深水 ゆき乃

ふかみ ゆきの|私の在り方、私の解釈。手紙のようにしたためて、世界に一滴のあたたかさを…

深水 ゆき乃

ふかみ ゆきの|私の在り方、私の解釈。手紙のようにしたためて、世界に一滴のあたたかさを。3歳の息子から学ぶことばかりの30代会社員。Kindle Unlimitedでエッセイ本『作家になるのが夢だと信じていたけれど』発売中です。

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  • いーよらいふ

    慎重で頑固。でもとびっきり無邪気に笑う。そんな息子(2020年11月生まれ)と過ごす日々のエッセイ。

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固定された記事

深水ゆき乃のこれまでとこれから

こんにちは、深水ゆき乃(ふかみゆきの)と申します。 わたしのこれまでとこれからをお話しして、改めて自己紹介します。 少々長くなりますが、よかったらお付き合いくださ…

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なんでもない誕生日に意味を贈る

世間はゴールデンウィーク明けの5月7日。 34歳の誕生日を迎えた。 目覚ましのアラームが鳴りだすより早く、3歳の息子に起こされた。 「ママ、おあよー」 カーテンを開けて…

深水 ゆき乃
2か月前
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3歳児には英語のほうが通じる?

冬の寒い日。 お風呂場は湯気がもうもうと立ち込めているけれど、湯船につかっていないと寒い。 カランでの水遊びをやめさせて湯船になんとか入れたものの、3歳3ヶ月のい…

深水 ゆき乃
2か月前
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薄紅色に染まる

「あーばーば、いっぱいよー」 4月上旬、真新しい体操服に身を包んだいーよは、満面の笑みで何かを指さした。 バナナ?いや、そんなわけはないか…。 出会ってまだ10日足…

深水 ゆき乃
3か月前
4

子どもの頃に得意だったことをやってみる

あなたは、自分のことを心から信じられますか。 仕事で、家庭で、さまざまなコミュニティで。 自分の判断や発言を、尊重したいと思えますか。 もし、自分を疑うことが当た…

深水 ゆき乃
10か月前
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月の裏側

月の裏側は、たとえ自分のものであっても、簡単には見えないのだと思う。 それは、占星術でいう月のこと。 心を意味する天体なのだと、ある人に教えてもらった。 ときど…

深水 ゆき乃
11か月前
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その切っ先はどちらを向いているのか

胸の真ん中を、鋭い刃で一突きにされたような気がした。 その人の言葉は、ただただ論理的かつ簡潔で、ナイフのような鋭利さと冷たさを感じさせた。 会社での日常の一コマ…

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生まれ変わりを信じたくなるのは

「うーー」 夕食の終わり際。流し台に自分の使った食器を運んでいると、2歳の息子に呼びかけられた。ちゃぶ台の高さにあわせた幼児用の小さな椅子に座って、プラスチック製…

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粉雪の乱れ舞う日に

洗い物をしながら、窓の外に目をやった。白いものが、右へ左へと激しく乱れ舞っている。予報は晴れだったのに、こんなに荒れるなんて。息子を保育園に迎えに行くときにはや…

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小さな花を集めていく

夏も本番に差し掛かった7月末、どうしても花を育ててみたくなった。しかし、真夏に種をまいて育つ花はそれほど多くないらしい。あれこれ調べた結果、ケイトウという植物に…

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しつこい怒りが消えた瞬間【共感者講座 感想】

共感者講座はおもしろい。 唐突に何を、と思われるだろうが、言いたくなったのだから仕方ない。 ※共感者講座とは、日本エンパシー協会で提供されている講座です。 気にな…

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役割を果たせない悲しみの先に

悲しみが胸を覆っている。 どうってことがあったわけじゃない。 でもこの感情は、たしかに「悲しい」だと思う。 たとえば、会社に在宅勤務を打診することを考えていたとき…

27

「自分にしか興味がない」をつきつめたなら

ずっと前から、気づいていた。わたしの最大の興味は、「自分自身」なのだと。 認めたくなかった。小さな子どものように自己中心的で、他人の迷惑も顧みない自分勝手。そう…

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「すべて受け入れる」という綺麗ごと

これはただ、わたしの問題なのだ。 「どんな人も出来事も受け入れたい」と言いながら、そこに無意識のうちに条件を課していたわたしの姿を、白日の下にさらしているだけな…

19

感情に誠実でありたくて

湧き上がった感情には、誠実でありたいと思っている。蓋をしてなかったことにしてきた感情たちが、何年も経ってからうんとこじれて、びっくりするほど深いところから発掘さ…

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もう一度、書きはじめる

あんなにもう、書きたくないと思っていたのに。 たいして誰にも読まれないならば、お金にならないならば、書きつづける理由なんてないと思っていたのに。 書くことを通じて…

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深水ゆき乃のこれまでとこれから

深水ゆき乃のこれまでとこれから

こんにちは、深水ゆき乃(ふかみゆきの)と申します。
わたしのこれまでとこれからをお話しして、改めて自己紹介します。
少々長くなりますが、よかったらお付き合いください。

書く前のわたし1990年生まれ、大阪出身の会社員です。
大学院を卒業し、就職した企業でなんとか働いてきました。上司からの評価も同僚との関係も良好だったのですが、ストレス性の体調不良は日常茶飯事でした。偏頭痛、背中の痛み、休日に動悸

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なんでもない誕生日に意味を贈る

なんでもない誕生日に意味を贈る

世間はゴールデンウィーク明けの5月7日。
34歳の誕生日を迎えた。

目覚ましのアラームが鳴りだすより早く、3歳の息子に起こされた。
「ママ、おあよー」
カーテンを開けて、部屋を明るくされる。
時間を確認すると、5:57。
もうちょっと寝たかったな。

小雨の降る中、息子と2人レインコートを着て、自転車に乗る。
息子のレインコートとヘルメットは、色とりどりの恐竜柄。
こども園の駐輪場で、彼は日課の

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3歳児には英語のほうが通じる?

3歳児には英語のほうが通じる?

冬の寒い日。
お風呂場は湯気がもうもうと立ち込めているけれど、湯船につかっていないと寒い。

カランでの水遊びをやめさせて湯船になんとか入れたものの、3歳3ヶ月のいーよは、すっくと立ったまま。水色の小さな手桶で湯船のお湯をくんでは、浴槽の縁にかけている。

「いーよ、すわろっか」
湯けむりのなかに消えるわたしの声。

ふと思いついて、今度は違う言葉をかけてみた。

"Can you sit dow

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薄紅色に染まる

薄紅色に染まる

「あーばーば、いっぱいよー」
4月上旬、真新しい体操服に身を包んだいーよは、満面の笑みで何かを指さした。

バナナ?いや、そんなわけはないか…。
出会ってまだ10日足らずのはずのこども園の先生に嬉しそうに抱きつき、バイバイと言って、彼はもう駐輪場へつづく扉へと向かっている。
わたしは慌てて、小さなリュックの弾む背中を追う。


いーよ、3歳4ヶ月。
乗り物が大好きなthe 男子。
窓の外を眺めて

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子どもの頃に得意だったことをやってみる

子どもの頃に得意だったことをやってみる

あなたは、自分のことを心から信じられますか。
仕事で、家庭で、さまざまなコミュニティで。
自分の判断や発言を、尊重したいと思えますか。

もし、自分を疑うことが当たり前になっているのならば、探してほしいものがあるのです。

それは、子どもの頃に得意だったこと。
勉強でも、スポーツでも、絵や工作や音楽でも、ゲームでも。

長じるにつれ、「上には上がいる」と挫折を思い知ったとしてもいいんです。一時期で

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月の裏側

月の裏側

月の裏側は、たとえ自分のものであっても、簡単には見えないのだと思う。

それは、占星術でいう月のこと。
心を意味する天体なのだと、ある人に教えてもらった。

ときどき、自分の人生を生きるのがとてつもなく億劫になる。
漫画でもネットサーフィンでも、なんでもいいから手近な刺激で、時間をつぶしていたくなる。

それは手の届くところに、自分の望みが転がっているときだったりする。
溜息をつきながらスマホをい

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その切っ先はどちらを向いているのか

その切っ先はどちらを向いているのか

胸の真ん中を、鋭い刃で一突きにされたような気がした。
その人の言葉は、ただただ論理的かつ簡潔で、ナイフのような鋭利さと冷たさを感じさせた。

会社での日常の一コマだ。私は部署の人たちに向けて、とある方針を提案していた。意見を募っているページに、熟練の先輩がサッと書き込みを残した。それは私の提案を真っ向から否定するものだった。

ビジネスにおいて、余計な修飾語の多い言葉は、互いの理解を妨げる。そうわ

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生まれ変わりを信じたくなるのは

生まれ変わりを信じたくなるのは

「うーー」
夕食の終わり際。流し台に自分の使った食器を運んでいると、2歳の息子に呼びかけられた。ちゃぶ台の高さにあわせた幼児用の小さな椅子に座って、プラスチック製の大きなお皿を両手で持ち上げている。お皿の上には、同じくプラスチック製のコップ。その中にスプーン。
食べ終わったの?と聞くと、「う」と短い返事と共にお皿が突き出された。
ありがとう、と言いつつ受け取って、流し台までさっと運ぶ。カウンター越

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粉雪の乱れ舞う日に

粉雪の乱れ舞う日に

洗い物をしながら、窓の外に目をやった。白いものが、右へ左へと激しく乱れ舞っている。予報は晴れだったのに、こんなに荒れるなんて。息子を保育園に迎えに行くときにはやんでほしいな、とぼんやり眺めていると、記憶の中の同じような景色を思い出した。


高校2年生の帰り道。普通電車しか止まらない駅のホーム。学生服姿のわたしは、かじかむ手にカイロを握りしめて電車が来るのを待っている。目の前は、乱れ舞う白。めっ

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小さな花を集めていく

小さな花を集めていく

夏も本番に差し掛かった7月末、どうしても花を育ててみたくなった。しかし、真夏に種をまいて育つ花はそれほど多くないらしい。あれこれ調べた結果、ケイトウという植物に白羽の矢を立てた。耐暑性が高く、初心者でも育てやすいとのこと。種をネットで取り寄せ、早速プランターにまいた。

自分で花を育てるのは、生まれてはじめてだった。密集してしまった芽をおそるおそる間引いたり、葉っぱに白い斑点が出てきたときにはもう

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しつこい怒りが消えた瞬間【共感者講座 感想】

しつこい怒りが消えた瞬間【共感者講座 感想】

共感者講座はおもしろい。
唐突に何を、と思われるだろうが、言いたくなったのだから仕方ない。

※共感者講座とは、日本エンパシー協会で提供されている講座です。
気になった方は公式サイトをご覧ください。

先日、中級編の第1講を受講した。
この講座は、知識をつめこむことを重視しない。
1回に学ぶ知識の量は決してそれほど多くない。
でも、学ぶことで、確実に心が変わる。
心のうちにずっとあったものに、気づ

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役割を果たせない悲しみの先に

役割を果たせない悲しみの先に

悲しみが胸を覆っている。
どうってことがあったわけじゃない。
でもこの感情は、たしかに「悲しい」だと思う。

たとえば、会社に在宅勤務を打診することを考えていたとき。
たとえば、息子よりも月齢の小さな子が、彼のしない指差しをしたり、靴を履いて歩いているのをみたとき。
たとえば、市の子育て支援施設で出会った人とうまく話せなかったとき。

自分に期待されているだろう役割を十分に果たせないことが、悲しく

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「自分にしか興味がない」をつきつめたなら

「自分にしか興味がない」をつきつめたなら

ずっと前から、気づいていた。わたしの最大の興味は、「自分自身」なのだと。

認めたくなかった。小さな子どものように自己中心的で、他人の迷惑も顧みない自分勝手。そういうイメージがぶわっと押し寄せて、恥ずかしくなった。思春期以降、がっしり根を張った他者への恐怖心も、自分の内面にこもることに拍車をかけている気がして、きまりが悪かった。誰にも知られないように、そっとしまっておかなければ。

そもそも「自分

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「すべて受け入れる」という綺麗ごと

「すべて受け入れる」という綺麗ごと

これはただ、わたしの問題なのだ。
「どんな人も出来事も受け入れたい」と言いながら、そこに無意識のうちに条件を課していたわたしの姿を、白日の下にさらしているだけなのだ。


数日、ふさぎこんでいた。やり過ごしてもやり過ごしても、苛立ちや不安や自己否定や、さまざまな負の感情がやってくる。話したって書いたって抜け出せないことを知っているから、人恋しさをいなしつつ、気持ちが落ち着くのを待っていた。満月が

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感情に誠実でありたくて

感情に誠実でありたくて

湧き上がった感情には、誠実でありたいと思っている。蓋をしてなかったことにしてきた感情たちが、何年も経ってからうんとこじれて、びっくりするほど深いところから発掘される経験を何度もしてきたから、それだけはもうごめんだと思っている。

とはいえ、生活をしていれば日々、多かれ少なかれ心が揺れる。感情に対して誠実でいたいけれど、そこにばかりエネルギーを割けない現実がある。そのうえ厄介なことに、ひとたび向かい

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もう一度、書きはじめる

もう一度、書きはじめる

あんなにもう、書きたくないと思っていたのに。
たいして誰にも読まれないならば、お金にならないならば、書きつづける理由なんてないと思っていたのに。
書くことを通じてしか、自己理解を深められない状態を卒業できたから、もう書く必要はないと思っていたのに。

何人が読むとか、出来栄えがどうとか、そんなことはどうでもいいから、ただ書きたいわたしがいる。
かつてのように、自分で自分を深く知るという目的がなくな

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