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愛情のうつわ

とあるラジオ番組で"アダルトチルドレン"の話があった。
アダルトチルドレンとは、子ども時代に満足いくまで愛されなかったために、大人になって「自分を愛して欲しい」という欲求を「相手を思い通りにコントロールしたい」といったような恣意的な言動で満たそうとする人のこと。
所謂、"毒親"と呼ばれる人に多いらしい。
ラジオを聴きながら、自分や自分の家族に重なることも多かったのだが、一番に学校の子どもたちのことを思い出した。

一つのクラスには色々な子がいる。
家庭状況も経済状況も様々だ。
一人一人、学校に来た時の「愛情のうつわ」の状態も違う。
お家でたっぷり愛情を注がれて、うつわが満たされている子もいる。
何らかの事情で、うつわが空っぽのように感じてる子もいる。

愛情は子どもにとって原動力だ。
子どもは(大人もだけど)、自分のためだけに生きれるほど強くない。
そもそも、お母さんやお父さん…etcを喜ばせるために、という気持ちで動いていることが多い。
家族や他者からの愛情や期待を注がれて初めて「自分には価値がある」だから「やってみよう」と思える。安心して挑戦できる。

でも、うつわが空っぽだと動けない。
いくら叱ったって一緒だ。
エンジンのない車を走らせようとしているようなもの。
まずは満たしてあげないと。

お家で、うつわにひびが入ってしまっている子もいる。
他者がいくら満たそうとしても愛情が溜まっていかない。
そんな時に必要なのは、
対話をして、その子が本当に欲していることを訊くこと。
無意味に思えても粘り強く注ぎ続けること。
ひびに、上からテープを貼ることぐらいはできるかもしれない。
本当は、家族の関わりを見直すことが一番なんだろうけど、教師はそこまで介入はできない。

学校で暴れてしまうあの子、すぐに自分を否定してしまうあの子、授業に参加しようとしないあの子も、満たされない何かがきっとある。
本来、誰だって頑張りたいし学びたいし優しくありたい。
それどころじゃなくさせている原因があるはずなんだ。
あの子たちのうつわを満たしてあげるには、どうすればいいのだろう。
「あなたが大切、あなたはいい子」
そう愚直に伝え続けることなのかな。

他の家族を見て「何故うちは違うのだろう」と悲しくなったり、
ご飯を黙々と砂を噛むような思いで食べたり、
誰かの機嫌を伺いながらびくびく過ごしたり、
辛いよね。
不公平だって言いたくもなるよね。
動き出すのが怖いよね。
いっそ壊したくなる時もあるよね。

私には、何ができるだろうかと物思いに耽る夜。

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