彩風

専門は書道/美しいものと自然🪷/ 芸術、旅行、読書、詩歌、哲学、散歩、登山、茶道、生…

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専門は書道/美しいものと自然🪷/ 芸術、旅行、読書、詩歌、哲学、散歩、登山、茶道、生物、陸上長距離 /福岡

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  • 美しい字を書く為の考察✏️

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美しい字を書くためには

最初はこのテーマについて書きたいと思います。 ひらがなに関しては46字の整った形を覚えるしかありません。「わ」「れ」「ね」や「け」「は」「ほ」などには共通項があ…

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1年前
63

筆で手紙を書くということ

学生時代の同期宛てに、筆で手紙を書いています。 当然ペンで書くよりも時間がかかり、紙幅も必要になります。 間違えたら書き直しになるので、鉛筆で原稿を用意し、何度…

彩風
2日前
10

簡単に答えは言わないよ

お習字を教える時、決まった時間で成果を出すために、私の持っている技術は惜しまず出しています。 ただ、何でも伝えればいいかというとそういうものではなく、「自分で考…

彩風
2週間前
19

恩師の言葉と本📖

私が大学生の時、恩師がこのように話していた。 「気になる本があったら買いなさい。今すぐ必要じゃなくても手元に置いておきなさい。」 先生の研究室はまさしく書庫で、…

彩風
3週間前
18

日本の美 かなで春の句を

随分暖かくなってきました。 出会いと別れの季節で、変化の多いこの時期は精神的な負担が増すように感じます。 そんな中でも、自然界に目を向けるとさまざまな鮮やかな花…

彩風
1か月前
19

大シルクロード展【福岡アジア美術館】

電車でふと目に入った、シルクロード展の文字。なんとも…複雑な感情です。いろいろな思いが混じる場所であります。 以前も書いた気がしますが、2006年に西安から敦煌まで…

彩風
1か月前
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曲水の宴 於太宰府天満宮

3月3日。 一般的には桃の節句として知られていますが、太宰府天満宮では曲水の宴という神事が行われる日です。 曲水の宴とは 元々は古代中国において寒さ和らぐ旧暦3月の…

彩風
2か月前
21

太宰府逍遥

かつて律令国家の西の拠点としてこの地に置かれた巨大な官衙、大宰府。奈良や京都の縮小版、といったところです。 ここは白村江の戦い以後、「大宰府政庁」が造営され重要…

彩風
3か月前
29

どのように「ひらがな」を書くか

「ゆ」と「す」を2通り書いてみました。 どちらがお好みですか? かつて日本には文字はありませんでしたね。 そんな中、中国から漢字が入ってきます。 漢字がいつごろ日…

彩風
3か月前
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芥川龍之介と夏目漱石と菅虎雄

こちら展覧会に芥川龍之介の「或阿呆の一生」の草稿が展示されていました。芥川龍之介の肉筆を見るのは初めてのことでした。 『或阿呆の一生』は死後に発表された遺稿の一…

彩風
3か月前
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12月後半、あっという間に過ぎ去ってきいました。あまりログイン出来ませんでしたが、今後も無理のない範囲で続けていきたいと思います。

さて、左は「龍」と読めますが、右は何でしょうね?実はこれも同じ字です。字書めくり、楽しいです。

みなさま、今年も一年ありがとうございました。

彩風
4か月前
15

風信帖 〜空海の手紙〜

11月頭、高野山を訪れたのち、東寺にも足を運びました。 何故ここに来たかというと国宝 風信帖 が展示されていたからです。 風信帖とは 2016年に大阪で「王羲之から空海…

彩風
5か月前
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本当の、一期一会

恐らく10年か、それ以上前になる。東京で先生のご自宅に書道のレッスンに行った翌日、畠山記念館を訪れた。 ※現在は改修工事のため休館中 茶道を習い始めて数年経ち、茶…

彩風
5か月前
26

漢字には、ちょっとだけ出るところがある

漢字の中には、下のように少し出さないといけない部分があります。 ◎右側 日、目、くにがまえの字、四、西…など 囲われた四角の中に何か書かないといけない場合は両端…

彩風
5か月前
21

再び、高野山へ

私には歴史上の人物で会いたい人が数人おり、その中の一人に弘法大師空海がいます。 ここ数年、弘法大師に関係するところを歩いてまわっています。 観世音寺(福岡)、東長…

彩風
5か月前
43

陸上競技部の監督から学ぶこと

「大東文化大学出身です。」 そう言うと、書道に詳しい人は「あぁ!」と言ってくださいます。 昔から書道が有名で、現在は「書道学科」もあります。 ただ、書道に詳しく…

彩風
6か月前
21
美しい字を書くためには

美しい字を書くためには

最初はこのテーマについて書きたいと思います。

ひらがなに関しては46字の整った形を覚えるしかありません。「わ」「れ」「ね」や「け」「は」「ほ」などには共通項がありますので、まとめて覚えるといいですね。

漢字に関してはまず主要な部首のポイントを覚えることです。というのも、漢字は結構同じパーツを組み合わせでできていることが多いため、頻出する部首やパーツのポイントを覚えていれば、複雑な漢字になったと

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筆で手紙を書くということ

筆で手紙を書くということ

学生時代の同期宛てに、筆で手紙を書いています。

当然ペンで書くよりも時間がかかり、紙幅も必要になります。
間違えたら書き直しになるので、鉛筆で原稿を用意し、何度か推敲します。

しかも筆で書く手紙は旧字体を使いたいという自分なりの拘りがあって、自信がない字に関しては字書を引くところから始まります。
もはや書作と同じことをやっております。。

デジタル化、ペーパーレス。紙の高騰。そんな時代。
その

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簡単に答えは言わないよ

簡単に答えは言わないよ

お習字を教える時、決まった時間で成果を出すために、私の持っている技術は惜しまず出しています。
ただ、何でも伝えればいいかというとそういうものではなく、「自分で考える」姿勢は忘れてほしくないと常々思っています。

子どもたちにハネやハライの書き方を質問されたとき、
「筆の角度や速さ、墨量は適切なのか、色々試してみて」
そう言ってまず一回色々とやってもらう。

習得は結果的に遠回りになってしまうかもし

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恩師の言葉と本📖

恩師の言葉と本📖

私が大学生の時、恩師がこのように話していた。

「気になる本があったら買いなさい。今すぐ必要じゃなくても手元に置いておきなさい。」

先生の研究室はまさしく書庫で、高い本棚が何列もあり、入口からその本棚と本棚の間の狭い通路を抜けた先に机が一つあって、先生は時々そこでタバコを吸っていた。ノートに名前を書いたら、図書館のように研究室の本を借りることもできた。
私はいつも、地震があったらこの部屋はどうな

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日本の美 かなで春の句を

日本の美 かなで春の句を

随分暖かくなってきました。
出会いと別れの季節で、変化の多いこの時期は精神的な負担が増すように感じます。

そんな中でも、自然界に目を向けるとさまざまな鮮やかな花が咲き、エネルギーが漲っている様子に元気をもらうことができるので、それらでバランスをとるようにしています。

ちょっとミツマタの写真を載せますね。
ミツマタは紙の原料として知られていますが、お花も本当に可愛らしい。

今回は春の句を幾つか

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大シルクロード展【福岡アジア美術館】

大シルクロード展【福岡アジア美術館】

電車でふと目に入った、シルクロード展の文字。なんとも…複雑な感情です。いろいろな思いが混じる場所であります。

以前も書いた気がしますが、2006年に西安から敦煌まで転々と旅をしたことがあります。

大学2年生の時、そうだ!書道だけ勉強するより留学しちゃれ!と思いついて、学内の掲示板に張り出してあった交換留学の試験を受けて翌年、北京師範大学に一年通うことになります。
7月に入ると夏休みになったので

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曲水の宴  於太宰府天満宮

曲水の宴 於太宰府天満宮

3月3日。
一般的には桃の節句として知られていますが、太宰府天満宮では曲水の宴という神事が行われる日です。

曲水の宴とは

元々は古代中国において寒さ和らぐ旧暦3月の最初の巳の日、川べりに集って沐浴し、冬の季節に積もった不浄を清めるという儀式がありました。
王羲之の最高傑作とされる 『蘭亭序』もまた、この禊祓後の雅会である曲水の宴においてこれらの詩篇の序文を揮毫したものです。

この風習が日本に

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太宰府逍遥

太宰府逍遥

かつて律令国家の西の拠点としてこの地に置かれた巨大な官衙、大宰府。奈良や京都の縮小版、といったところです。
ここは白村江の戦い以後、「大宰府政庁」が造営され重要な政治の中核を果たしていました。

春はお花見で賑わいます。
ちょうど今は梅の時期。万葉集では桜より圧倒的に梅を詠んだ歌が多いですよね。
雨粒を纏わせながら、芳芬な香りを放っています。

大宰府政庁から東に少し進むと戒壇院があります。戒壇院

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どのように「ひらがな」を書くか

どのように「ひらがな」を書くか

「ゆ」と「す」を2通り書いてみました。

どちらがお好みですか?

かつて日本には文字はありませんでしたね。
そんな中、中国から漢字が入ってきます。
漢字がいつごろ日本に来たかは諸説ありますが、凡そ4世紀ごろから本格的に入ってきたようです。

細かなことを省略して書くと、「かな(ひらがな)」はそんな漢字の草書体(最も簡略化された速く書くための書体)をくずしてできた文字になります。
だれかが「かなを

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芥川龍之介と夏目漱石と菅虎雄

芥川龍之介と夏目漱石と菅虎雄

こちら展覧会に芥川龍之介の「或阿呆の一生」の草稿が展示されていました。芥川龍之介の肉筆を見るのは初めてのことでした。

『或阿呆の一生』は死後に発表された遺稿の一つです。
原稿用紙のマスにぎゅっと押し込められた字。
しかもそれは非常に個性的で、男とも女ともつかない、これだけでフォントができそう…そんな特徴的な字。

約十年前に書かれた「鼻」「芋粥」の草稿とは全く違うその筆跡には、確かに何か病的な匂

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12月後半、あっという間に過ぎ去ってきいました。あまりログイン出来ませんでしたが、今後も無理のない範囲で続けていきたいと思います。

さて、左は「龍」と読めますが、右は何でしょうね?実はこれも同じ字です。字書めくり、楽しいです。

みなさま、今年も一年ありがとうございました。

風信帖 〜空海の手紙〜

風信帖 〜空海の手紙〜

11月頭、高野山を訪れたのち、東寺にも足を運びました。
何故ここに来たかというと国宝 風信帖 が展示されていたからです。

風信帖とは

2016年に大阪で「王羲之から空海へ」という展覧会があり、その時に風信帖を目にしているのでその時以来。

第一通から第三通まで一つの巻子(横長の巻物)になっています。

第一通は王羲之の書法に則った謹厳なもの。
第二通は墨がよくのっていて、力強く印象強い。
第三

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本当の、一期一会

本当の、一期一会

恐らく10年か、それ以上前になる。東京で先生のご自宅に書道のレッスンに行った翌日、畠山記念館を訪れた。

※現在は改修工事のため休館中

茶道を習い始めて数年経ち、茶道具にも興味が芽生え始めた頃だ。

畠山記念館とは

記念館は豊かな自然の中にあり、室内の一角にある茶室ではお茶をいただけるという。
展示を観終わったあと、一服いただいていこうと思い、申し込みをする為に並んでいると、隣に居らっしゃった

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漢字には、ちょっとだけ出るところがある

漢字には、ちょっとだけ出るところがある

漢字の中には、下のように少し出さないといけない部分があります。

◎右側 日、目、くにがまえの字、四、西…など

囲われた四角の中に何か書かないといけない場合は両端の下が少し出ます。

◎左側 口、中、虫…など

中に何も書かない場合や縦線が中心を通過するだけの場合は左下が下に、右下が横に少し出ます。

では、「回」になるとどうなるか? 
原則は同じなので、こうなります。

ちょっと紛らわしいです

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再び、高野山へ

再び、高野山へ

私には歴史上の人物で会いたい人が数人おり、その中の一人に弘法大師空海がいます。

ここ数年、弘法大師に関係するところを歩いてまわっています。
観世音寺(福岡)、東長寺(福岡)、鎮国寺(福岡)、東大寺(奈良)、興福寺(奈良)、元興寺(奈良)、久米寺(奈良)、善通寺(香川)、天河大辨財天社(奈良)、そして東寺(京都)と高野山金剛峯寺(和歌山)など。
まだまだ行きたいところが色々あります。

長安(西安

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陸上競技部の監督から学ぶこと

陸上競技部の監督から学ぶこと

「大東文化大学出身です。」
そう言うと、書道に詳しい人は「あぁ!」と言ってくださいます。

昔から書道が有名で、現在は「書道学科」もあります。

ただ、書道に詳しくない方からすると箱根駅伝のイメージが強いようで、「昔、箱根駅伝強かったよね?」と言われることもあります。

昔箱根駅伝強かった ということは、今はそうではないということです。笑
本戦に出てもシード権取れないとか、予選会に回っても本戦出場

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