花見こう

花見こうと申します。 普段なかなか話せないような、何気のない日常風景を書きたくなります…

花見こう

花見こうと申します。 普段なかなか話せないような、何気のない日常風景を書きたくなります。 おもしろい出来事も書きたくなります。 誰かひとりにでも読んでもらえたら、書いた意味合いがあったと感じます。 時間があれば読んでみてください。 どうぞよろしくお願いします。

記事一覧

真夏の終り

ぼくらの七日間戦争やグーニーズ、スタンドバイミーみたいな映画がやっぱり好きだ。 少年たちの世界が好きだ。 大人ではない世界が好きだ。 上手くいえない世界が好きだ。 …

花見こう
6時間前
9

エアコンのことをクーラーと言うおばあちゃんが好きだった。冬の冷える日に訪ねると、「こうちゃんクーラー付けや」と必ずそう言ってくれた。僕はうんとだけ答えていた。言葉の一つで情感や体感までがこうも変わるのかと言葉の魔力を知った。ずっと前のことをまるで今日の陽炎のようにモワと想い出す。

花見こう
3週間前
6

父親が星になって今日で十年が流れた。僕も同じように齢を重ねた。少しは成長したのだろうか?寝たときから時が全く経っていないような目覚めの情感だ。守ってくれているのだと、都合よく思っている。いやいやもう、どこかの何かになっている、そんな気もしている。あの日も今日もたしかに生きている。

花見こう
1か月前
6

まじめな鳥

気を使いすぎた、ある痩せた鳥がいた。 彼は赤粘土と尖った岩石が入り混じった垂直絶壁の頂きに休んでいた。 四方も八方も遠くまで見わたせる、それはきれいに澄んだ場所で…

花見こう
1か月前
8

ひとりひとこと

noteを始めて二年が経ちました。 時間は早いのでしょうか、遅いのでしょうか。 少しだけ振り返ってみました。 知り合えたこと、作品に出会えたこと、言葉に出来たこと、読…

花見こう
1か月前
6

星は光る

迷いに迷って、真顔で、行ったりきたりしながら、A駅の改札を抜けた。 そうかあ、こんなんだったんだ。 好きな感じの空気感だ。 しばらくあたりをながめて見渡して僕はゆっ…

花見こう
2か月前
14

桜の下の満開で。満開で。

たくさんの花々があちらこちらと咲きほこり続けるというのに、桜一つ、どうしてこんなにも人の心を特別に引きつけるのだろう? 先日、桜は枯れないから美しいのだと書く人…

花見こう
5か月前
9

たしかなここは夢でなく

いつからか近所にいたはずのカタツムリを見かけなくなった。いなくなった。 雨になれば、控えめな振る舞いを堂々と披露してくれた。 視線を変えるたびに彼方此方と目に映り…

花見こう
5か月前
4

年始、久方ぶりの上京から早々に、また行くことが出来た。特別な予定は何もない。一緒に食べたり、話したり、笑ったり、音楽を聴きにも行けた。それだけで本当に嬉しい。日々、一匹男のような暮らしだけど、やっぱり二人は楽しい。岩崎航さんの五行詩を詠んだ。できることの有り難みを深く噛み締める。

花見こう
5か月前
4

休みの日に普段通りに家を出た。同じ電車に乗る。途中下車をする。喫茶店に入る。地味な非日常がうれしい。頭は冴えてすらすら書ける。見ると結構に経っていた。クッキー展は女性の渦と活力に尻込みですぐに退散した。そうだ、久しぶりに静かな映画を観よう。このままが続けばいいのに。ホント?ユメ?

花見こう
6か月前
5

月の視線にたえかねたって。

月世界へ行った。 音楽の世界へ行った。 やり場を失くして追いやられた昭和の活力たちが、やっとこさたどり着くことのできたそこは、薄暗く、ほのかでしかし優しげな空間だ…

花見こう
7か月前
9

過去にもつぶやきましたが、コーヒーが好きです。フルーティーで飲口のさっぱりしたものが好みです。このような豆を再び見つけました。甘みもあって口当たりがさらっと軽くあとあじも引きません。あと手軽に買えて似たようなのは、スタバの「ライトノート」です。同じような嗜好の方におすすめします。

花見こう
7か月前
5

冥福とは何だろう。意味を調べれば死後の幸福とある。死後の幸福って何なの。そんな不確かな、誰一人として知り得ないものを祈られて故人は喜ぶのだろうか。僕ならゆっくり休んでとか、御冥福を・・でなく、さあさあ次の世界ですよ、新たな冒険の始まりね、そう言われたい。睦月の宙にも届きますよに。

花見こう
7か月前
4

東京駅に行きました。10年ぶりです。音楽と友人に会いに行きました。久しぶりの声に、過ぎたはずのぜんぶはすぐに元に戻って、ああ不思議だな。わいわい楽しくて、嬉しいもんだ。一度きりの人生において知り合えた偶然の奇跡を見つめて、そうだ、そう、また近いうちに行こう。すいすいと泳ぎながら。

花見こう
8か月前
5

今年はどんな時間であっただろう。やっぱり一番の喜びはnoteで小説が書けたことだろう。初めてにして遺小説と言えば大層すぎるけど、内面を満足に書けたことが何より嬉しかった。読んでくれた方もいて、改めてありがとうございました。なんにもないけれど、来年も跳ねていきたい。そうおもい兎末。

花見こう
8か月前
4

先日初めて教会に行きました。礼拝ではなくて音楽です。おゝ高い天井。何だか落ちつくなあ。机上、目を閉じる。ふわふわふわり。浮遊する何者か。ぶら下がる裸電球。全てが溶け合って、掛け合って、調和している。ここに大きな雑音なんてない。たしかな唄声が自由に跳ね回り響ききる。駿馬みたいに。

花見こう
8か月前
8
真夏の終り

真夏の終り

ぼくらの七日間戦争やグーニーズ、スタンドバイミーみたいな映画がやっぱり好きだ。
少年たちの世界が好きだ。
大人ではない世界が好きだ。
上手くいえない世界が好きだ。
言葉にできない記憶が好きだった。

小さな頃から小6くらいまで、春、夏、秋、冬、晴、雨、くもり、温かい、涼しい、暑い、寒い、汗やら縮こまり、ほんのり雪化粧とか、浮き沈みやら、あやしい空なんか関係なく、一年中、特に夏休みともなれば、時間が

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エアコンのことをクーラーと言うおばあちゃんが好きだった。冬の冷える日に訪ねると、「こうちゃんクーラー付けや」と必ずそう言ってくれた。僕はうんとだけ答えていた。言葉の一つで情感や体感までがこうも変わるのかと言葉の魔力を知った。ずっと前のことをまるで今日の陽炎のようにモワと想い出す。

父親が星になって今日で十年が流れた。僕も同じように齢を重ねた。少しは成長したのだろうか?寝たときから時が全く経っていないような目覚めの情感だ。守ってくれているのだと、都合よく思っている。いやいやもう、どこかの何かになっている、そんな気もしている。あの日も今日もたしかに生きている。

まじめな鳥

まじめな鳥

気を使いすぎた、ある痩せた鳥がいた。
彼は赤粘土と尖った岩石が入り混じった垂直絶壁の頂きに休んでいた。
四方も八方も遠くまで見わたせる、それはきれいに澄んだ場所であった。
しかし彼はつらくてしんどい世界を生きていた。
そして彼は何かを待っていた。

しびれを切らせたように、彼は思いっきり勢いをつけて、逃げるように前へ向かって羽ばたいた。
数時間か数日か数年を飛び続けた。
ある日彼の眼前にいきなり休

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ひとりひとこと

noteを始めて二年が経ちました。
時間は早いのでしょうか、遅いのでしょうか。
少しだけ振り返ってみました。
知り合えたこと、作品に出会えたこと、言葉に出来たこと、読んで頂いたこと、少しは跡を残せたこと、特別な心の宝になりました。
noteを始めて本当によかったと感じています。
何となくですが、もう少し書きたいことが浮かぶような気がしています。

今日はプラネタリウムに行ってきました。
本当の久し

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星は光る

星は光る

迷いに迷って、真顔で、行ったりきたりしながら、A駅の改札を抜けた。
そうかあ、こんなんだったんだ。
好きな感じの空気感だ。
しばらくあたりをながめて見渡して僕はゆっくり歩き出した。
改札を過ぎれば想像していた、見たような街並みは広がっておらず、今時にしては古風、とまでは言えないものの、駅前の小さなアーケードには昭和の薫風が穏やかに、たおやかに、ちらほら見え隠れしていた。
久しぶりに小さな書店を見か

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桜の下の満開で。満開で。

桜の下の満開で。満開で。

たくさんの花々があちらこちらと咲きほこり続けるというのに、桜一つ、どうしてこんなにも人の心を特別に引きつけるのだろう?
先日、桜は枯れないから美しいのだと書く人がいた。なるほどっ!と声にした。あゝ、本当に腑に落ちた。そんな当たり前に今まで一度も気が付かなかった。美しい色と姿を保ったまま、空を上下左右に舞った。去っていく。薄葉は場所を移して、今度は下を輝かせた。まだまだ終わりじゃないよと聞こえてきそ

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たしかなここは夢でなく

たしかなここは夢でなく

いつからか近所にいたはずのカタツムリを見かけなくなった。いなくなった。
雨になれば、控えめな振る舞いを堂々と披露してくれた。
視線を変えるたびに彼方此方と目に映りこんだ。お世辞にも美しい色合いではないけれど、雨の風物詩でもあった。
年々に数を減らしていたことは、はっきりと気がついていた。
それでもいくらかは茶殻の彼らを見つけられた。それがいつからか本当にいなくなってしまった。どれだけ丁寧に目を凝ら

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年始、久方ぶりの上京から早々に、また行くことが出来た。特別な予定は何もない。一緒に食べたり、話したり、笑ったり、音楽を聴きにも行けた。それだけで本当に嬉しい。日々、一匹男のような暮らしだけど、やっぱり二人は楽しい。岩崎航さんの五行詩を詠んだ。できることの有り難みを深く噛み締める。

休みの日に普段通りに家を出た。同じ電車に乗る。途中下車をする。喫茶店に入る。地味な非日常がうれしい。頭は冴えてすらすら書ける。見ると結構に経っていた。クッキー展は女性の渦と活力に尻込みですぐに退散した。そうだ、久しぶりに静かな映画を観よう。このままが続けばいいのに。ホント?ユメ?

月の視線にたえかねたって。

月の視線にたえかねたって。

月世界へ行った。
音楽の世界へ行った。
やり場を失くして追いやられた昭和の活力たちが、やっとこさたどり着くことのできたそこは、薄暗く、ほのかでしかし優しげな空間だった。
何回かの瞬きが終われば、用なしみたく扱われた亡霊たちのすみかでもあった。
不便で面倒なanalogの香りと誇りと同情が、所かしこに散って、ふわふわしながら逃げ回っていた。
過去に満たされていた。

見た目も生き方も年齢も、もちろん

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過去にもつぶやきましたが、コーヒーが好きです。フルーティーで飲口のさっぱりしたものが好みです。このような豆を再び見つけました。甘みもあって口当たりがさらっと軽くあとあじも引きません。あと手軽に買えて似たようなのは、スタバの「ライトノート」です。同じような嗜好の方におすすめします。

冥福とは何だろう。意味を調べれば死後の幸福とある。死後の幸福って何なの。そんな不確かな、誰一人として知り得ないものを祈られて故人は喜ぶのだろうか。僕ならゆっくり休んでとか、御冥福を・・でなく、さあさあ次の世界ですよ、新たな冒険の始まりね、そう言われたい。睦月の宙にも届きますよに。

東京駅に行きました。10年ぶりです。音楽と友人に会いに行きました。久しぶりの声に、過ぎたはずのぜんぶはすぐに元に戻って、ああ不思議だな。わいわい楽しくて、嬉しいもんだ。一度きりの人生において知り合えた偶然の奇跡を見つめて、そうだ、そう、また近いうちに行こう。すいすいと泳ぎながら。

今年はどんな時間であっただろう。やっぱり一番の喜びはnoteで小説が書けたことだろう。初めてにして遺小説と言えば大層すぎるけど、内面を満足に書けたことが何より嬉しかった。読んでくれた方もいて、改めてありがとうございました。なんにもないけれど、来年も跳ねていきたい。そうおもい兎末。

先日初めて教会に行きました。礼拝ではなくて音楽です。おゝ高い天井。何だか落ちつくなあ。机上、目を閉じる。ふわふわふわり。浮遊する何者か。ぶら下がる裸電球。全てが溶け合って、掛け合って、調和している。ここに大きな雑音なんてない。たしかな唄声が自由に跳ね回り響ききる。駿馬みたいに。