マガジンのカバー画像

80'sの詩

309
80'sの詩をまとめてみました!!読んでいただけたら、嬉しいです☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ 宜しくお願い致しますm(_ _)m♡♡♡
運営しているクリエイター

#私の作品紹介

詩「とんぼ」

詩「とんぼ」

眩しいほどの茜空の下
二匹の赤蜻蛉が上昇する
私は遠目に
その景色を見ながら
私の大切な人は誰だろうとふと思った

二匹の蜻蛉の様に すぐ側にいる人かな
それとも
一緒には飛んでいなくとも
心が繋がっている人かな

蜻蛉は もう高い高い空にいて
眩しくて見えなかった
心の中が朱く染まって行く
私の夕空を二匹の赤蜻蛉が揺らめきながら飛んで行った

もう寄り道はしない
家路は朱に照らされているから…

もっとみる
詩「混沌」

詩「混沌」

悪魔が ポトリと玉を落とした
運命のルーレットは廻り続ける

ルール無用の世界で
心は砂漠の砂と化す
土は血で赤く染められた
首謀者は
安全な場所でワインを飲み干す
仕組まれたシナリオは現実を狂わせる

天使は歪んだ涙を流す
童話の様にハッピーエンドとはいかない
折れた翼を庇いながら
この世が楽園となる夢を見る
束の間のまやかしを希望の光だと信じて…

ワインの中に光と闇が入り混じる
その味を庶民

もっとみる
詩「毛色」

詩「毛色」

あなたが落とした一雫は
遥か彼方へと進んで行く
膨大な邁進力で突き放す

あなたの周りに純真な風が吹き抜ける
そこに壁や冷たさはない
私は その広大な大地に立ちたかった

己の欲望を制御し
聖なる心を有していたなら
真の友情を育めたかもしれないのに
若さは1ミリの可能性に賭けてしまった

その日から
何もかもが狂いはじめた

時代は私を隅に追いやり
心に蓋をさせた
私は遠くを見つめるしかなかった

もっとみる
詩「至極のナンバー」

詩「至極のナンバー」

透明人間がするりと行き交う夜の街
私の目には
誰も入らない
耳は音楽に繋がれている
細胞が弾けて踊る

電灯が壊れそうだとシグナルを送る
夜のオフィスには 停止した私の抜け殻
働く手が止まっている
激昂された あの瞬間のまま
この世界は
もう
半分崩壊しているのかもしれない

オフは笑えないのに笑って過ごす
グラスの中 炭酸の泡がのぼる
心と舌は通じている
甘い味が分からない
味覚は既に化石と化し

もっとみる
詩「おじぎ草」

詩「おじぎ草」

高い空の下
足元に咲いているおじぎ草を見ると
腰を曲げ
小さく縮こまりながら
お辞儀をしていたあなたの後ろ姿を思い出します

鼻の奥
ツンとした香りがして
零れ落ちそうになるのを必死に堪えていた
あなたは
何を想って
地面を向き続けていたのでしょうか?

今度は
自分の為だけに咲いていてね

いつの間にか
閉ざされは葉は開き
ただ
光の粒を受け止めていた

今度こそ
自分の為だけに…

詩「沼」

詩「沼」

身体の奥深くに底無しの沼がある
深部は冷たくて風も吹かない
長い間
その存在を知らずに生きてきた

冷え切った身体に
僅かばかりの温もりが与えられると
二度と戻れなくなる
後退りした足に泥濘んだ泥の感触を感じて
私の中にも沼がある事を知った

あなたを知らなければ
沼の冷たさを
こんなにも感じることはなかったのに
足に泥が絡みついて
うまくあがれない
纏わり付く感傷は悦びを含んでいる
気が付けは深

もっとみる
詩「カナリア」

詩「カナリア」

秋に出会い
鳥籠の中に囚われたカナリアは
主人の指先を強く噛み
また別の秋に
窓から飛び立った

誰かの肩にとまり
意味不明な記号の羅列を語り
不気味だと忌み嫌われた
風が吹き 枯葉舞う

秋の歌は歌わない
物悲しさが増していくから

寂しくなったら
また
誰かの肩にとまるけれど
秋の季節を忘れたフリをして
この世界を
生きて行く
新しい季節の歌を
嘴の先で奏でながら

詩「或る秋の一コマ」

詩「或る秋の一コマ」

秋の景色の隅々には神が色付けした色彩が宿る
赤と黄色の落ち葉を踏みしめると
私の身体も秋の一部となり心も躍る

黄金色の稲穂の海を
哀しみの風が通る
左右に揺れる稲穂を見て
憂秋の涙を流す
(一筋の涙は決して秋だけの涙ではないのです。)

私の瞳の中でミレーが筆をとり色をつける
いつの間にか人工的な悦びに酔いしれる
各人間の秋の深みを再度知ろうとする
瞳の中の色が更に弾けた
(美しいと思う感性は時

もっとみる
詩「赤い風船」

詩「赤い風船」

枯葉がヒラヒラと舞い散る公園で
或る親子が仲良さそうに歩いていた

子供の手には赤い風船
細い糸だけで繋がれている
(私達の生きている姿に似ている。)
一瞬
手を離した隙に
風船は高い空に吸い込まれていった

辺りに子供の泣く声が響いた
同時に鳥が一斉に羽ばたいた

どうにかしてあげたい時ほど
どうにもしてあげられない事が
この世界には多すぎる

私は
あの日から
手に入らない物ばかりに
手を伸ば

もっとみる
詩「欲」

詩「欲」

茶色い液体が溢れて ぬかるんだ床
鼻をつく匂いで麻痺した感覚
ここに救いはありますか?

私の欲望は分かり易い物になりました
可視化できると心は静まる
こぼした溜め息の数だけ
後ろに どんどん積み重なっています

確かに買った筈なのに
どこにあるのか分からない
SNSを見て買った
あなたとお揃いの…
あなたがどんな人なのか
全く知らないんですけれどね
私は現代の遺跡を彷徨う
(製造年代は かなり昔

もっとみる
詩「明日へ」

詩「明日へ」

学生達は
右手には
眩い陽の光が彩る未来を
左手には
夜の闇が落とした不安を握っている

昼の明るい教室の席に座って
両手をうまく使えずに肘をつく

明日が やけに遠く感じて
ぼんやりとデコボコに目の前が歪んで
冬の日に凍る息の深い溜め息をつく
(不自然な呼吸の狂ったリズム。)

規則正しい毎日が
破り捨てられたカレンダーのページの様に
虚しく積もる
伸びて行くのは背だけ…
みたいな気がして
ノー

もっとみる
詩「梨」

詩「梨」

秋の侘しさに似た水分と
心を搾り取られる様な甘い傷みが
混ざり合いながら溶け合う
私は
その透明な液体に
首までどっぷりと浸かっている

空白は酷く虚しい
じきに長い長い夜がやってくる

この季節になると
何度も読み返した本のページをめくり
蛍光ペンの黄色いマーカーを青春時代の記号にする
今では
その箇所を最重要だとは感じないのだけれど…
(人生の真の面白さは細部だ。)
時間の変化で
透明な液体は

もっとみる
詩「朽ちる」

詩「朽ちる」

身体中の水分が搾り取られて
カスになって
そこら辺にバラバラと散らばっている
ゆるやかで
消えていきそうな
人工的な風に舞う

静かに茶色くなって
萎んで行く夏の終わり

「また 暫くの間 お別れだね。」

私は麦わら帽子をタンスの中にしまって
剥き出しになった傷んだ肌をそのままに
長引き過ぎた夏を送った

詩「渇望」

詩「渇望」

乾ききった地面は水をなかなか吸収しない
恵みの雨すら横滑りしていく

やっと蕾をつけた花は
茶色くなって枯れた
それが運命だと周囲に示しているかの様に

地面に倒れた旅人は
生を求めていた
地面を見つめる瞳は
ギラギラと燃えていた
自身を焦がす光線よりも熱く
瞳の中だけが多少の水分で満たされていた

(こんな所で終わってはなるものか…。)
乾いた唇の上を血は踊る
全身で生を求めていた

旅人は知ら

もっとみる