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桜の下の満開で。満開で。

たくさんの花々があちらこちらと咲きほこり続けるというのに、桜一つ、どうしてこんなにも人の心を特別に引きつけるのだろう?
先日、桜は枯れないから美しいのだと書く人がいた。なるほどっ!と声にした。あゝ、本当に腑に落ちた。そんな当たり前に今まで一度も気が付かなかった。美しい色と姿を保ったまま、空を上下左右に舞った。去っていく。薄葉は場所を移して、今度は下を輝かせた。まだまだ終わりじゃないよと聞こえてきそうだ。そのとおりに映っていた。

桜にもたくさんの品種がある。
真っ先に思い浮かぶのは、やはりソメイヨシノ(染井吉野)←こんな漢字なんですね。
その由来は少し調べれば詳しいことが直ぐに分かるし、大変におもしろい!
小さな何で?や大きな疑問は次々にやってきて、人生100年でも分からない、知らないことだらけを残して終わっていくのだろう。

これ以上でもこれ以下でもない、人の心を知り尽くす、そんな色合い加減だ。
主張していないのに、まるで声高らかだ。
真下から真上を眺めれば、花束は密を成し、これまた意外に大した迫力だ。
そんな美しい生命を見せてくれるのもひと時で、そこも魅了なのだろう。
右から左を向けば、あれっ、もう季節は移ろいでいる。
柔らかそうな新緑新芽になっている。

花びらは直ぐにあたまから離れる。

桜は無口にコツッコソッと、見にくい先の準備にさあ取り掛かる。かっこいい。

遠い国で、同じ星でパンを求めて並ぶ子どもの写真が載っている。
こんな国に生まれなくてよかったと誰かが小さく呟いた。
そうだなとそうかなが交差して消えていく。
地球から人間のいなくなった地球を想像する。
桜のように潔く、儚く、美しく、強く、少しは愛され、そんな風に生きていたい。

※ ベランダから撮りました。
 今年も変わらぬ満開で。

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