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優しさの種類


母曰く、「優しさには2種類ある」らしい。
"外に向ける優しさ"と"内に向ける優しさ"のふたつ。

"外に向ける優しさ"は、一目見てわかる。
欲しい言葉をくれる。盛り上げ上手。
ドアを開ける、車道側を歩くなど、
簡単に下手に出る。
だから一緒にいて気持ちがいい。
でも、その優しさは都合よく映された錯覚。
周りからの評価に依存し、自分をよりよく見せたいだけ。
誘き寄せ、手に入れるための手段でしか無い。
何でも言うことを聞いてくれるようで、利己的な思惑が見え隠れする。
男らしいように見えて、相手が本当に困っている時に「自分は自分、人は人」って割り切っているから、守ってはくれない。
自分から「結婚しよう」みたいに、将来の道筋を提案することもない。
そして身内になってしまえば、目的達成。
底が浅い愛は尽きるのを待つのみ。
別に、蔑ろにして、身内が自分から離れていったって屁じゃ無い。
だって次のターゲットを決めればいいから。

一方、"内に向ける優しさ"は、分かりづらい。
社交性は無い。口数も少ない。中々思い通りに動いてくれない。
周りからは『何でお前はそう(不器用)なの。笑』と呆れられていることも多い。
でも、身内だけに優しさを向けることができる。
自分を大切にしてくれる人、理解している人のありがたみを知っているから、離れて行かないように一生懸命になってくれる。
一緒に人生を歩んでいくことが前提で、道筋を示してくれる。
身内に何かあったら、自分ごととして捉え、守ってくれる。
飾らない、ありのままの愛を与え続けてくれる。

昔は、前者に惹かれてた。
今は、外面のいい小手先レディファーストなんて、くそ喰らえ!と思っている。
若い時には選べなかった、真の優しさ。
今の彼は言わずもがな後者。
彼に出会えたのは、自分が弱点を持つ人間だからかもしれない。
それでもいいよ、と言ってくれる人としか一緒には居られないから。
薄っぺらい優しさは、篩にかけられて消えた。


心から思う。本当に彼に出会えて良かった。

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