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「大学」って何なんだ?

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博士学位を持っている私が、学歴詐称に関して思うこと。

博士学位を持っている私が、学歴詐称に関して思うこと。

 大リーグで活躍する日本人選手の通訳を務めていた人物が、米国の大学への在学を詐称していたとして話題になっています。私は正直なところ、それほどの大問題とは感じません。

学歴へのイメージは人それぞれ

 出身大学や在学していた大学として示される大学の名称に何を感じるかは、人にも場面にもよるものではないでしょうか。
 話題の通訳氏に関していうと、「野球選手の専属通訳という特殊な業務を長年にわたって務め

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犬も歩けば棒に当たる。障害者が歩けば何に当たる? 書籍『障害のある人が出会う人権問題』で、だいたいわかる。

犬も歩けば棒に当たる。障害者が歩けば何に当たる? 書籍『障害のある人が出会う人権問題』で、だいたいわかる。

 法学者の杉山有沙さんから、ご共著の新刊『障害のある人が出会う人権問題』をご恵投いただきました。一読してみて「多くの方にとって、けっこう有用かも」と思いましたので、紹介します。平易だし、読みやすいし。
  書籍情報は下からどうぞ(アフィリエイトリンク)。
 なお、本記事において、私は「障害者」「健常者」という表現を使います。

「人権」というものの成り立ちと構成は、どうなっているの?

 人権問題

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私(たち)はどう生きるか ー ただいま、ゆっくり再始動中

私(たち)はどう生きるか ー ただいま、ゆっくり再始動中

 2021年後半以後、広く読まれる媒体での仕事を激減させていましたが、ゆっくり再起動中です。
 本記事では、「今後どうしていきたいのか」「この間どうしていたのか」を記してみます。

私(たち)は、どう生きるか

 これまでと同様、猫たちのワンオペ養母として家庭を維持しながら(維持するために)、執筆と研究を中心に発信するでしょう。
 並行して、他の方々の発信を助けることを仕事にしたいと考えています。

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私がためらいなく「専業主婦は立派な職業で選択肢の一つ」と言えるまで

私がためらいなく「専業主婦は立派な職業で選択肢の一つ」と言えるまで

 4人のお子さんを育てながら大学院で研究を行っている、さおりさんという方がTwitterにいます。現在は就業しておらず専業主婦ということです。

 さおりさんの現在の選択は、ツイートから推察する限りは「自然の流れ」という感じです。夫君と対等な協力の上に現在の家庭が形成され、現在の最適な役割分担として夫君が稼ぎ手という形になっています。今後については家族メンバーそれぞれの幸福を実現する形で自然に変化

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大学院博士課程(2014-)で最も不気味だった出来事

大学院博士課程(2014-)で最も不気味だった出来事

 私は2014年4月から、関西の大学院の博士後期課程(相当)に編入し、本当にいろいろいろいろいろいろ……あったけれど、2021年10月現在は博士論文を執筆中。

 執筆しようとすると、その内容に関連する時期のトラウマティックな出来事が頭の中に勝手に飛び出して絶叫しそうになるけれど、なんとか博士論文に取り組んでいる。

 本記事では、最も不気味だった出来事を紹介したい。

 修士・博士(満期退学)・

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松本杏奈さんから勝手に恩送りを受けることのススメ

松本杏奈さんから勝手に恩送りを受けることのススメ

 徳島の高校からスタンフォード大学への進学を勝ち取り、9月から同大学で学生生活を開始した松本杏奈さんに、私は皮肉でもなんでもなく感謝しています。
 そして、松本さんに数々のモヤモヤした感慨がぶつけられていることに、松本さんの親世代より少し上の世代として、心を痛めています。
 率直に言えば、ムカつくぜ。いい大人が何やってんだよ!

モヤモヤ感慨1:「『日本の地方無名校から米国一流大学進学のロールモデ

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疲れ目解消から恨みつらみへの復讐が始まり、そして思わぬ回復へとつながった件

疲れ目解消から恨みつらみへの復讐が始まり、そして思わぬ回復へとつながった件

 数日前、私は「疲れ目の解消から、復讐が始まる」という不思議な経験をした。復讐といっても、相手への直接行動は行っていない。

 私は20代のころから、目を酷使する職業に就きつづけてきた。1980年代の、眼に全然優しくなかったディスプレイでのプログラミングとか、電子顕微鏡のオペレーションとか。そして、35歳で老眼宣告を受けた。

 2週間ほど前のこと。朝、ベッドの中で目覚めて眼を開く前に、すでに眼が

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私は学びたかった

私は学びたかった

 私の長年の希望は、「学びたい」であった。今でも、かなりそうかもしれない。学びたいのに学べなかったから「学びたい」という、しごく当たり前の話である。

 私は1980年代に理系の4年制大学へ進学し、大学院修士課程に進んで修了した。その後、会社に勤務するかたわら通信制短大でデザインを学んだり、フリーライターとして独立して仕事しつつ放送大学で学んだり、大学院博士課程に編入してドロップアウトしたりした。

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「東大卒マスク拒否おじさん」の経歴から読み取れること

「東大卒マスク拒否おじさん」の経歴から読み取れること

 国内線旅客機内でマスク装着を拒んで飛行機を緊急着陸させた「マスク拒否おじさん」が、2021年1月19日に逮捕され、経歴が話題になりました。

「侮辱罪だ! 謝罪させろ!」逮捕された“マスク拒否おじさん”は東大出身の研究者だった《捜査員相手に大暴れ》

 私は21歳のときから、概ねずっと研究の世界とのつながりを持っています。時期により、付き合い方は「片足だけ」「足の指1本だけ」という場合もあります

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オンラインイベント「2020年から2050年へ。『図書館』(仮称)をリ・デザインする!」へのお誘い

オンラインイベント「2020年から2050年へ。『図書館』(仮称)をリ・デザインする!」へのお誘い

 毎年秋に横浜で行われているイベント「図書館総合展」、今年はオンライン開催です。そして明日、2020年11月3日の13時から、同じくオンラインイベントとして、
「2020年から2050年へ。『図書館』(仮称)をリ・デザインする!」
が開催されます。開催主体は、私も参加している「図書館(仮称) リ・デザイン会議」です。

図書館の「中の人」、図書館ヘビーユーザー”ではない”方々、ぜひご参加を 私が特

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コロナ禍があぶり出した「大学」の本質とは

 2020年度はコロナ禍の影響で、新年度から対面授業が行えないままの大学も少なくありません。そういった大学の大半で、講義や手続きなどのオンライン化が行われました。教職員も混乱している中、懸命の試行錯誤でした。

学生も保護者もしんどい とはいえ学生や保護者にとっては、特に今年度の新入生にとっては、通えない大学や使えない図書館のために学費を支払っている理不尽感が小さくないようです。特に、保護者と離れ

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コロナ禍下の2020年上半期を振り返る

コロナ禍下の2020年上半期を振り返る

 もうすぐ2020年上半期が終わるので、ダラダラと振り返りを書いてみました。

2020年1月
・近隣で建築確認を受けていない工事がスタートしかけていたが中断。
・2019年末、所属していた障害者団体の最後の1つを退会。障害について報道することもある著述家が障害者団体にいることは、利益相反の問題を引き起こす場合があるため、もともと早く辞める方針だったが、内紛に巻き込まれて辞め時を逃して数年経過して

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新型コロナウイルスが大学や研究機関にもたらす”チャンス”

新型コロナウイルスが大学や研究機関にもたらす”チャンス”

 非常に不謹慎だと自覚しつつ、敢えて言う。

 新型コロナウイルスは、日本の大学や研究機関にとっての”チャンス”だ。もしかすると、最後の”チャンス”かもしれない。

 この20年、少子化の進行とともに、大学の数や定員は減少させる必要性があるとされてきた。確かに、18歳人口が最も多かった時期、それだけの大学や大学生が本当に必要だったのなら、少子化が進行すれば、「余剰大学」や「余剰大学生」が生まれるこ

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2019年の大学と研究界隈の事件ふりかえり・総研大学長のハワイ出張が観光を含んでいた件

2019年の大学と研究界隈の事件ふりかえり・総研大学長のハワイ出張が観光を含んでいた件

 もう2020年、2月後半に入ってしまっていますが、大学と研究の界隈で起こった2019年の事件(独断と偏見によって選択)を、メモ的に記しておきたいと思います。 

 2019年、個人的に最も驚いたのは、総研大学長・長谷川真理子氏のハワイ出張が観光を含んでいた件でした。報道は同年10月から始まりました。

まずは結論を

 大学のマネジメントのマネジメントがありません。このままではイクナイです。対策

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