彩風

専門は書道/美しいものと自然🪷/ 芸術、旅行、読書、詩歌、哲学、散歩、登山、茶道、生…

彩風

専門は書道/美しいものと自然🪷/ 芸術、旅行、読書、詩歌、哲学、散歩、登山、茶道、生物、陸上長距離 /福岡

マガジン

  • 美しい字を書く為の考察✏️

最近の記事

  • 固定された記事

美しい字を書くためには

最初はこのテーマについて書きたいと思います。 ひらがなに関しては46字の整った形を覚えるしかありません。「わ」「れ」「ね」や「け」「は」「ほ」などには共通項がありますので、まとめて覚えるといいですね。 漢字に関してはまず主要な部首のポイントを覚えることです。というのも、漢字は結構同じパーツを組み合わせでできていることが多いため、頻出する部首やパーツのポイントを覚えていれば、複雑な漢字になったとしても大きく形を崩すことがありません。 あとは大まかで結構なので字の形(◇や〇

    • 簡単に答えは言わないよ

      お習字を教える時、決まった時間で成果を出すために、私の持っている技術は惜しまず出しています。 ただ、何でも伝えればいいかというとそういうものではなく、「自分で考える」姿勢は忘れてほしくないと常々思っています。 子どもたちにハネやハライの書き方を質問されたとき、 「筆の角度や速さ、墨量は適切なのか、色々試してみて」 そう言ってまず一回色々とやってもらう。 習得は結果的に遠回りになってしまうかもしれないけれど、私の経験上教えられたことは簡単に忘れてしまう一方で自分で発見したこ

      • 恩師の言葉と本📖

        私が大学生の時、恩師がこのように話していた。 「気になる本があったら買いなさい。今すぐ必要じゃなくても手元に置いておきなさい。」 先生の研究室はまさしく書庫で、高い本棚が何列もあり、入口からその本棚と本棚の間の狭い通路を抜けた先に机が一つあって、先生は時々そこでタバコを吸っていた。ノートに名前を書いたら、図書館のように研究室の本を借りることもできた。 私はいつも、地震があったらこの部屋はどうなるのだろうと思っていた。 その先生の教え通りに私は本を買い続け、結果として未読

        • 日本の美 かなで春の句を

          随分暖かくなってきました。 出会いと別れの季節で、変化の多いこの時期は精神的な負担が増すように感じます。 そんな中でも、自然界に目を向けるとさまざまな鮮やかな花が咲き、エネルギーが漲っている様子に元気をもらうことができるので、それらでバランスをとるようにしています。 ちょっとミツマタの写真を載せますね。 ミツマタは紙の原料として知られていますが、お花も本当に可愛らしい。 今回は春の句を幾つか書いてみました。変体仮名を使っています。明治33年に小学校令施行規則で一音一字の

        • 固定された記事

        美しい字を書くためには

        マガジン

        • 美しい字を書く為の考察✏️
          8本

        記事

          大シルクロード展【福岡アジア美術館】

          電車でふと目に入った、シルクロード展の文字。なんとも…複雑な感情です。いろいろな思いが混じる場所であります。 以前も書いた気がしますが、2006年に西安から敦煌まで転々と旅をしたことがあります。 大学2年生の時、そうだ!書道だけ勉強するより留学しちゃれ!と思いついて、学内の掲示板に張り出してあった交換留学の試験を受けて翌年、北京師範大学に一年通うことになります。 7月に入ると夏休みになったので、現地で知り合った(日本の同じ大学の)大学院生の先輩と旅行しよう!という話になり

          大シルクロード展【福岡アジア美術館】

          曲水の宴 於太宰府天満宮

          3月3日。 一般的には桃の節句として知られていますが、太宰府天満宮では曲水の宴という神事が行われる日です。 曲水の宴とは 元々は古代中国において寒さ和らぐ旧暦3月の最初の巳の日、川べりに集って沐浴し、冬の季節に積もった不浄を清めるという儀式がありました。 王羲之の最高傑作とされる 『蘭亭序』もまた、この禊祓後の雅会である曲水の宴においてこれらの詩篇の序文を揮毫したものです。 この風習が日本に伝わり、今もいくつかの寺社で曲水の宴は再興されています。そのうちの一つが福岡県太

          曲水の宴 於太宰府天満宮

          太宰府逍遥

          かつて律令国家の西の拠点としてこの地に置かれた巨大な官衙、大宰府。奈良や京都の縮小版、といったところです。 ここは白村江の戦い以後、「大宰府政庁」が造営され重要な政治の中核を果たしていました。 春はお花見で賑わいます。 ちょうど今は梅の時期。万葉集では桜より圧倒的に梅を詠んだ歌が多いですよね。 雨粒を纏わせながら、芳芬な香りを放っています。 大宰府政庁から東に少し進むと戒壇院があります。戒壇院は大和の東大寺、下野の薬師寺、筑紫の観世音寺の3ヶ所に置かれました。 僧侶に戒律

          太宰府逍遥

          どのように「ひらがな」を書くか

          「ゆ」と「す」を2通り書いてみました。 どちらがお好みですか? かつて日本には文字はありませんでしたね。 そんな中、中国から漢字が入ってきます。 漢字がいつごろ日本に来たかは諸説ありますが、凡そ4世紀ごろから本格的に入ってきたようです。 細かなことを省略して書くと、「かな(ひらがな)」はそんな漢字の草書体(最も簡略化された速く書くための書体)をくずしてできた文字になります。 だれかが「かなを作ろう!」として計画的に作ったものではなく、自然にできたものです。 例えば、「

          どのように「ひらがな」を書くか

          芥川龍之介と夏目漱石と菅虎雄

          こちら展覧会に芥川龍之介の「或阿呆の一生」の草稿が展示されていました。芥川龍之介の肉筆を見るのは初めてのことでした。 『或阿呆の一生』は死後に発表された遺稿の一つです。 原稿用紙のマスにぎゅっと押し込められた字。 しかもそれは非常に個性的で、男とも女ともつかない、これだけでフォントができそう…そんな特徴的な字。 約十年前に書かれた「鼻」「芋粥」の草稿とは全く違うその筆跡には、確かに何か病的な匂いが漂っています。 とはいえ、芥川龍之介は書画をよくする人です。 菅虎雄に宛て

          芥川龍之介と夏目漱石と菅虎雄

          12月後半、あっという間に過ぎ去ってきいました。あまりログイン出来ませんでしたが、今後も無理のない範囲で続けていきたいと思います。 さて、左は「龍」と読めますが、右は何でしょうね?実はこれも同じ字です。字書めくり、楽しいです。 みなさま、今年も一年ありがとうございました。

          12月後半、あっという間に過ぎ去ってきいました。あまりログイン出来ませんでしたが、今後も無理のない範囲で続けていきたいと思います。 さて、左は「龍」と読めますが、右は何でしょうね?実はこれも同じ字です。字書めくり、楽しいです。 みなさま、今年も一年ありがとうございました。

          風信帖 〜空海の手紙〜

          11月頭、高野山を訪れたのち、東寺にも足を運びました。 何故ここに来たかというと国宝 風信帖 が展示されていたからです。 風信帖とは 2016年に大阪で「王羲之から空海へ」という展覧会があり、その時に風信帖を目にしているのでその時以来。 第一通から第三通まで一つの巻子(横長の巻物)になっています。 第一通は王羲之の書法に則った謹厳なもの。 第二通は墨がよくのっていて、力強く印象強い。 第三通は比較的軽快な筆致で、草書が多く用いられる瀟酒な書風。 一つの巻子になるとそ

          風信帖 〜空海の手紙〜

          本当の、一期一会

          恐らく10年か、それ以上前になる。東京で先生のご自宅に書道のレッスンに行った翌日、畠山記念館を訪れた。 ※現在は改修工事のため休館中 茶道を習い始めて数年経ち、茶道具にも興味が芽生え始めた頃だ。 畠山記念館とは 記念館は豊かな自然の中にあり、室内の一角にある茶室ではお茶をいただけるという。 展示を観終わったあと、一服いただいていこうと思い、申し込みをする為に並んでいると、隣に居らっしゃった中年の女性に話しかけられた。 お茶をしているのか。どこから来たのか。そんな話を

          本当の、一期一会

          漢字には、ちょっとだけ出るところがある

          漢字の中には、下のように少し出さないといけない部分があります。 ◎右側 日、目、くにがまえの字、四、西…など 囲われた四角の中に何か書かないといけない場合は両端の下が少し出ます。 ◎左側 口、中、虫…など 中に何も書かない場合や縦線が中心を通過するだけの場合は左下が下に、右下が横に少し出ます。 では、「回」になるとどうなるか?  原則は同じなので、こうなります。 ちょっと紛らわしいですが、覚えてしまうと簡単です。 ヘッダーは4年生の子の字です。 ちゃんとできてる

          漢字には、ちょっとだけ出るところがある

          再び、高野山へ

          私には歴史上の人物で会いたい人が数人おり、その中の一人に弘法大師空海がいます。 ここ数年、弘法大師に関係するところを歩いてまわっています。 観世音寺(福岡)、東長寺(福岡)、鎮国寺(福岡)、東大寺(奈良)、興福寺(奈良)、元興寺(奈良)、久米寺(奈良)、善通寺(香川)、天河大辨財天社(奈良)、そして東寺(京都)と高野山金剛峯寺(和歌山)など。 まだまだ行きたいところが色々あります。 長安(西安)で弘法大師が修行した場所「青龍寺」にも行きましたが、こちらは17年前で記憶が曖

          再び、高野山へ

          陸上競技部の監督から学ぶこと

          「大東文化大学出身です。」 そう言うと、書道に詳しい人は「あぁ!」と言ってくださいます。 昔から書道が有名で、現在は「書道学科」もあります。 ただ、書道に詳しくない方からすると箱根駅伝のイメージが強いようで、「昔、箱根駅伝強かったよね?」と言われることもあります。 昔箱根駅伝強かった ということは、今はそうではないということです。笑 本戦に出てもシード権取れないとか、予選会に回っても本戦出場が叶わないとか、まぁ厳しい状況でした。 最近は女子の方が成績良かったですね。

          陸上競技部の監督から学ぶこと

          伝統的工芸品 赤間硯

          私たち「書」を書く人間にとって無くてはならないもの。それが文房四宝といわれる筆・墨・硯・紙です。 宝というくらい大切なものであり道具のことを知らなければ字は書けんやろう。 ということで、筆は広島、墨は奈良、紙は岐阜に足を運んで見て歩いたわけですが、硯だけは未だにどこにも行ったことがありませんでした。 硯は中国の端渓硯が有名で、私も20年愛用している硯が二面あります。 どちらも母からもらったもので、普段はこれらを使っています。 和硯(日本の硯)でいうと、宮城の雄勝硯が手元

          伝統的工芸品 赤間硯