深水 ゆき乃

ふかみ ゆきの|心に深くつながり、それを解き明かして、文章にするのが好き。3歳の息子の…

深水 ゆき乃

ふかみ ゆきの|心に深くつながり、それを解き明かして、文章にするのが好き。3歳の息子の子育てに奮闘中の30代会社員。Kindle Unlimitedでエッセイ本『作家になるのが夢だと信じていたけれど』発売中です。

マガジン

  • 毒にも薬にもならない話

    2019.11-2020.09エッセイ。 深水ゆき乃の過去と現在。感情と経験を昇華させたくてもがく日々。

  • 水のある風景

    • 14本

    2020年6月14日に行われる大阪淀川のシジミとりにちなみ 豊かな水のある風景にちなんだ作品をお届けします

  • 感じて、問うて、言葉にして

    日常の鮮やかさを再発見するための試行錯誤。

  • 無意識の欠片

    無意識の欠片を拾い集めて、言葉にする試み。 大切な人のすべてを受け入れるために、わたしはわたしのすべてを受け入れたいから。

  • 君と対面するまでの日々

    授かった命に対面するまでの日々に、考えたこと・感じたこと。不妊治療や出生前診断――いろいろあった分、いろいろ考えられたよ。

最近の記事

  • 固定された記事

深水ゆき乃のこれまでとこれから

こんにちは、深水ゆき乃(ふかみゆきの)と申します。 わたしのこれまでとこれからをお話しして、改めて自己紹介します。 少々長くなりますが、よかったらお付き合いください。 書く前のわたし1990年生まれ、大阪出身の会社員です。 大学院を卒業し、就職した企業でなんとか働いてきました。上司からの評価も同僚との関係も良好だったのですが、ストレス性の体調不良は日常茶飯事でした。偏頭痛、背中の痛み、休日に動悸がする、歯ぎしりで歯が欠ける等…。 「人が怖い」という気持ちがつよく、電話もメ

    • 子どもの頃に得意だったことをやってみる

      あなたは、自分のことを心から信じられますか。 仕事で、家庭で、さまざまなコミュニティで。 自分の判断や発言を、尊重したいと思えますか。 もし、自分を疑うことが当たり前になっているのならば、探してほしいものがあるのです。 それは、子どもの頃に得意だったこと。 勉強でも、スポーツでも、絵や工作や音楽でも、ゲームでも。 長じるにつれ、「上には上がいる」と挫折を思い知ったとしてもいいんです。一時期でも「自分にはできる」と信じて、がむしゃらに取り組めたものであったなら。 それは

      • 月の裏側

        月の裏側は、たとえ自分のものであっても、簡単には見えないのだと思う。 それは、占星術でいう月のこと。 心を意味する天体なのだと、ある人に教えてもらった。 ときどき、自分の人生を生きるのがとてつもなく億劫になる。 漫画でもネットサーフィンでも、なんでもいいから手近な刺激で、時間をつぶしていたくなる。 それは手の届くところに、自分の望みが転がっているときだったりする。 溜息をつきながらスマホをいじる私は、気づいていないけれど。 無意識のなかに、恐怖が立ち上っている。 その

        • その切っ先はどちらを向いているのか

          胸の真ん中を、鋭い刃で一突きにされたような気がした。 その人の言葉は、ただただ論理的かつ簡潔で、ナイフのような鋭利さと冷たさを感じさせた。 会社での日常の一コマだ。私は部署の人たちに向けて、とある方針を提案していた。意見を募っているページに、熟練の先輩がサッと書き込みを残した。それは私の提案を真っ向から否定するものだった。 ビジネスにおいて、余計な修飾語の多い言葉は、互いの理解を妨げる。そうわかってはいるものの、私を気遣うような柔らかさがなく、真っ向から反対するその人の言

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          志彌 -ゆきみ- 他
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        • 無意識の欠片
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        記事

          生まれ変わりを信じたくなるのは

          「うーー」 夕食の終わり際。流し台に自分の使った食器を運んでいると、2歳の息子に呼びかけられた。ちゃぶ台の高さにあわせた幼児用の小さな椅子に座って、プラスチック製の大きなお皿を両手で持ち上げている。お皿の上には、同じくプラスチック製のコップ。その中にスプーン。 食べ終わったの?と聞くと、「う」と短い返事と共にお皿が突き出された。 ありがとう、と言いつつ受け取って、流し台までさっと運ぶ。カウンター越しに目を合わせて、「ごちそうさまでした」と声をかける。息子は真顔のまま、ぱちんぱ

          生まれ変わりを信じたくなるのは

          粉雪の乱れ舞う日に

          洗い物をしながら、窓の外に目をやった。白いものが、右へ左へと激しく乱れ舞っている。予報は晴れだったのに、こんなに荒れるなんて。息子を保育園に迎えに行くときにはやんでほしいな、とぼんやり眺めていると、記憶の中の同じような景色を思い出した。 * 高校2年生の帰り道。普通電車しか止まらない駅のホーム。学生服姿のわたしは、かじかむ手にカイロを握りしめて電車が来るのを待っている。目の前は、乱れ舞う白。めったに雪の降らない場所だから、こんな天気の日は心細くて泣きそうになる。 「みつけ

          粉雪の乱れ舞う日に

          小さな花を集めていく

          夏も本番に差し掛かった7月末、どうしても花を育ててみたくなった。しかし、真夏に種をまいて育つ花はそれほど多くないらしい。あれこれ調べた結果、ケイトウという植物に白羽の矢を立てた。耐暑性が高く、初心者でも育てやすいとのこと。種をネットで取り寄せ、早速プランターにまいた。 自分で花を育てるのは、生まれてはじめてだった。密集してしまった芽をおそるおそる間引いたり、葉っぱに白い斑点が出てきたときにはもうダメだ、と絶望したり。 あとは毎朝水やりをして、たまに肥料をあげるだけで、草丈

          小さな花を集めていく

          しつこい怒りが消えた瞬間【共感者講座 感想】

          共感者講座はおもしろい。 唐突に何を、と思われるだろうが、言いたくなったのだから仕方ない。 ※共感者講座とは、日本エンパシー協会で提供されている講座です。 気になった方は公式サイトをご覧ください。 先日、中級編の第1講を受講した。 この講座は、知識をつめこむことを重視しない。 1回に学ぶ知識の量は決してそれほど多くない。 でも、学ぶことで、確実に心が変わる。 心のうちにずっとあったものに、気づくことのできる自分に変わる。 そんな感動を共有したくて、ここ数日のわたしの話を

          しつこい怒りが消えた瞬間【共感者講座 感想】

          役割を果たせない悲しみの先に

          悲しみが胸を覆っている。 どうってことがあったわけじゃない。 でもこの感情は、たしかに「悲しい」だと思う。 たとえば、会社に在宅勤務を打診することを考えていたとき。 たとえば、息子よりも月齢の小さな子が、彼のしない指差しをしたり、靴を履いて歩いているのをみたとき。 たとえば、市の子育て支援施設で出会った人とうまく話せなかったとき。 自分に期待されているだろう役割を十分に果たせないことが、悲しくなる。会社員、母、妻、隣人として、関わる人にどう思われているのか不安が募る。役割

          役割を果たせない悲しみの先に

          「自分にしか興味がない」をつきつめたなら

          ずっと前から、気づいていた。わたしの最大の興味は、「自分自身」なのだと。 認めたくなかった。小さな子どものように自己中心的で、他人の迷惑も顧みない自分勝手。そういうイメージがぶわっと押し寄せて、恥ずかしくなった。思春期以降、がっしり根を張った他者への恐怖心も、自分の内面にこもることに拍車をかけている気がして、きまりが悪かった。誰にも知られないように、そっとしまっておかなければ。 そもそも「自分自身」に興味があるという事実は、進路や就職先を選ぶときにまったく役に立たなかった

          「自分にしか興味がない」をつきつめたなら

          「すべて受け入れる」という綺麗ごと

          これはただ、わたしの問題なのだ。 「どんな人も出来事も受け入れたい」と言いながら、そこに無意識のうちに条件を課していたわたしの姿を、白日の下にさらしているだけなのだ。 * 数日、ふさぎこんでいた。やり過ごしてもやり過ごしても、苛立ちや不安や自己否定や、さまざまな負の感情がやってくる。話したって書いたって抜け出せないことを知っているから、人恋しさをいなしつつ、気持ちが落ち着くのを待っていた。満月が近いからか、月経が近いからか、低気圧だからか。理由はわからないけれど、そういう時

          「すべて受け入れる」という綺麗ごと

          感情に誠実でありたくて

          湧き上がった感情には、誠実でありたいと思っている。蓋をしてなかったことにしてきた感情たちが、何年も経ってからうんとこじれて、びっくりするほど深いところから発掘される経験を何度もしてきたから、それだけはもうごめんだと思っている。 とはいえ、生活をしていれば日々、多かれ少なかれ心が揺れる。感情に対して誠実でいたいけれど、そこにばかりエネルギーを割けない現実がある。そのうえ厄介なことに、ひとたび向かい合えば感情が感情を呼び、どんどん抜け出せなくなる。蟻地獄みたく、もがけばもがくほ

          感情に誠実でありたくて

          もう一度、書きはじめる

          あんなにもう、書きたくないと思っていたのに。 たいして誰にも読まれないならば、お金にならないならば、書きつづける理由なんてないと思っていたのに。 書くことを通じてしか、自己理解を深められない状態を卒業できたから、もう書く必要はないと思っていたのに。 何人が読むとか、出来栄えがどうとか、そんなことはどうでもいいから、ただ書きたいわたしがいる。 かつてのように、自分で自分を深く知るという目的がなくなっても、この時間を手放せないわたしがいる。 わたしの身体が感じている質感を、そ

          もう一度、書きはじめる

          春の匂いに思うこと

          エッセイは通過点であって、ゴールではないんだ。 本当にやりたいことは……まだ、言えない。一歩も踏み出せていないし、進んでいくうちにやっぱり違った、となるかもしれないから。 そういうわけで、1週間ほど何も書かなかった。 noteからもTwitterからも急に姿を消して、心配をかけた方には申し訳ないかぎり。 最近、「避けては通れない道」の存在をつよく意識するようになった。それは、エッセイを書くことではないと確信した瞬間、更新をつづける意欲が一気にしぼんでしまった。 一方でわ

          春の匂いに思うこと

          気持ちが途切れてしまったので、今日の更新はおやすみ。 つい、やらなきゃいけないことをたくさん並べてしまうけれど、それが自分の首を絞めるのならば、両手に持てる分だけに減らした方がいい。 やらなきゃいけないことよりも好きなことを優先して、厳選できるようになりたい。

          気持ちが途切れてしまったので、今日の更新はおやすみ。 つい、やらなきゃいけないことをたくさん並べてしまうけれど、それが自分の首を絞めるのならば、両手に持てる分だけに減らした方がいい。 やらなきゃいけないことよりも好きなことを優先して、厳選できるようになりたい。

          思考は急に止まれない

          頭の中にも、慣性の法則は成り立つのだと思う。 猛スピードで動く車が急には止まれない、あの力。 1歳3ヶ月の息子を連れて久々に、市の施設にでかけた。いろんなおもちゃと絵本があって、赤ちゃんを遊ばせられるこじんまりしたお部屋。 ここ2ヶ月で人見知りが再燃している息子は、案の定たくさん泣いた。だが、1時間ほどしてみんなが片付けに入るころには、少し本領を発揮してボールを追いかけていた。 わたしたちの他にもう1組来ていた。息子と体格は変わらないが、たくさん走ったりおしゃべりしたり

          思考は急に止まれない