉)
今日は私のダブル試練(自閉症子育てというもう一つの試練は今も続いているが)の時に感じた自閉症(アスペルガー)の息子の共感能力について、当時を振り返りつつ考察を深めてみたいと思う。
人生の試練って結構重なったりする。
私は自閉症の息子が不登校である過渡期に乳癌の診断を受けたのだった。
今だからサラッと試練なんて言えてるけど、当時はホントになんで私なの?の言葉しか出てこなかった。でも、今こうやっ
自閉症児親の会を通して思うこと
先週地域のファミリーセンターで毎月1回行われている自閉症の親のネットワークミーティングに参加してきた。そのグループは、2023年から私たちのケースを担当して下さっているFamilie rådgiver と呼ばれる家族支援専門員の方が、率先して作って下さったネットワークグループ。地域で彼女が担当しているケースの中から、子供が同じ年代で、良く似た自閉症スペクトラムの特性を持ち、さらに不登校という問題を
もっとみる#14, 自閉症息子の新しい療育施設(Behandling skole)
ずっと書きたいと思っていた過去の息子との不登校の日々。幼少期からザックリとここまで書いてきて、ようやく今やっと、最初の入学を含めて4回目の転校先となる、現在の療育施設までたどり着くことができた。
過去を振り返りながら書くことは、私にとってのセラピーとなり、またその過程を読んで共有してくださっている方がいることが、私の書く気持ちの支えともなり、とても感謝している。
今日は4校目となる現在の療育施