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子育てに関する記事

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子育てに関する記事だけをまとめました。
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記事一覧

バスに揺られ、一歩先へ進んでしまった子供たち。

バスに揺られ、一歩先へ進んでしまった子供たち。

不安そうな顔をした子供たちがバスに乗り込む。バイバイとぼくに手を振り、二人は並んで席に座る。

そのバスは他に乗客がおらず、静かに、しかし確かに彼らだけを乗せて走り出した。周りは静まり返り、バスのエンジン音だけが鳴り響く。

窓越しに見える不安げな彼らの横顔が、ぼくの前からスローモーションのようにゆっくりと通り過ぎていく。

寒い冬の終わりの風が吹き抜ける中、ぼくはしばらくの間、小さくなるバスのテ

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子供のスイミングスクール選びから考えた「組織と個人の目的不適合」問題。

子供のスイミングスクール選びから考えた「組織と個人の目的不適合」問題。

「なんでぼくは泳げないの?」

小学生2年生の夏休み、息子がそう言ったんです。

水泳の授業中、スイスイ泳げる子がいる一方で自分は溺れる子犬のように泳げない。なんでなんだ…?

そんな単純な疑問が湧いたようでした。

来年の夏までに泳げるようになりたいとのことだったので、近所の通いやすい水泳教室を選び、毎週通うことになりました。

ですが、一年経っても息継ぎすらまともにできず、クロールなんて夢のま

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乳幼児を抱え、夫は非協力的で、うつ気味になってしまったママへのアドバイス。

乳幼児を抱え、夫は非協力的で、うつ気味になってしまったママへのアドバイス。

子どもがまだ一歳、夫は家事育児に非協力、自分(妻)はうつ気味になってしまい、どうしたらいいかわからない。

たまにそんなお悩み相談をいただくことがあります。今朝のVoicyでは、ぼくが考えられる範囲でのアドバイスをお話ししました。

ですが…!

このトピックは荒波を潜り抜けた女性の方が詳しいはず。

ということで、Voicyコメント欄にてリアルな体験談やアドバイスを募っております。すでに何人かの

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そうだよ。親も楽しんじゃえばいいんだよ。

そうだよ。親も楽しんじゃえばいいんだよ。

「いや、ほんとにわたしたちがアレを着てよかったよ!」

妻はしみじみとそう言った。

子どもたちが寝静まり、二人でお菓子をつまみながら旅の思い出を話しているときのことだった。

ぼくらのスマホには旅の写真がぎっしりと詰まっていた。

なかでも一際目を引くのは、侍のぼく、町娘の妻、殿様の長男、新撰組の次男、これまた侍の三男。

家族で訪れた日光江戸村での写真だ。

初めは子どもだけでもいいかなと思っ

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子どもの習いごとのやめ時、どうしてる?習いごとを入れ替えまくっている我が家の判断基準。

子どもの習いごとのやめ時、どうしてる?習いごとを入れ替えまくっている我が家の判断基準。

「もう、水泳やめたいんだよね……。」

家の前で子どもと遊んでいると、たまたま通りかかった親子連れの会話が聞こえてきた。

お母さんと小学校低学年の女の子。

「そうねぇ、でも最後までやらないとねー」

お母さんは子どもの言葉を受け流し、子どもは下をうつむいたままぼくらの前を通り過ぎて行く。

子どもは習いごとを辞めたい。親は辞めさせたくない。

うちの子たちが3年生になると、こんな話をまわりから

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”軸”を決めたら子どもとのお出かけが楽しくなった話。

”軸”を決めたら子どもとのお出かけが楽しくなった話。

「この町って、源範頼が隠れ住んでたんだって」

ぼくがそう言うと、妻は「えー!本当に?」と説明書きを興味深げに覗き込んだ。

ここは埼玉県吉見町、ぼくらは古墳時代の遺跡である吉見百穴を家族で訪れていた。

一年前のぼくらなら絶対に行かなかった場所だ。

この場所のことは以前から知っていたけど、ただの「壁に空いた穴」としかぼくは思っていなかった。

だけど、今のぼくらはそこに古代人の息吹を感じること

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なぜ、過酷な子育てライフがプライベートを充実させるのか?

なぜ、過酷な子育てライフがプライベートを充実させるのか?

「子どもが生まれたら時間なくなるから、一人で旅行でもしてきたら?」

子どもが生まれる3か月前、妻がそう言ったんです。

双子であることがわかっていたので、あわただしい日々の前にぼくに最後の自由時間を与えようと思ったようです。

色々悩みましたが、結局ぼくはどこにも行かず、ずっと作れなかったスター・ウォーズのプラモデルを作っただけでした。

あの頃はいくらでも時間があり、子どもが生まれればなにもで

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子供の本棚から知育系を取払い、戦国モノでいっぱいにした話。

子供の本棚から知育系を取払い、戦国モノでいっぱいにした話。

「出陣じゃー!」「首を取れー!」「討ち取ったりー!」

今、我が家では物騒な言葉が飛び交っている。

子どもたち(8歳、8歳、4歳)が戦国モノにハマり、連日連夜、家の中で武将ごっこをしているからだ。

おもちゃの剣を握りしめ、リビングを駆け回り、階段を駆け上がり、誰かが転んで泣き出すまでこの遊びは続いていく。

織田信長、徳川家康、豊臣秀吉、武田信玄、上杉謙信……。

他にもマイナーな武将の名前を

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ブライチャーの英会話レッスンが教えてくれた意外な子育てのヒント

ブライチャーの英会話レッスンが教えてくれた意外な子育てのヒント

「NO!NO!わたしはそう発音してないよ。こうだよ」

Skype越しに、先生はぼくの間違った発音と正しい発音を交互に発音してくれた。

あぁ、そうだった。ここはよく間違えちゃんだよな。

「これで合ってる?」

「O K!よくできてる!」

ぼくがブライチャーの発音レッスンで、ミスを指摘されない日はない。

日本人にありがちなRとLの取り違えや、イントネーションを置くところを間違えたり。

先生

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すくい上げたい”喜びの記憶”という砂。

すくい上げたい”喜びの記憶”という砂。

「そこはSorryじゃなくて、Thank youの方がいいよ」

クラスに5分ほど遅れてしまい、Sorryと謝ったぼくに先生はそう言った。

Skype画面の向こうでは、扇風機の風が、濡れた先生の髪を乾かすように吹いている。

さっきまで海で泳いでいたそうだ。

SorryじゃなくてThank you for waiting の方がいいよと言われたとき、ぼくは一瞬なんのことかわからなかった。

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一瞬のきらめきのような幸福感の正体が知りたくて、ぼくは今日も早く家に帰る。

一瞬のきらめきのような幸福感の正体が知りたくて、ぼくは今日も早く家に帰る。

上の子たちが生まれてからの3年間。ぼくは外からはいい夫に見えたと思う。

子どもたちと一緒に遊び、いつでも抱っこをし、残業せずまっすぐ家に帰る。

だけど、ぼくは本質的なことにまったく気がついていなかった。

出産直後の妻に必要なものは、育児をする夫ではなく、優しくいたわってくれる夫だということに。

もちろん、夫が家事育児をすることは必要だけど、ぼくはその行動自体が目的になっていた。

「子ども

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カウンター式ダイニングテーブルが、次男の涙を消してくれた話

カウンター式ダイニングテーブルが、次男の涙を消してくれた話

次男の様子がおかしいことにぼくらが気がついたのは、彼が泣きながら家に帰るようになってからだった。

小学校2年生になってから、彼は家に着いたとたん、まさに玄関を開けた瞬間から泣き出すようになった。

家に帰るたびに泣き出す次男を見て、ぼくと妻の心はキュッと締め付けられた。自分のことよりも何倍も辛いと感じてしまう。

泣きながらしどろもどろに話す彼の言葉はよくわからず、なんども聞き返してやっとなにが

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「いたいのいたいの 飛んでけー!」が生む"子どもの発達課題"という呪い

「いたいのいたいの 飛んでけー!」が生む"子どもの発達課題"という呪い

「いたいのいたいの 飛んでけー!」

子どもの頃、ちょっとしたケガ(足をすりむいたり)をしたときに、親からそう言われたことはありませんか?

ぼくは自分の子どもにも言ったことがあります。

「これくらい大丈夫だよ。そんなに痛くないでしょ」

と、泣きくれる子どもに言ったことが。

だけど、よく考えてみると、”子どもの痛いという身体感覚”と”ぼくの身体感覚”は別ものですよね?

子どもの痛覚とぼくの

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子どもの感情コントロールを育てる"おにぎり脳"

子どもの感情コントロールを育てる"おにぎり脳"

「ちゅうしゃ、イヤだーー!」

そう言うと、4歳の三男はぼくの腕から抜け出し、診察室から脱走しようとした。

ぼくと看護師さんで暴れる三男を押さえつけ、なんとか注射を打つことができた。

家に帰るあいだ、シクシクと半べそをかき続ける三男は、ぼくにしがみつき離れようとしなかった。

子どもが生まれると、こんなことが増えますよね。

道で転んで泣いたり、雨が降っているのに外で遊びたいとぐずったり、菓子

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