Yonaha Jun

與那覇潤です。2023年11月に『危機のいま古典をよむ』と『ボードゲームで社会が変わる…

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與那覇潤です。2023年11月に『危機のいま古典をよむ』と『ボードゲームで社会が変わる』(共著)を出すのに合わせて、始めることにしました。基本は、掲載・出演情報を「おまけ」を添えて上げていくつもりです。

マガジン

  • 寄稿・出演情報

    與那覇潤が寄稿した論考や、出演するイベントの告知記事です。なるべく「〇〇に出ます」以外にも、おまけをつけるよう努力しています。ご予約の参考や、ビブリオグラフィー代わりにどうぞ。

  • 資料室

    主に執筆・発表等のために集めた資料を「打ち込んで保存する」ための記事たちです(汗)。なので引用長めですが、かえって価値があるかもしれません。

  • pork rillettes

    dis記事集(主に学問・言論関連)です。マガジン名の由来は、1本目の内容をご覧ください。なお、すべての批判対象をひとしなみに、その人物と同様に見なしているわけではありません。

  • ボードゲーム

    趣味のボドゲに関連する記事をまとめます。仕事だった歴史学については、第一にもう応援したくないし、第二に自分は何を書いても自ずと歴史の話になることに気づいたので、たぶんまとめません(笑)。

  • espresso

    なんていうか、自分がどんな人かがいちばんよく「抽出されている」記事だけを足していきます。なるべくPRものや、他のマガジンとの重複は避けます。エッセンスを手短に読みたい方はこちらを。

記事一覧

固定された記事

呉座勇一さんとの新刊の「おわりに」を公開します。

5月27日をめどに、呉座勇一さんとの新刊『教養としての文明論』が書店に並びます。Amazonでも予約の受付が始まりました! タイトルの通り、ずばりコンセプトは「文明論の…

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尾久守侑さんと書店イベント(6/6)やります。

今月下旬に『倫理的なサイコパス ある精神科医の思索』を刊行される尾久守侑(読みは「おぎゅう・かみゆ」。詩人としても知られる)さんと、来月に書店イベントやります。…

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御礼: 舟津昌平『Z世代化する社会』での拙論言及

献本いただいたのに御礼が遅れて申し訳ありません。今年4月刊の舟津昌平『Z世代化する社会 お客様になっていく若者たち』が、拙論に言及して下さっています。温かいお手紙…

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3日前
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橋迫瑞穂氏による障害者差別について、所属機関に告発します

4月24日、および25日と連続して、私に対する差別発言を謝罪するよう求めてきた橋迫瑞穂氏から、27日の朝にTwitter上で回答があった。 上記2つのリンク先を読んでいただけ…

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12日前
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『Wedge』5月号の平成特集に寄稿しました。

誹謗中傷への対応のため、ご報告が遅れましたが、近日よくお世話になる『Wedge』の5月号(今月20日刊)に寄稿しております。 同誌はそもそも、元号が「平成」になって最初…

Yonaha Jun
12日前
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橋迫瑞穂氏に「学問の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」

4月24日の正午過ぎに行った前回の投稿に対し、記事の中で謝罪を求めた橋迫瑞穂氏から、同日夕刻に以下のような回答があった。 同記事で紹介した橋迫氏のツイートによれば…

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橋迫瑞穂氏が行う「虚言の流布と名誉毀損」に抗議する

4月17日に「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決が出た際、便乗して私を中傷する学者が出現したので、22日に前回の記事を書いた。文中にも記したとおり、うち1名は度重なる…

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「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決を正しく読む

4月17日に出た、北村紗衣氏が雁琳(山内雁琳)氏を訴えた民事訴訟の東京地裁判決が、ここ数日ネットを騒がせている。 元はよくある「ネットの書き込みによる名誉毀損」の…

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なぜ人文学者は、遠からずChatGPTに置き換わるのか

これまでもお世話になってきた『表現者クライテリオン』誌(隔月刊)で、連載「在野の「知」を歩く」を始めることになりました。今月刊の5月号での第1回ゲストは、批評家の…

Yonaha Jun
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『ローマの休日』で学ぶ保守とリベラル

先日ご紹介した今月刊行の『文藝春秋』5月号には、連載「「保守」と「リベラル」のための教科書」の私の担当回も載っています。1回目は安部公房の短編「詩人の生涯」を紹介…

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週刊『教育資料』のインタビューを再録します。

先月、週刊『教育資料』3月25日号の「自著を語る」に、インタビューが掲載されました。次の号もすでに出ていますので、刊行元の許可を得て、以下に全文を掲載します(多重…

Yonaha Jun
3週間前
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大東亜戦争とコロナワクチン: 歴史学者たちの「責任」

今週発売の『文藝春秋』5月号も、表紙に刷られる目玉記事3選の1つが「コロナワクチン後遺症 疑問に答える」。この問題は当面、収まりそうにないし、またうやむやにしては…

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2021年以来、僕はコロナワクチンについて何を語ってきたか

4年前の今日、つまり2020年の4月7日に、日本で初めて感染症の流行に対する「緊急事態宣言」が出た。もちろん新型コロナウィルスをめぐるもので、当時の首相は安倍晋三氏(…

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なぜ現代人は、こんな未来が「来る来る詐欺」にここまで弱いのか

本日(4月4日)のNewsPicksに、「未来を考えるには『小説』が必要だ」としてインタビューが載っています(有料)。タイトルだけだとなんの記事かわからないかもですが、ど…

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資料室: 1977年春、戦争はまだ海の向こうで始まるものだった。

次の仕事のために村上龍さんの『海の向こうで戦争が始まる』を読もうとしたら、どうも文庫が品切れみたいで驚いた。僕でも名前を知ってるくらいだから代表作の一つと思うけ…

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資料室: 1978年のアカデミー賞授賞式(多様性とポリコレの前、いかに世界は真剣だったか)

近年トラブル続きの米国のアカデミー賞が、今年も情けない次第になったことはよく知られている。3月10日の授賞式では、助演男優賞と主演女優賞の受賞者(ロバート・ダウニ…

Yonaha Jun
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呉座勇一さんとの新刊の「おわりに」を公開します。

呉座勇一さんとの新刊の「おわりに」を公開します。

5月27日をめどに、呉座勇一さんとの新刊『教養としての文明論』が書店に並びます。Amazonでも予約の受付が始まりました!

タイトルの通り、ずばりコンセプトは「文明論の復権」。
中世史家と、(元)近現代史家の2人による対談形式で、以下の5冊の「文明史の名著」を読み解きながら、現代世界の課題を考えています。

なぜ、近日はむしろ「悪口」のようになってしまっている、文明論というジャンルに再度取り組む

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尾久守侑さんと書店イベント(6/6)やります。

尾久守侑さんと書店イベント(6/6)やります。

今月下旬に『倫理的なサイコパス ある精神科医の思索』を刊行される尾久守侑(読みは「おぎゅう・かみゆ」。詩人としても知られる)さんと、来月に書店イベントやります。

6/6(木)19:00~、代官山の蔦屋書店にて。現地での観覧のほかに、Zoom視聴のチケットもあるので、遠隔地の方もご参加いただけます。詳しい情報はこちらをご覧ください。

尾久さんとは面識がなく、当日が初対面になります。また『倫理的な

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御礼: 舟津昌平『Z世代化する社会』での拙論言及

御礼: 舟津昌平『Z世代化する社会』での拙論言及

献本いただいたのに御礼が遅れて申し訳ありません。今年4月刊の舟津昌平『Z世代化する社会 お客様になっていく若者たち』が、拙論に言及して下さっています。温かいお手紙も添えてご恵投くださり、ありがとうございました。

著者の舟津さんとは面識がないのですが、京都大学で組織やマネジメントの研究をされた後、現在は東京大学大学院経済学研究科講師とのこと。ジャンルや専門が違う方にも、自分のメッセージが伝わるのは

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橋迫瑞穂氏による障害者差別について、所属機関に告発します

橋迫瑞穂氏による障害者差別について、所属機関に告発します

4月24日、および25日と連続して、私に対する差別発言を謝罪するよう求めてきた橋迫瑞穂氏から、27日の朝にTwitter上で回答があった。

上記2つのリンク先を読んでいただければ明らかだが、私は当初から連休が明ける5月7日まで待つと明言しており、回答を急かしたり煽ったりすることは一切していない。特に後者の記事では「学問の本義である熟慮と黙考の上で」、答えてほしいとさえ述べている。

彼女が謝罪を

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『Wedge』5月号の平成特集に寄稿しました。

『Wedge』5月号の平成特集に寄稿しました。

誹謗中傷への対応のため、ご報告が遅れましたが、近日よくお世話になる『Wedge』の5月号(今月20日刊)に寄稿しております。

同誌はそもそも、元号が「平成」になって最初の年度初めだった1989年4月の創刊なので、今月で35周年。それを記念した「平成」特集が、来月出る号との2号連続の予定となっています。

上・下合わせると相当コンパクトに「私たちの同時代史」が学べる資料集になるはずです。書店で購入

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橋迫瑞穂氏に「学問の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」

橋迫瑞穂氏に「学問の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」

4月24日の正午過ぎに行った前回の投稿に対し、記事の中で謝罪を求めた橋迫瑞穂氏から、同日夕刻に以下のような回答があった。

同記事で紹介した橋迫氏のツイートによれば、彼女は「去年からツイッターほどほどしか見てないんだ!おかげで食欲もまして肌も綺麗になったよ!」とのことだったが、にもかかわらず半日で応答されたのは、拙稿の批判をそれだけ重大に受けとめられたということだろう。その点に関して、まずは敬意を

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橋迫瑞穂氏が行う「虚言の流布と名誉毀損」に抗議する

橋迫瑞穂氏が行う「虚言の流布と名誉毀損」に抗議する

4月17日に「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決が出た際、便乗して私を中傷する学者が出現したので、22日に前回の記事を書いた。文中にも記したとおり、うち1名は度重なる差別発言を繰り返している嶋理人(日本史学・熊本学園大学講師)である。

もう1名は、たまたまツイートを入手したものの、本人がその後消したように思われたので、文面のみ引用して実名は記さずにおいた。しかし翌23日、当該の人物から更なる「再

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「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決を正しく読む

「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決を正しく読む

4月17日に出た、北村紗衣氏が雁琳(山内雁琳)氏を訴えた民事訴訟の東京地裁判決が、ここ数日ネットを騒がせている。

元はよくある「ネットの書き込みによる名誉毀損」の争いだったものが、ここまで大きな反響を呼ぶ理由については、すでにまとめている方も多いので、新たに付言するには及ばないだろう。

だが、後に具体例を示すとおり、同判決に便乗して私を中傷する「学者」が複数現れているので、手短にコメントしてお

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なぜ人文学者は、遠からずChatGPTに置き換わるのか

なぜ人文学者は、遠からずChatGPTに置き換わるのか

これまでもお世話になってきた『表現者クライテリオン』誌(隔月刊)で、連載「在野の「知」を歩く」を始めることになりました。今月刊の5月号での第1回ゲストは、批評家の綿野恵太さん。以前ご案内した2月の対談イベントを基にしつつ、大幅に増補した内容になっています。

「在官」すなわち大学のアカデミズムと、一般の読者の印象・感想とのあいだを繋いできた「批評」とはなんだったのか? それは今も機能しているのか?

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『ローマの休日』で学ぶ保守とリベラル

『ローマの休日』で学ぶ保守とリベラル

先日ご紹介した今月刊行の『文藝春秋』5月号には、連載「「保守」と「リベラル」のための教科書」の私の担当回も載っています。1回目は安部公房の短編「詩人の生涯」を紹介しましたが、2回目で採り上げるのは山本おさむさんのマンガ『赤狩り』(全10巻、連載2017~21年)。

同作のストーリーに触れた部分は、実はこちらのリンクから無料で読めます。しかし残りの部分では、最大の試練であるレッドパージを生きのびた

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週刊『教育資料』のインタビューを再録します。

週刊『教育資料』のインタビューを再録します。

先月、週刊『教育資料』3月25日号の「自著を語る」に、インタビューが掲載されました。次の号もすでに出ていますので、刊行元の許可を得て、以下に全文を掲載します(多重引用になってしまうので、アゴラには転載しないでください)。

また、東洋経済新報社の教育支援サイトにも、同じ著書をめぐる別の切り口からのインタビューが掲載されています(4月11日付)。このテーマについては、note でもマガジン「ボードゲ

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大東亜戦争とコロナワクチン: 歴史学者たちの「責任」

大東亜戦争とコロナワクチン: 歴史学者たちの「責任」

今週発売の『文藝春秋』5月号も、表紙に刷られる目玉記事3選の1つが「コロナワクチン後遺症 疑問に答える」。この問題は当面、収まりそうにないし、またうやむやにしてはならない。

及ばずながら前回のnote では、日本で接種が始まった2021年以降、僕がコロナワクチンについてどう発言してきたかの一覧を掲載した。こうした試みがもっと広く――特に、僕よりはるかに有名で権威があり、社会的な影響力の大きかった

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2021年以来、僕はコロナワクチンについて何を語ってきたか

2021年以来、僕はコロナワクチンについて何を語ってきたか

4年前の今日、つまり2020年の4月7日に、日本で初めて感染症の流行に対する「緊急事態宣言」が出た。もちろん新型コロナウィルスをめぐるもので、当時の首相は安倍晋三氏(故人)。最初は7つの都府県に限られていたが、同月16日に全国に拡大され、翌月まで続いた。

おそらくこのとき、僕たちの社会は決定的に壊れた。今日に至るまで元の場所に戻れず、もがいているのが現状だと思う。

同時期に世界の諸国が行ったロ

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なぜ現代人は、こんな未来が「来る来る詐欺」にここまで弱いのか

なぜ現代人は、こんな未来が「来る来る詐欺」にここまで弱いのか

本日(4月4日)のNewsPicksに、「未来を考えるには『小説』が必要だ」としてインタビューが載っています(有料)。タイトルだけだとなんの記事かわからないかもですが、どうしてみんな「20XX年問題」みたいな話がここまで好きなの? を考える内容です。

有料記事の中身をそのままは書けないので、無料の動画を挙げると、コロナの渦中だった2020年に小林秀雄賞をいただいた際のスピーチでも、ミヒャエル・エ

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資料室: 1977年春、戦争はまだ海の向こうで始まるものだった。

資料室: 1977年春、戦争はまだ海の向こうで始まるものだった。

次の仕事のために村上龍さんの『海の向こうで戦争が始まる』を読もうとしたら、どうも文庫が品切れみたいで驚いた。僕でも名前を知ってるくらいだから代表作の一つと思うけど、もう半世紀近く経つのだからしかたないのかもしれない。

『戦争が始まる』は村上龍の第二作で、まず『群像』の1977年5月号に載り、翌月に単行本になった。はっきり言ってストーリーはまったくなく、ビーチ(国も不明だが海外と思われる)でドラッ

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資料室: 1978年のアカデミー賞授賞式(多様性とポリコレの前、いかに世界は真剣だったか)

資料室: 1978年のアカデミー賞授賞式(多様性とポリコレの前、いかに世界は真剣だったか)

近年トラブル続きの米国のアカデミー賞が、今年も情けない次第になったことはよく知られている。3月10日の授賞式では、助演男優賞と主演女優賞の受賞者(ロバート・ダウニー・Jr とエマ・ストーン)が「アジア系のプレゼンターを無視した」として批判を浴びた。

皮肉なのは運営側の、ダイバーシティの象徴として「多様な人種からなる5名のプレゼンターが候補者を紹介し、オスカー像を授与する」という演出が仇になったこ

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