今ここに

2010年より北欧デンマーク在住。息子は自閉症で不登校の思春期。異国での大病を乗り越え…

今ここに

2010年より北欧デンマーク在住。息子は自閉症で不登校の思春期。異国での大病を乗り越え、今ここにある毎日の幸せを大切に。明るく楽しく息子と向き合う日々や北欧からの情報を気ままに綴ります。看護師資格を持ち、現在こちらの老人施設勤務の傍ら、時々日本語教師、通訳翻訳の仕事もしています。

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  • 海外自閉症子育て

    日本のシステムとは違う海外での子育てはそれなりに大変なもの…しかもその子供が自閉症だったら…泣いたり笑ったりの高齢母ちゃんの子育て記録2024~

  • エッセイ集

    仕事、恋愛、生活、夫婦… デンマーク在住50代が日々の生活で感じたことを気ままに綴ります

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#1, 記念すべき初投稿と自己紹介

何から書けばいいのだろう。どこから説明すればいいのだろう。手元にある自分のノートブックには、息子が産まれた時からの感動、楽しかった思い出、そして、自閉症の診断を受けたときの辛さ、苦しさ、その後の私の乳癌診断や闘病記。。。色々な思いが綴られてある。主人も息子も日本語が読めないので、間違って読まれてしまうリスクもなく、ただひたすら自分の心の中を書き綴っていた日々。時にはあまりにも、心が苦しくて何も書けない日々が続いていた時期もあった。 誰かに読んでもらいたいとか、誰かと共有した

    • 老人ホームでの恋の物語

      今日は私の働いている老人施設での恋の物語について書いてみようと思う。 私の住んでいるデンマークでは高齢者同士の再婚や新しい出逢いを良く目にする機会がある。 また、伴侶を亡くして1年経つか経たないかのうちに、新しいパートナーが出来たと言うのもとても良く聞く話しである。 彼らの、哀しみを抱えながらも、新しい人生に怯まず前向きに進んで行く姿を、私はいつもうらやましいとさえ思う。 会計士をしていたウーリックは、脳梗塞後に左半身不随で車椅子の生活となり、そのあとすぐに奥さんに先

      • 自閉症息子13歳巣立ちの時

        自閉症育児には終わりがないと思っていたのにその時期はやってきた。いや、終わりというには少し大げさかもしれない。長い休息期間が来たと思うことにしよう。 それは、突然というよりも何年も前から少しずつ準備を重ねて、そして本人のベストなタイミングで時期がやってきたといった方がいいかもしれない。 いよいよ、彼はデンマークでBørn og unge hjem, または botilbud と呼ばれている日本で言うところのグループホームのような入居施設に入る運びとなったのだ。 そこには

        • 国際結婚とは原風景の違う2人が出会いその風景を理解し合うこと

          人は誰もが心の奥底に、それぞれが懐かしい原風景を持っている。それは幼い頃に走り回った野原や空き地だったり、夏祭りの盆踊りの風景だったり、夕陽が沈み行く山々の景色だったり、一面真っ白な雪景色だったり。 その風景を思い出すことによって、人は懐かしい子供の頃、青春時代にタイムスリップして、少し切なくなり、でもどこか心が温かくなるものだ。 50代も半ばに近づくと、ふとした時に、自分の生きてきた景色を共有出きる誰かが居てくれればいいなぁと思うようになってきた。 小学生の頃からの親

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        #1, 記念すべき初投稿と自己紹介

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          天国に行ってしまった大好きだったあの人へ

          私はいつもここに書くことで気持ちを昇華しようとしている。だから今日も昇華できないこの思いを勇気を出してここに書いてみようと思う。大好きだったあの人が突然この世からいなくなってしまったことを… そしてまた、ここに書くことで、彼が生きていたこと、そして私と一緒に過ごした日々が、確かにそこにあったものになるような気がして… 出会い私が彼と出会ったのは30年以上も前のこと。まだ看護学生だった20歳の夏だった。昭和生まれの人なら懐かしく思うだろうが、1990年代当時ディスコブームで

          天国に行ってしまった大好きだったあの人へ

          誰かの土台になるということ

          タンポポが満開の季節になりあちこちで黄色い花が見られるようになった。 私はタンポポの花が好きだ。 息子が小さな頃は、たくさん一緒に摘んで家に持って帰ったり、ふーっと綿毛を飛ばして遊んだりもした、そんなホッコリとするひとときを思い出させてくれる。 13歳になった息子はもう一緒にタンポポの花を摘んではくれないが、今はもっぱら家で飼っている2匹のリクガメ用に摘んで持って帰る毎日だ。 タンポポの花って、一般的には良く踏まれても踏まれてもそこに根をはり、毎年咲き誇る強い雑草とし

          誰かの土台になるということ

          お母ちゃんどうして僕を産んだの?自閉症の子どもと家族の抱える苦悩について

          我が家の自閉症の息子は、いつもと違う日常だったり、アクティビティが重なって疲れていたりすると、些細なことで癇癪やメルトダウンを起こしていた。過去形なのは、最近は少しずつ回数も回復までの時間も少なくなってきているから。 メルトダウンを起こす前の状況ってどんな感じだろうか。 今私はコーヒーを飲みながらこの記事を書いているが、ポットのお湯を想像してもらえるとわかりやすいかもしれない。10分前にコーヒーを飲むために沸かしたポットのお湯は、まだ熱さが残っているので、その次はほんの少

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          日本人の働き方を辞めたくなる時

          私は縁あって現在デンマークの社会に身を置かせて頂いている。普段の生活では食事以外の面で、自分が日本人であることをさほど意識することはないが、仕事の場に置いて時々「私ってつくづく日本人だよなぁ」と溜め息をつきたくなることがある。 自分が日本人であることを恥じているとかネガティブに感じるとかそういうことではない。ただ、いいとか悪いとかは横に置いておいて、「日本人であること」を否応なく痛感してしまう瞬間というのが、私の場合は仕事中が一番多いような気がする。 自分の中に組み込ま

          日本人の働き方を辞めたくなる時

          在デンマーク15年目に立ちはだかる言語の壁

          早いもので今年の夏でデンマークに移住して15年目を迎える。わたしが日本で主人と初めて出逢った時は、「え~っと、デンマークってどこにあったっけ?」っていうほど北欧にもヨーロッパにも全く興味がなかった(今ではヨーロッパはとても魅力的だと感じているが)。 私は山の麓で育ったこともあり、どちらかと言うとオーストラリアとか、アメリカ大陸とかアフリカとか、雄大な大自然と動物、フレンドリーな人種の住む(と信じていた)大きな大陸の国に憧れていた。 特にカナディアン・ロッキーの壮大な山々に

          在デンマーク15年目に立ちはだかる言語の壁

          若者達へのメッセージ

          最近noteは読み専門になっていたが、久しぶりに下書きに眠っていた文章に手をつけてみた。 少し前になるが、デンマークでも公開されている、宮崎駿の映画「君たちはどう生きるか」を観に行った。宮崎駿ワールド全開のストーリーで、先祖代々からその子々孫々へと命のバトンを紡いでいく、過去と現在そして未来、あの世とこの世、生と死を行ったり来たりするような、壮大なスケールの物語。主人公の少年目線で描かれていて、観ているうちに、少年が体験する現実から離れて行く不思議な世界へと自分もいざなわれ

          若者達へのメッセージ

          新しいインクルーシブ教育 (Nest project from NY)

          昨今どこの国でも耳にする、インクルーシブ教育。私が2010年にやってきた頃のデンマークでも、普通学校内に併設する形で特別支援クラスが存在していたように思う。だが残念なことにそのインクルーシブの試みの結果として、特別ニーズの子供たちが学校に通えなくなり不登校になるケースが増大し、その子ども達の行く先として特別支援学校、療育学校、入所施設などへの対応が迫られ、どこのコミューンも財政を圧迫してきた実情がある。 それは、実はインクルーシブのようでいて、ただのエクスクルーシブ(特別支

          新しいインクルーシブ教育 (Nest project from NY)

          デンマークにおける老人介護の実情と私の職場環境

          この度、日本の看護研究をされている方から、デンマークの老人施設での介護の実情についてインタビューを受けるご依頼を頂いた。その方の研究内容は詳しく書けないが、その時に話せるように頭を整理する意味もこめて、今日は私が勤務している老人入所施設について触れてみようと思う。 私は2010年デンマークに移住する前までは、看護師として日本で公立病院の病棟勤務を10年経験し、その後は小児科クリニック、予防医学の分野、そして製薬会社での安全性情報分野…と歳を追うごとに臨床から離れていった経歴

          デンマークにおける老人介護の実情と私の職場環境

          自閉症、本当の自立に向けて (Never give up!)

          多くの自閉症のお子さんをお持ちの親御さんなら(もちろん定型発達のお子さんをお持ちの方も)きっと考えずにはいられないテーマ。「この子は大人になったらどうやって生きていくのだろうか…」。 今日は、自閉症についての執筆や講演、YouTube活動を沢山されている、信州大学児童精神科医の本田秀夫先生の動画を見て考える「自閉症児の本当の意味での自立」について書いてみようと思う。 本田先生はご自身も発達障害傾向の特性があるらしく、精神科医としてだけでなく自閉症の当事者目線から、自閉症の

          自閉症、本当の自立に向けて (Never give up!)

          18歳の恋愛

          先日義理の妹家族の家で晩御飯を頂く機会があった。義理の妹には子どもが3人いるのだが、その長女が昨年18歳になって「大人」になった。 私が彼女と初めてあった時は、ブロンドの天然パーマがクルクルしていて、澄んだ青い目をした天使のように可愛い1歳の女の子だった。そして、彼女は姪っ子甥っ子の中で唯一、私達の結婚式に出席するため日本にも訪れたことがある。 当時3歳だった彼女は、子どもモデルのように道行く日本人に手を振り、愛想をふりまいて歩き、時にはカメラを向けられシャッターを切られ

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          自閉症の息子と動物達の絆

          我が家の自閉症の息子は幼い頃から生き物が大好きだ。幼稚園は歩いて2分の場所にあったにも関わらず、帰り道にはアリやテントウムシを見つけては、自分のお弁当の残りのニンジンをあげたりしながら熱心に昆虫観察を行うため、1時間くらい家に帰りつかないこともしょっちゅうあった。 また、当時から収集癖があったのか、団子虫などを見つけてはポケットに沢山集めて帰って来た。ある時、洗濯機からカラカラと石のような音がして、なんだろうと思っていると、息子のズボンのポケットから大量のカタツムリが洗濯さ

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          集団主義の日本と個人主義のデンマーク、子育ての違い

          デンマークに移住して14年め。子育て歴13年。私たちが日本からデンマークに移住する時、私のお腹の中には息子がいた。今思えば新しい、言葉も知らない国での初めての出産は不安だらけだった。 その当時、主人にはデンマークと日本以外にもアメリカで働く選択肢があった。どの国で子育てをするのが一番いいのか。答えは簡単には出ず、とりあえず、第3国(この場合アメリカ)に住むと帰省しなければいけない国が2か所になってしまうという物理的な理由で、どちらかの家族が近くにいる国にしようという結論にな

          集団主義の日本と個人主義のデンマーク、子育ての違い