シェア
80′s
2024年9月29日 09:16
眩しいほどの茜空の下二匹の赤蜻蛉が上昇する私は遠目にその景色を見ながら私の大切な人は誰だろうとふと思った二匹の蜻蛉の様に すぐ側にいる人かなそれとも一緒には飛んでいなくとも心が繋がっている人かな蜻蛉は もう高い高い空にいて眩しくて見えなかった心の中が朱く染まって行く私の夕空を二匹の赤蜻蛉が揺らめきながら飛んで行ったもう寄り道はしない家路は朱に照らされているから…
2024年9月28日 09:15
悪魔が ポトリと玉を落とした運命のルーレットは廻り続けるルール無用の世界で心は砂漠の砂と化す土は血で赤く染められた首謀者は安全な場所でワインを飲み干す仕組まれたシナリオは現実を狂わせる天使は歪んだ涙を流す童話の様にハッピーエンドとはいかない折れた翼を庇いながらこの世が楽園となる夢を見る束の間のまやかしを希望の光だと信じて…ワインの中に光と闇が入り混じるその味を庶民
2024年9月27日 09:15
あなたが落とした一雫は遥か彼方へと進んで行く膨大な邁進力で突き放すあなたの周りに純真な風が吹き抜けるそこに壁や冷たさはない私は その広大な大地に立ちたかった己の欲望を制御し聖なる心を有していたなら真の友情を育めたかもしれないのに若さは1ミリの可能性に賭けてしまったその日から何もかもが狂いはじめた時代は私を隅に追いやり心に蓋をさせた私は遠くを見つめるしかなかった
2024年9月26日 09:15
透明人間がするりと行き交う夜の街私の目には誰も入らない耳は音楽に繋がれている細胞が弾けて踊る電灯が壊れそうだとシグナルを送る夜のオフィスには 停止した私の抜け殻働く手が止まっている激昂された あの瞬間のままこの世界はもう半分崩壊しているのかもしれないオフは笑えないのに笑って過ごすグラスの中 炭酸の泡がのぼる心と舌は通じている甘い味が分からない味覚は既に化石と化し
2024年9月22日 09:18
高い空の下足元に咲いているおじぎ草を見ると腰を曲げ小さく縮こまりながらお辞儀をしていたあなたの後ろ姿を思い出します鼻の奥ツンとした香りがして零れ落ちそうになるのを必死に堪えていたあなたは何を想って地面を向き続けていたのでしょうか?今度は自分の為だけに咲いていてねいつの間にか閉ざされは葉は開きただ光の粒を受け止めていた今度こそ自分の為だけに…
2024年9月21日 09:15
身体の奥深くに底無しの沼がある深部は冷たくて風も吹かない長い間その存在を知らずに生きてきた冷え切った身体に僅かばかりの温もりが与えられると二度と戻れなくなる後退りした足に泥濘んだ泥の感触を感じて私の中にも沼がある事を知ったあなたを知らなければ沼の冷たさをこんなにも感じることはなかったのに足に泥が絡みついてうまくあがれない纏わり付く感傷は悦びを含んでいる気が付けは深
2024年9月20日 09:15
秋に出会い鳥籠の中に囚われたカナリアは主人の指先を強く噛みまた別の秋に窓から飛び立った誰かの肩にとまり意味不明な記号の羅列を語り不気味だと忌み嫌われた風が吹き 枯葉舞う秋の歌は歌わない物悲しさが増していくから寂しくなったらまた誰かの肩にとまるけれど秋の季節を忘れたフリをしてこの世界を生きて行く新しい季節の歌を嘴の先で奏でながら
2024年9月19日 09:15
秋の景色の隅々には神が色付けした色彩が宿る赤と黄色の落ち葉を踏みしめると私の身体も秋の一部となり心も躍る黄金色の稲穂の海を哀しみの風が通る左右に揺れる稲穂を見て憂秋の涙を流す(一筋の涙は決して秋だけの涙ではないのです。)私の瞳の中でミレーが筆をとり色をつけるいつの間にか人工的な悦びに酔いしれる各人間の秋の深みを再度知ろうとする瞳の中の色が更に弾けた(美しいと思う感性は時
2024年9月15日 09:15
枯葉がヒラヒラと舞い散る公園で或る親子が仲良さそうに歩いていた子供の手には赤い風船細い糸だけで繋がれている(私達の生きている姿に似ている。)一瞬手を離した隙に風船は高い空に吸い込まれていった辺りに子供の泣く声が響いた同時に鳥が一斉に羽ばたいたどうにかしてあげたい時ほどどうにもしてあげられない事がこの世界には多すぎる私はあの日から手に入らない物ばかりに手を伸ば
2024年9月14日 09:15
茶色い液体が溢れて ぬかるんだ床鼻をつく匂いで麻痺した感覚ここに救いはありますか?私の欲望は分かり易い物になりました可視化できると心は静まるこぼした溜め息の数だけ後ろに どんどん積み重なっています確かに買った筈なのにどこにあるのか分からないSNSを見て買ったあなたとお揃いの…あなたがどんな人なのか全く知らないんですけれどね私は現代の遺跡を彷徨う(製造年代は かなり昔
2024年9月13日 09:15
学生達は右手には眩い陽の光が彩る未来を左手には夜の闇が落とした不安を握っている昼の明るい教室の席に座って両手をうまく使えずに肘をつく明日が やけに遠く感じてぼんやりとデコボコに目の前が歪んで冬の日に凍る息の深い溜め息をつく(不自然な呼吸の狂ったリズム。)規則正しい毎日が破り捨てられたカレンダーのページの様に虚しく積もる伸びて行くのは背だけ…みたいな気がしてノー
2024年9月12日 09:15
秋の侘しさに似た水分と心を搾り取られる様な甘い傷みが混ざり合いながら溶け合う私はその透明な液体に首までどっぷりと浸かっている空白は酷く虚しいじきに長い長い夜がやってくるこの季節になると何度も読み返した本のページをめくり蛍光ペンの黄色いマーカーを青春時代の記号にする今ではその箇所を最重要だとは感じないのだけれど…(人生の真の面白さは細部だ。)時間の変化で透明な液体は
2024年9月8日 09:15
身体中の水分が搾り取られてカスになってそこら辺にバラバラと散らばっているゆるやかで消えていきそうな人工的な風に舞う静かに茶色くなって萎んで行く夏の終わり「また 暫くの間 お別れだね。」私は麦わら帽子をタンスの中にしまって剥き出しになった傷んだ肌をそのままに長引き過ぎた夏を送った
2024年9月7日 09:15
乾ききった地面は水をなかなか吸収しない恵みの雨すら横滑りしていくやっと蕾をつけた花は茶色くなって枯れたそれが運命だと周囲に示しているかの様に地面に倒れた旅人は生を求めていた地面を見つめる瞳はギラギラと燃えていた自身を焦がす光線よりも熱く瞳の中だけが多少の水分で満たされていた(こんな所で終わってはなるものか…。)乾いた唇の上を血は踊る全身で生を求めていた旅人は知ら