子供の本棚から知育系を取払い、戦国モノでいっぱいにした話。
「出陣じゃー!」「首を取れー!」「討ち取ったりー!」
今、我が家では物騒な言葉が飛び交っている。
子どもたち(8歳、8歳、4歳)が戦国モノにハマり、連日連夜、家の中で武将ごっこをしているからだ。
おもちゃの剣を握りしめ、リビングを駆け回り、階段を駆け上がり、誰かが転んで泣き出すまでこの遊びは続いていく。
織田信長、徳川家康、豊臣秀吉、武田信玄、上杉謙信……。
他にもマイナーな武将の名前を叫びながら、今日も子どもたちは走り回っている。
なぜ、こんなことになったかというと、子どもたちの本棚を戦国時代の歴史マンガだらけにしたことが大きかったと思う。
子どもたちの興味関心が極端に戦国時代に傾いていることに気がついた妻とぼくは、いっそのこと彼らの好奇心の流れにまかせてみようと思ったのだ。
子どもの教育に悩む親は(ぼくも含め)多いけど、子どもたちの好奇心の源泉を見つけることができたら、それがなんであれ、そこにフルベットするといいのかもしれないと最近は思っている。
うちの場合、それが戦国だった。
◇
子どもが少しでも興味を持ったら本や図鑑を買ってあげるようにしていました。
一時期は鉱石にハマっていたので、石の図鑑や鉱石見本を買い、上野の博物館で開かれた宝石展示会にも行きました。
宇宙に興味があった時期もあり、宇宙に関する図鑑を何冊か買ってあげたこともありました。
だけど、どれもこれも長続きせず、結局本棚にしまわれたまま、何度も手に取ることはなくなってしまうんですよね。
子どもの興味関心を伸ばしたいと言いつつ、おそらく親の欲目がかなり混じっていたんだと思います。
科学や宇宙に興味を持ってもらいたい。「勉強」になるような分野に興味を持ってもらいたいと、心の奥で思っていたんです。
親ならば、どうしてもそういった欲目が出てしまいますよね。
以前、小学4年生の甥っ子がうちに遊びに来たとき、子どものために買った本を見て、彼はこう言ったんです。
「おじさんちにある本、うちと同じだね」
その時、気がついたんです。
ぼくは子どもの興味関心のためと言いながら、知育のために買っていたのだと。
誰の家にもあるような本や図鑑を子どもに与えることで、それらの本が本棚にあることで安心していたんだと。
その時はどうすればいいのかわかりませんでしたが、転機となったのは大河ドラマ「どうする家康」でした。
このドラマには服部半蔵が出てくるので、忍者好きの三男(4歳)と一緒に見ようと思ったのです。
ですが、ドラマにハマってしまったのはぼくら親の方でした。
脇を固める俳優が最高の仕事をしているんです。
特に服部半蔵役の山田孝之と本多正信役の松山ケンイチの掛け合いがすごく良くて、まるで別の映画を見ているみたいなんです。
子どもたちもドラマの影響で、すっかり戦国の魅力に取り憑かれたしまったようです。
学校の図書室から戦国マンガを何冊も借りてきたり、マイクラ実況動画しか見ていなかったのに信長の野望(シミュレーションゲーム)の実況動画を見るようになったり。
ずいぶん趣味が変わってきたんです。
妻も大河ドラマにハマり、ついにNHKオンデマンドを契約し、鎌倉殿の13人を夜な夜な見ては涙を流しています。
家族旅行も聖地巡礼の旅となり、名古屋に決定です。
名古屋城と清洲城を心ゆくまで堪能してきました。
すっかり戦国一色に染まったぼくらは、メルカリで戦国マンガを買い漁りました。
初めは子どもが好きだから買っていましたが、途中から親が読みたくて買うようになりました。
「それ、ぼく学校で読んだよ」なんて子どもが言いますが、「ママが読みたいの」と妻が自分用にどんどん買っていきました。
今の本棚はこんな感じです。
何冊か子どもたちがベッドに持ち込んでいるので、すべてではないですが、こんな感じに戦国一色になっています。
子どもたちが興味を持たなくなった科学、宇宙、恐竜などの本や図鑑はすべて押入れにしまいました。
戦国マンガを読み漁り、武将ごっこに明け暮れることが、いったいなんの役に立つのかさっぱり分かりませんが、子どもたちが楽しそうにしているから、もうこれでいいのかなと思っているんです。
おそらく、妻が戦国モノにハマったことも大きな要因だと思うんです。隙あればソファーで戦国マンガを読んでいますから。
子どもたちが何かに強い興味関心を持って欲しいなと思っていましたが、まさか戦国時代だとは思いもしませんでした。
どうしても知育(それも理数系)系のものに興味を持って欲しいと思ってしまいますが、毎日のように武将クイズをしまくっている彼らを見ていると、もうこれでいいのかなって思うんです。
戦国にハマる彼らがどこに行くのかさっぱりわからないけれど、しばらく付き合っていこうと思います。
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