Yonaha Jun

與那覇潤です。2023年11月に『危機のいま古典をよむ』と『ボードゲームで社会が変わる…

Yonaha Jun

與那覇潤です。2023年11月に『危機のいま古典をよむ』と『ボードゲームで社会が変わる』(共著)を出すのに合わせて、始めることにしました。基本は、掲載・出演情報を「おまけ」を添えて上げていくつもりです。

マガジン

  • 寄稿・出演情報

    與那覇潤が寄稿した論考や、出演するイベントの告知記事です。なるべく「〇〇に出ます」以外にも、おまけをつけるよう努力しています。ご予約の参考や、ビブリオグラフィー代わりにどうぞ。

  • pork rillettes

    dis記事集(主に学問・言論関連)です。マガジン名の由来は、1本目の内容をご覧ください。なお、すべての批判対象をひとしなみに、その人物と同様に見なしているわけではありません。

  • ボードゲーム

    趣味のボドゲに関連する記事をまとめます。仕事だった歴史学については、第一にもう応援したくないし、第二に自分は何を書いても自ずと歴史の話になることに気づいたので、たぶんまとめません(笑)。

  • espresso

    なんていうか、自分がどんな人かがいちばんよく「抽出されている」記事だけを足していきます。なるべくPRものや、他のマガジンとの重複は避けます。エッセンスを手短に読みたい方はこちらを。

  • 資料室

    主に執筆・発表等のために集めた資料を「打ち込んで保存する」ための記事たちです(汗)。なので引用長めですが、かえって価値があるかもしれません。

最近の記事

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橋迫瑞穂氏に「学問の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」

4月24日の正午過ぎに行った前回の投稿に対し、記事の中で謝罪を求めた橋迫瑞穂氏から、同日夕刻に以下のような回答があった。 同記事で紹介した橋迫氏のツイートによれば、彼女は「去年からツイッターほどほどしか見てないんだ!おかげで食欲もまして肌も綺麗になったよ!」とのことだったが、にもかかわらず半日で応答されたのは、拙稿の批判をそれだけ重大に受けとめられたということだろう。その点に関して、まずは敬意を表したい。 しかし率直に言って、この謝罪は奇妙である。 私は記事の中で「これ

    • 『Wedge』5月号の平成特集に寄稿しました。

      誹謗中傷への対応のため、ご報告が遅れましたが、近日よくお世話になる『Wedge』の5月号(今月20日刊)に寄稿しております。 同誌はそもそも、元号が「平成」になって最初の年度初めだった1989年4月の創刊なので、今月で35周年。それを記念した「平成」特集が、来月出る号との2号連続の予定となっています。 上・下合わせると相当コンパクトに「私たちの同時代史」が学べる資料集になるはずです。書店で購入できるほか、東海道新幹線のグリーン車に乗ると無償でシートのポケットに入ってるので

      • 橋迫瑞穂氏が行う「虚言の流布と名誉毀損」に抗議する

        4月17日に「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決が出た際、便乗して私を中傷する学者が出現したので、22日に前回の記事を書いた。文中にも記したとおり、うち1名は度重なる差別発言を繰り返している嶋理人(日本史学・熊本学園大学講師)である。 もう1名は、たまたまツイートを入手したものの、本人がその後消したように思われたので、文面のみ引用して実名は記さずにおいた。しかし翌23日、当該の人物から更なる「再中傷」が行われたので、画像を公開する。 Twitter(X)での投稿の主は橋迫

        • 「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決を正しく読む

          4月17日に出た、北村紗衣氏が雁琳(山内雁琳)氏を訴えた民事訴訟の東京地裁判決が、ここ数日ネットを騒がせている。 元はよくある「ネットの書き込みによる名誉毀損」の争いだったものが、ここまで大きな反響を呼ぶ理由については、すでにまとめている方も多いので、新たに付言するには及ばないだろう。 だが、後に具体例を示すとおり、同判決に便乗して私を中傷する「学者」が複数現れているので、手短にコメントしておく。 当該の判決は、北村氏(原告)の側の弁護士事務所のホームページに、PDFで

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        橋迫瑞穂氏に「学問の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」

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        記事

          なぜ人文学者は、遠からずChatGPTに置き換わるのか

          これまでもお世話になってきた『表現者クライテリオン』誌(隔月刊)で、連載「在野の「知」を歩く」を始めることになりました。今月刊の5月号での第1回ゲストは、批評家の綿野恵太さん。以前ご案内した2月の対談イベントを基にしつつ、大幅に増補した内容になっています。 「在官」すなわち大学のアカデミズムと、一般の読者の印象・感想とのあいだを繋いできた「批評」とはなんだったのか? それは今も機能しているのか? 批評的な中間知がなくなるとき、学問もまた社会で孤立し、無価値になってしまうので

          なぜ人文学者は、遠からずChatGPTに置き換わるのか

          『ローマの休日』で学ぶ保守とリベラル

          先日ご紹介した今月刊行の『文藝春秋』5月号には、連載「「保守」と「リベラル」のための教科書」の私の担当回も載っています。1回目は安部公房の短編「詩人の生涯」を紹介しましたが、2回目で採り上げるのは山本おさむさんのマンガ『赤狩り』(全10巻、連載2017~21年)。 同作のストーリーに触れた部分は、実はこちらのリンクから無料で読めます。しかし残りの部分では、最大の試練であるレッドパージを生きのびた人々に比べて、いまの(特にTwitterとかにいる)リベラルや左翼には「なにが足

          『ローマの休日』で学ぶ保守とリベラル

          週刊『教育資料』のインタビューを再録します。

          先月、週刊『教育資料』3月25日号の「自著を語る」に、インタビューが掲載されました。次の号もすでに出ていますので、刊行元の許可を得て、以下に全文を掲載します(多重引用になってしまうので、アゴラには転載しないでください)。 また、東洋経済新報社の教育支援サイトにも、同じ著書をめぐる別の切り口からのインタビューが掲載されています(4月11日付)。このテーマについては、note でもマガジン「ボードゲーム」にまとめてちょこちょこ書いていくつもりです。そのうち、作品レビューとかも始

          週刊『教育資料』のインタビューを再録します。

          大東亜戦争とコロナワクチン: 歴史学者たちの「責任」

          今週発売の『文藝春秋』5月号も、表紙に刷られる目玉記事3選の1つが「コロナワクチン後遺症 疑問に答える」。この問題は当面、収まりそうにないし、またうやむやにしてはならない。 及ばずながら前回のnote では、日本で接種が始まった2021年以降、僕がコロナワクチンについてどう発言してきたかの一覧を掲載した。こうした試みがもっと広く――特に、僕よりはるかに有名で権威があり、社会的な影響力の大きかった人たちの手でなされるべきだと思うが、たぶん、続く人はほぼ出ないだろう。 なぜか

          大東亜戦争とコロナワクチン: 歴史学者たちの「責任」

          2021年以来、僕はコロナワクチンについて何を語ってきたか

          4年前の今日、つまり2020年の4月7日に、日本で初めて感染症の流行に対する「緊急事態宣言」が出た。もちろん新型コロナウィルスをめぐるもので、当時の首相は安倍晋三氏(故人)。最初は7つの都府県に限られていたが、同月16日に全国に拡大され、翌月まで続いた。 おそらくこのとき、僕たちの社会は決定的に壊れた。今日に至るまで元の場所に戻れず、もがいているのが現状だと思う。 同時期に世界の諸国が行ったロックダウンと異なり、日本の緊急事態宣言は、法的な意味での強制力は弱かった。しかし

          2021年以来、僕はコロナワクチンについて何を語ってきたか

          なぜ現代人は、こんな未来が「来る来る詐欺」にここまで弱いのか

          本日(4月4日)のNewsPicksに、「未来を考えるには『小説』が必要だ」としてインタビューが載っています(有料)。タイトルだけだとなんの記事かわからないかもですが、どうしてみんな「20XX年問題」みたいな話がここまで好きなの? を考える内容です。 有料記事の中身をそのままは書けないので、無料の動画を挙げると、コロナの渦中だった2020年に小林秀雄賞をいただいた際のスピーチでも、ミヒャエル・エンデの『モモ』(原著は1973年。あ、これも小説だ!)と対比しつつ令和の「こんな

          なぜ現代人は、こんな未来が「来る来る詐欺」にここまで弱いのか

          資料室: 1977年春、戦争はまだ海の向こうで始まるものだった。

          次の仕事のために村上龍さんの『海の向こうで戦争が始まる』を読もうとしたら、どうも文庫が品切れみたいで驚いた。僕でも名前を知ってるくらいだから代表作の一つと思うけど、もう半世紀近く経つのだからしかたないのかもしれない。 『戦争が始まる』は村上龍の第二作で、まず『群像』の1977年5月号に載り、翌月に単行本になった。はっきり言ってストーリーはまったくなく、ビーチ(国も不明だが海外と思われる)でドラッグをキメて水平線を眺め続ける男女の目には、海の向こうに見える蜃気楼のような国で戦

          資料室: 1977年春、戦争はまだ海の向こうで始まるものだった。

          資料室: 1978年のアカデミー賞授賞式(多様性とポリコレの前、いかに世界は真剣だったか)

          近年トラブル続きの米国のアカデミー賞が、今年も情けない次第になったことはよく知られている。3月10日の授賞式では、助演男優賞と主演女優賞の受賞者(ロバート・ダウニー・Jr とエマ・ストーン)が「アジア系のプレゼンターを無視した」として批判を浴びた。 皮肉なのは運営側の、ダイバーシティの象徴として「多様な人種からなる5名のプレゼンターが候補者を紹介し、オスカー像を授与する」という演出が仇になったことだ。そこまで意識の高さを誇示した後に、白人の受賞者が有色人種をスルーすれば、炎

          資料室: 1978年のアカデミー賞授賞式(多様性とポリコレの前、いかに世界は真剣だったか)

          楽しく学ぼう! 戦後日本と「WGIP」についてのQ&A

          3月16・17日の東京新聞/中日新聞に、風元正さんの『江藤淳はいかに「戦後」と闘ったのか』の書評を寄せました。Webにも転載されたので、こちらのリンクから読めます。 平山周吉さんの『江藤淳は甦える』が「実証史学」的な江藤論だとすれば、風元さんの本は「文芸批評」的な江藤論。ちなみにどちらも、編集者として生前の江藤と面識のあった方ですね。 さて江藤淳の戦後との闘いというと、いま多くの人が連想するのがWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)ですよね。風元さんの

          楽しく学ぼう! 戦後日本と「WGIP」についてのQ&A

          もしコバ: もし小林秀雄がウクライナ戦争を見たら

          3月9日に法政大学で行われた「日本文明」研究フォーラムのイベントが、論壇チャンネル「ことのは」で視聴可能になりました。有料会員限定ですが安い(廉価なコースは月690円!)ので、たぶん損しないです。番組へのリンクはこちら。 苅部直先生の著書『小林秀雄の謎を解く』(新潮選書、2023年)をめぐる合評会で、私は産経新聞にも書評を寄せています。こちらは無料なので読んでみて、興味を惹いたらフォーラムの報告はまた別の角度でやっていますので、会員になって見てあげてください。あっ、あんま知

          もしコバ: もし小林秀雄がウクライナ戦争を見たら

          ファンネル・オフェンスの諸問題(前回の記事を一部訂正します)

          3月13日に、『中央公論』4月号の「専門家鼎談」を批判する記事を出した。その一部について、当事者から訂正してほしいとのリクエストがあったので、取り急ぎ簡潔に。 当該の鼎談(一部はWebでも読める)で細谷雄一氏が、東野篤子氏がSNSで発揮する「オフェンス能力」を称賛していたので、前回の記事では東野氏の関わった論争をまとめたTogetterから、以下の写真を引用して彼女の「攻撃能力」の内実を検証した。 東野氏とこのとき論争した当事者であるPeacekeeper氏によれば、上記

          ファンネル・オフェンスの諸問題(前回の記事を一部訂正します)

          論壇誌は「Twitter学者」が言い訳をする場所なのか?

          今月発売の『中央公論』4月号に、国際政治やウクライナ戦争の「専門家」として知られる3名の鼎談が載っている。実は前回の記事「『専門家の時代』の終焉」を公開すると決めたのは、それを知ったのが契機だった。 3名とは、慶応義塾大教授の細谷雄一氏・筑波大教授の東野篤子氏・東京大准教授の小泉悠氏。私は小泉氏とは対談でお会いしたことがあるが(拙著に再録)、細谷・東野の両氏とは面識がない。 2024年の2月末に、ウクライナ戦争は開戦から3年目に入った。3名とも同戦争への積極的な言及で知ら

          論壇誌は「Twitter学者」が言い訳をする場所なのか?