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エッセイ・コラム

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#人間

心地よく生きるなら自分を知るって大事だよねって話

心地よく生きるなら自分を知るって大事だよねって話

高校のころ、世界史の先生から「毎年合格体験記とかみんなこれ見よがしに書いてるけど、実際不合格体験記のほうが役に立つよ」と言っていたことがあった。成功体験など別に人それぞれだから、むしろ「これだけはだめだ」という失敗ケースを避けることのほうが重要だと説明してくれたのをよく覚えている。

今思うと、確かにそうかもしれない、という思いがする。先日、個人で塾を経営している方と話す機会があった。長らく教育に

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足が速い男にキュンとするのは多分本能です

足が速い男にキュンとするのは多分本能です

小中学生のころ走るのが速い男子は決まってモテていたものである。

大人になっていくと全力で走る機会がなくなることもあって足の速さがことさらに取り上げられることは少なくなるけれども、実は「足が速い」ということは人間が持つ魅力として極めて原始的で、本能的に人を惹きつけるものなのだろうと思う。

かつて人間は狩りをしていた。狩りをするときには当然ながら成功するほうがいいわけで、となると足が速いほうがいい

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文句を言うほど嫌な仕事を人はなぜ続けるのだろう

文句を言うほど嫌な仕事を人はなぜ続けるのだろう

人は合理的に見えて、時に矛盾したことをしはじめる、不思議な生き物である。

例えば、会社で文句を言う人がいる。
でも、なぜかわからないがその人は全然辞めないのである(なんなら、その人に当たり散らされている人が辞めている)。
文句を言ってまでそこに居続けて仕事をするというのは、よくよく考えたら妙な現象でもある。そんなに文句があるならよりよい環境を探すほうが合理的だ。

文句を言う人の周りには、まとも

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臭いだけでもういろいろダメになる現実社会の残酷さ

臭いだけでもういろいろダメになる現実社会の残酷さ

人間、いいところもあれば悪いところもある。完璧な人間などどこにもいないものだ。

人間の良いところと悪いところを同時に表現するとき、人は大体「バカだがやさしい」などと言ってみたりする。後半にプラスな内容を持ってくると、総じて全体の印象もプラスに見えるから、大概は悪いことを先に言う。逆に「やさしいがバカ」というと「バカ」のほうにフォーカスされてしまって、あまりポジティブな表現にはならない。

人間の

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生きるための「なかま」を作ろう

生きるための「なかま」を作ろう

日本では残念ながら、年数万人単位で自ら命を絶つひとがいる。
特に有名人の自死はとりわけ世の中でも話題になりやすい。私も報道を担う端くれとしてそのようなニュースに接することはしばしばであるが、そのたびにむなしさのようなものが去来する。

過去自ら命を絶った人のことを調べてみると、いたく暗い気持ちになる。
乃木希典や阿南惟幾のように大義を以て自らの終わりを決めるというのは例外だろうが、大半の場合は人間

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何かを評価することは意思決定に他ならない

何かを評価することは意思決定に他ならない

ある先生から情報とは「収集・分析・評価」の三段階を経るものであるという話を聞いたことがある。
簡単に言えば、集めて・正しいかどうかなどを見極め・価値判断をするということである。

最近、最後の「評価」というものが極めて重要であり、そして非常に難しいということに思いが至った。そして、上の人間になればなるほどこの「評価」をせねばならないということにふと気づいたのである。

仕事の時、したっぱの時は「こ

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AIが思考力を奪うというのなら、思考力がない我々は一体何をしていたのか

AIが思考力を奪うというのなら、思考力がない我々は一体何をしていたのか

よく、AIが教育現場に導入されることで「子どもたちの思考力が低下する」といった懸念の声がある。
一見すれば確かにその通りっぽい主張であり、どのように規制をするのかについて世の中では議論が進んでいる。

では、逆に考えてみよう。教育現場にAIなどがなかった私たちの当時の思考力は、現代を生きる子供たちより高いのだろうか。

これはあくまで個人的な実感だが、家ではゲームに明け暮れ、先生から言われたことを

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【経済】こどももおとなも、そして国家にとっても成長っていいことだと思う

【経済】こどももおとなも、そして国家にとっても成長っていいことだと思う

子供が生まれてしばらくになるが、日々ちょっとした成長をしている娘の姿を見るのは楽しいものである。
生まれて間もないころにはぼやぼやと目を開けるくらいのものだったが、数か月もたてば自分でじたばた動いたり、「あーうー」などと発声するようになる。最近になって哺乳瓶を自分でもってミルクを飲むようになった。すごいものである。

親というのは子供の成長を見るのを心底楽しみにしている。
人が成長し、できないこと

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面白くないと感性は枯渇する~普通の人生に抵抗してみよう~

面白くないと感性は枯渇する~普通の人生に抵抗してみよう~

社会人になりたてのころだったか、長らく付き合いのある友人と話をしていたとき、「社会人になってみて、少しずつ自分が普通の人間なのだと気づき始めた。そして、そういう面白いもの、凄いものを持っているひとは、俺にそれを話してほしい、見せてほしいと思うようになった」と語ってくれたことがあった。
なんとなくだが、当時の私も首肯するところが多かった。

大人になっていくなかで、自分はつまらなくて、普通の平凡な人

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仕事なかりせば

仕事なかりせば

就職活動をしていたころ、私はなるべくなら仕事をしたくないと思っていた。であればそもそも就職活動をすること自体に矛盾があるわけだが、飯を食うためにも仕方なく仕事をしないといけないから、しぶしぶやっていたというのが正直なところである。

なぜ仕事をしたくないと考えていたのかを思うと、人からあれをやれこれをやれといわれて何か事を為すというのが心底面倒だったのだろうと思う。なるべく自由に生きたいと思ってい

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「やめる」決断をしたとき㊤

「やめる」決断をしたとき㊤

人間、生きていれば様々な物事を体験したり経験したりするものだが、いつまでもすべてをやっているわけにもいかないので、そのうち何かをやめる時が来る。

「やめます」というのは勇気がいる。
付き合うときには「好きです付き合ってください」だけでよいのに、別れるときには男がやけに冷たくなったり女が泣いたりして何らかの禍根が残るものだ。何につけても、やっていたことをやめるのは面倒くさい。

それだけに、多くの

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知識という麻薬

知識という麻薬

以前、半ば趣味がてら北朝鮮のことを調べたことがあった。

かつては「地上の楽園」などとうそぶかれた場所であったが、実態は言うまでもなく極めて悲惨である。
軍事拡張を進めているため世界各国(特に日本)にはよく面倒ごとを持ち込み、なにより国民生活の礎である経済はボロボロである。2500万人を超える人口がありながら、名目GDPは宮崎県や山梨県並みだという。
知れば知るほど、率直にひどい国である。心の底か

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若さの価値を知るのは年を重ねてから

若さの価値を知るのは年を重ねてから

小学生や中学生だった頃、どこかに訪問すると必ず年を取った人が「キミたちのように若い子たちにあって元気をもらいました」といったことを言っていたものだ。

当時、「子どもにあって元気になるなら苦労ないだろ」と極めて冷淡な感想を抱いていた私だったが、30代に入ったときにふと「若い子のエネルギー」を感じることが増えた。

会社などで20代前半の社会人との関わりを持つとき、彼ら・彼女らが酒の場なんかでわいわ

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そういえば人に魅了されたことがない

そういえば人に魅了されたことがない

就職活動なんかで「尊敬する人は?」との問いに「両親」と答える人が少なくないらしい。
確かに両親は自分自身を育ててくれた張本人である。私自身も非常に「感謝」はしているが、別段「尊敬」はしていない。

自分を育ててもらったことと人間として尊敬できるのかどうかは、つながりこそあれ別問題である。「なるほど」と学ぶことも多かったが、「ああはなるまい」と反面教師として学ぶこともあった。

先日、幼馴染の結婚式

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