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エッセイ

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自分のこと (機能不全家族、依存、仕事、恋愛、心療内科、発達障害)
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#エッセイ部門

三角座りで泣いてないで ちゃんと話して

三角座りで泣いてないで ちゃんと話して

今日、私は最高に面倒臭い女だった。
彼とお出かけの場所を決める時に、自分の思う通りにならずに不機嫌になり、彼に素っ気ない態度を取ってしまった。
彼も私も離れた所で座り、無言で別々のことをする。
『週末にしか会えないのに。』
『こんなことで彼に嫌われたらどうしよう』
そんな想いが溢れ、なんと、ベッドの隅で膝を抱え、涙する27歳、女…。
子どもにしか許されん"構ってちゃんムーブ"をかましてしまった。

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柔らかで透明で無垢なその心を

柔らかで透明で無垢なその心を

故郷の好きなところを考える授業で、
「僕は、夕焼けが好き」
と、ある子が言った。
どうして?と尋ねると、
「海で見える夕焼けが綺麗だから」
とにっこり笑った。
なんて繊細で味わい深い感じ方なんだろうと胸を打たれた。
ここに住んでいる子は、皆んな故郷の海が大好き。

元気いっぱい遊んだ帰り道、皆で歩く海岸線。
陽が遠くに沈みゆく。
一瞬、立ち止まって海を見る。
緋色に染まる海面が、あなたのガラス玉の

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この人しかいない

この人しかいない

昨夜、彼と大衆的な中華料理屋さんにご飯を食べに行った。
羽付きパリパリ餃子、こってり麻婆茄子、ぷりぷりエビマヨ…etcをほかほかの白米とともに頬張る。
夜に満腹になるまで食べる、炭水化物を摂る、なんてこと、以前は絶対にしてなかったけれど、最近は貴方と
「お腹いっぱい。美味しかったね」
と笑顔を交わしながら食べることの多幸感を優先してしまっている。

帰り道、彼が運転する車の中で、お互いの価値観につ

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新しい物語を一緒に見つけよう

新しい物語を一緒に見つけよう

「物語」の語源は「物語る」というそうだ。
「物は語る」とも言えるかもしれない。
物は、静かにそこにありながら、こちらに想起させることや何かを訴えてくることがある。



物を多く持たないようにしている。
その分、一つ一つの物を長く大切に使う。
例えば、食器。
お茶碗は、蚤の市で一番に目に留まった柴犬のデザインのもの。
手に取ると、可愛らしい柴犬のデザインに心がほっこりする。
丼は、金物屋で買った

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誰にも伝わらないようなことをずっと残していたい

誰にも伝わらないようなことをずっと残していたい

昨日、何気なく
「近くの海にはヤドカリがいっぱいいる」
という話をしたところ、
「絶対に、今日、見に行きたい」
と珍しく強い意志を持って言ってきた彼。
そんなにヤドカリ見たいのかな…?
と戸惑いつつ近所の海へ二人で向かった。

夕方の海は、人がまばらだった。
ここの海はパリピが居ないのが凄くいい。
小さな海水浴場。美しく豊かな自然。多種多様な生き物。
ここへ越してきて3年目、すっかり海が好きになっ

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愛情のうつわ

愛情のうつわ

とあるラジオ番組で"アダルトチルドレン"の話があった。
アダルトチルドレンとは、子ども時代に満足いくまで愛されなかったために、大人になって「自分を愛して欲しい」という欲求を「相手を思い通りにコントロールしたい」といったような恣意的な言動で満たそうとする人のこと。
所謂、"毒親"と呼ばれる人に多いらしい。
ラジオを聴きながら、自分や自分の家族に重なることも多かったのだが、一番に学校の子どもたちのこと

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結婚って家族のしがらみが付き纏う

結婚って家族のしがらみが付き纏う

先日、彼が私の家に挨拶に来てくれた。
母親だけだったらどうしよう…と思っていたが父親の姿が見えてほっとした。

でも、通されたダイニングテーブルに座ったのは父だけ。
母は台所にいて、こちらに来ようともしなかった。台所に椅子を置いて、黙ったままこちらを見ている。
私と彼にはお茶を出して、父には何も出さない。
茶菓子すらない。
父と彼が話す間、私の心は怒りで煮え繰り返っていた。
何故、こんな日ぐらい取

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出口を見つけられない

出口を見つけられない

最近、無気力のトンネルに入ってしまった。
主に仕事の面で。

仕事は、担任をしていた頃に比べたら正直楽だ。
プレッシャーも担任よりはずっと軽い。
だからだろうか、最低限、仕事をこなしたら早めに帰ってしまう。
自分の授業が無い時間は年休を取って帰ることもある。
平日の夜は一切家で仕事はしない。
体調が悪い時に迷わず休んでしまう。
担任じゃないから困らないかな、なんて思ってしまう自分がいる。
「あの人

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私は私の一番いい部分だった

私は私の一番いい部分だった

生まれて20数年、ずっと変わろうとしていた。

重箱の隅をつつくように自分の悪いところを見つけては、
「このままじゃ駄目だ」
「もっとちゃんとしないと」
「何でこんなこともできないの」
と責めていた。
常に小火のような焦燥感が心の中をチリチリ焦がし、"何か"にならないといけない、と急き立てられていた。
"何か"というのは、
『ちゃんとした人』
『ミスしない人』
『明るくてポジティブな人』
など漠然

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1と1が交差するとき

1と1が交差するとき

先日、彼のご実家へご挨拶に伺った。
よく手入れされ、花が咲き誇る庭先。
細やかで丁寧な"営み"を感じた。

『こんな私が伺って大丈夫かな?』『うまく話せるかな?』と胸をどぎまぎさせながら玄関の中に入る。
彼のご両親は、「いらっしゃい」と笑顔で迎えてくださった。
その表情に少し安堵する。

ご両親は朗らかに話しかけてくださった。
さすが彼のご両親だ。言葉の節々に優しさが滲み出る。
彼がこんなに立派に

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"優しさ"と"都合がいい"は紙一重

"優しさ"と"都合がいい"は紙一重

彼に対して、最近変に気を遣ってしまう。
お付き合いして一年が過ぎ、沈黙になる場面が増えた。
別に悪い雰囲気じゃないのだけれど、中身の無い会話で空白を埋めたくなって、空回り。
元々無口な彼だから、別に沈黙の時間を気まずいとかは思っていないだろうが。

また、彼も慣れてきたからか、一緒にいる時もスマホを弄っている時間が増えた。
「私といてもつまらないのかな」
「一人で居たいって思っているんじゃないかな

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宵闇の中で描けるだけの絵空事を

宵闇の中で描けるだけの絵空事を

世間一般の『女性の憧れ』は、私に無縁なものだと思っていた。

高価なブランド品にも価値を見出せなかったし、冷めるのも構わず、"映える"ご飯の写真を撮る友だちにも辟易していた。
結婚だってできると思っていなかった。
勿論、結婚式も婚約指輪も自分には必要ないと思っていた。
「自分には似合わない、勿体ない」
「高いものなんて見栄を張るための手段でしかない。くだらない。」
なんて卑屈になっていた。

でも

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優しさの種類

優しさの種類

母曰く、「優しさには2種類ある」らしい。
"外に向ける優しさ"と"内に向ける優しさ"のふたつ。

"外に向ける優しさ"は、一目見てわかる。
欲しい言葉をくれる。盛り上げ上手。
ドアを開ける、車道側を歩くなど、
簡単に下手に出る。
だから一緒にいて気持ちがいい。
でも、その優しさは都合よく映された錯覚。
周りからの評価に依存し、自分をよりよく見せたいだけ。
誘き寄せ、手に入れるための手段でしか無い。

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あなたはいい子

あなたはいい子

小学生の時、弟の付き添いで、週に二回、学習教室に行っていた。

大学の敷地内、周囲に木が鬱蒼と茂った小さな建物の中、薄暗くひんやりとした廊下の突き当りに、その教室はあった。

狭い教室の中は、ボランティアの学生さんや同年代ぐらいの子どもたち、付き添いの保護者の方たちでいつも賑わっていた。

後から知ったことだが、そこは、『通常の学級に在籍していて、学習面や生活面でつまずきがある子どもにとって適切な

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