工芸、上の空。(takenaka kinsai)

「金彩」という伝統工芸技術で、ものづくりをしています。会社勤めしている頃は包材関係のデ…

工芸、上の空。(takenaka kinsai)

「金彩」という伝統工芸技術で、ものづくりをしています。会社勤めしている頃は包材関係のデザイン職でした。 が、仕事とは全然関係ない事、もしかしたら関係するかもしれない程度の事も扱います。マンガ、アニメ、デザインなども。書きたいままに。

マガジン

記事一覧

麻の葉-その2 庶民と共に歩んだシンデレラ

「麻の葉」は何故、愛されるのか? 前回は「麻の葉」文様の「見た目」だけに絞って考えてみました。 (整い、惹きつけ、スカされる笑、三拍子揃ってるので  そりゃ、もう…

文様よもやま話③麻の葉-その1 なぜ惹きつけられる?「文様界の小悪魔」問題について。

伝統文様を一つ取り上げ、あーだ、こーだと好き勝手に言ってみる 文様よもやま話。今回は、定番中の定番「麻の葉」です。 長くなりそうなので、3分割くらいでいきたいと…

文様よもやま話②市松-B やはり炭治郎に市松はよく似合う

A面は、「炭治郎匂わせ」の「市松」文様は、悪なのか? どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか、明確なボーダーライン (=鬼滅のオフサイド・ライン)はあるのか?…

文様よもやま話②市松-A 炭治郎か?市松か?鬼滅のオフサイド・ライン

バナー画像(緑と黒の市松)に引きつけられて、この記事を開いてしまった皆様、 すみません。 『鬼滅の刃』が主題ではない点、一番はじめにお断りを入れさして頂きます。 …

文様よもやま話①さくら

花、満開です。 4月5日、京都地方気象台はソメイヨシノが満開になったと発表しました。 (↑の写真は枝垂れ桜です。) このタイミングで 工房の中にある型紙などを振り返…

glassmarker-彩- 私達らしい祝い方

りんごはニュートンの足元にしか落ちなかった。 万有引力はニュートンの生き様があってこそ発見された、と思うのです。 私たちtakenaka kinsaiには、glassmarker-彩-(グ…

ボスキャラ募集「ロックマン」はデザインの深淵を垣間見せた。

ロックマン。子どもの頃、沢山遊びました。ゲーム史に燦然と輝く不朽の名作です。でも私にとってのロックマンは、それだけじゃないんです。 ロックマンは、私に初めて「デ…

技術は受け継げない。

伝統工芸の技術に関して軽い誤解が蔓延ってないか? とちょっと心配になりましたので書きます。 技術の継承とか、つい言っちゃいますが、 基本、技術って、受け継げません…

「職人と作家の違い」内なる声に耳を傾ければ自ずと分かる説

デザインとアートの違い、 アーティストとクリエイターの違い、 工芸と民芸の違い ・・・ インターネット上には、この手の「〇〇と××の違い」を伝えようとしてくれるテ…

マンガは工芸品

かなり変なのは承知していますが、クラフト的魅力とか言われて真っ先に連想するのがマンガだったりします・・。正直、陶芸とか、漆器とかではない・・。(なんかスミマセン…

未来は心と脳ミソで決める。

ウチ、金彩工房takenaka kinsaiでは、父と私2人で「これからの金彩(工芸)」を模索する、をお題目に伝統工芸に勤しんでいます。が、その関係はご期待?に沿うような「師匠…

伝統を守りたいから、伝統から離れた。

はじめまして。竹中金彩(takenaka kinsai)と申します。 この度、note始めました。 父子2人で金彩という伝統工芸に携わっています。 工房は今年で47年目。at京都。私はボ…

『鬼滅の刃』は、ジョジョと似て非なる所にこそテーマが詰まっている。

大人気、鬼滅の刃。とても面白い。少し読めば「なるほど、これは、ジョジョ(第一部)だな・・笑」と思うのですが、だからいけない、と言いたい訳でなく 、似て非なるとこ…

麻の葉-その2 庶民と共に歩んだシンデレラ

麻の葉-その2 庶民と共に歩んだシンデレラ

「麻の葉」は何故、愛されるのか?
前回は「麻の葉」文様の「見た目」だけに絞って考えてみました。

(整い、惹きつけ、スカされる笑、三拍子揃ってるので
 そりゃ、もうハマってしまいますよね・・というお話でした。)

今回は歴史がテーマです。

仏と「麻の葉」

この文様は割と古くから存在していたようです。

例えば、奈良の東大寺三昧堂に安置されている
木造十一面観音立像は截金で表現された「麻の葉」文

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文様よもやま話③麻の葉-その1 なぜ惹きつけられる?「文様界の小悪魔」問題について。

文様よもやま話③麻の葉-その1 なぜ惹きつけられる?「文様界の小悪魔」問題について。

伝統文様を一つ取り上げ、あーだ、こーだと好き勝手に言ってみる
文様よもやま話。今回は、定番中の定番「麻の葉」です。

長くなりそうなので、3分割くらいでいきたいと思います・・
奈良時代にはもう登場している「麻の葉」文様ですが
どうして、そんなにも長い間、愛され続けるのか?

本日は、その秘密を美しさ、つまり見た目だけから考えてみます。

(受容のされ方と遍歴が、その2。
 どうして厄除けなのか?が

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文様よもやま話②市松-B やはり炭治郎に市松はよく似合う

文様よもやま話②市松-B やはり炭治郎に市松はよく似合う

A面は、「炭治郎匂わせ」の「市松」文様は、悪なのか?
どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか、明確なボーダーライン
(=鬼滅のオフサイド・ライン)はあるのか?といった話題でした。

そして、本来は無味無臭な意匠であるはずの「市松」文様が
『鬼滅の刃』を想起させる「記号」に昇華した事実、
文様の意味が「上書き」された事が興味深い、
・・・といったところで一旦締めました。

で、ここからは
実は市

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文様よもやま話②市松-A 炭治郎か?市松か?鬼滅のオフサイド・ライン

文様よもやま話②市松-A 炭治郎か?市松か?鬼滅のオフサイド・ライン

バナー画像(緑と黒の市松)に引きつけられて、この記事を開いてしまった皆様、
すみません。
『鬼滅の刃』が主題ではない点、一番はじめにお断りを入れさして頂きます。
「市松」文様をネタに、あーだ、こーだ言いたいだけの記事なのですが、
文様が持つ潜在的な「力」について、改めて考えてみたくなったとき
どうしても取り上げたい話題の一つがコレでした。

つまり「炭治郎匂わせ」の市松問題です。

バナー画像によ

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文様よもやま話①さくら

文様よもやま話①さくら

花、満開です。
4月5日、京都地方気象台はソメイヨシノが満開になったと発表しました。
(↑の写真は枝垂れ桜です。)

このタイミングで
工房の中にある型紙などを振り返りつつ、「さくら」にまつわる蘊蓄などを
アレコレ書いていきます。

画像の文様は、線画で描かれた(糸目の)桜です。
鋸歯のない若葉も顔を覗かせているので
品種としてはヤマザクラになるでしょうか・・?

すみません、わかりません・・。

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glassmarker-彩- 私達らしい祝い方

glassmarker-彩- 私達らしい祝い方

りんごはニュートンの足元にしか落ちなかった。
万有引力はニュートンの生き様があってこそ発見された、と思うのです。

私たちtakenaka kinsaiには、glassmarker-彩-(グラスマーカー彩)という代名詞的商品があります。これも「私たちの元にしか落ちようがなかった」商品だと考えています。

というか、私たち自身の有様があまりに色濃く反映している、トランプのポーカーで例えるなら、私たち

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ボスキャラ募集「ロックマン」はデザインの深淵を垣間見せた。

ボスキャラ募集「ロックマン」はデザインの深淵を垣間見せた。

ロックマン。子どもの頃、沢山遊びました。ゲーム史に燦然と輝く不朽の名作です。でも私にとってのロックマンは、それだけじゃないんです。

ロックマンは、私に初めて「デザイン」の深淵を示唆し、模範となったゲームなのです、多分。

そして、私と似た感覚を覚えた方が、世の中にはたくさんいるのではないかと思います。察しの通り?ボスキャラ募集がその理由です。

これのおかげで、図らずしもロックマンは、チビッコ向

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技術は受け継げない。

技術は受け継げない。

伝統工芸の技術に関して軽い誤解が蔓延ってないか?
とちょっと心配になりましたので書きます。

技術の継承とか、つい言っちゃいますが、
基本、技術って、受け継げません。

各々が、頑張って身に付ける、それだけです。経営基盤みたいなものとは事情が違っています。
(ロマサガ2みたいな感じだと楽なんでしょうが・・。)

スポーツ、サッカーでいうと、中村俊輔のフリーキックって受け継ぎようがないものですよね。

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「職人と作家の違い」内なる声に耳を傾ければ自ずと分かる説

「職人と作家の違い」内なる声に耳を傾ければ自ずと分かる説

デザインとアートの違い、
アーティストとクリエイターの違い、
工芸と民芸の違い
・・・

インターネット上には、この手の「〇〇と××の違い」を伝えようとしてくれるテキストが溢れていて素敵です。

デザインを学んできた人間なので、「デザインとアートの違い」は、昔からよく目にしてきました。デザインの門戸を叩く者は皆、一度は通る道(Y字路?)かもしれません。この違いが分からないと、間違った人生を歩むかも

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マンガは工芸品

マンガは工芸品

かなり変なのは承知していますが、クラフト的魅力とか言われて真っ先に連想するのがマンガだったりします・・。正直、陶芸とか、漆器とかではない・・。(なんかスミマセン・・。)

自分にとって、最も親しい工芸品。印刷物、マスプロダクトなのだけれど手仕事の味わい、人間臭さがプンプン感じられます。ザラッとした漫画雑誌の紙質や印刷の粗もむしろ良い。

読むと、それだけでちょっと癒されます。作り手が感じられるので

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未来は心と脳ミソで決める。

未来は心と脳ミソで決める。

ウチ、金彩工房takenaka kinsaiでは、父と私2人で「これからの金彩(工芸)」を模索する、をお題目に伝統工芸に勤しんでいます。が、その関係はご期待?に沿うような「師匠」と「弟子」というものではありません。言うなれば「心臓」と「脳ミソ」に当たると考えています。

いきなり言うと「なんのこっちゃ」かもしれませんが自分達では、そう理解しているという事です。(そして、そのように言葉にできてからは

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伝統を守りたいから、伝統から離れた。

伝統を守りたいから、伝統から離れた。

はじめまして。竹中金彩(takenaka kinsai)と申します。
この度、note始めました。

父子2人で金彩という伝統工芸に携わっています。
工房は今年で47年目。at京都。私はボンの方で6年目です。
生まれた時から、自宅の一室は父の仕事場。耳をそばだてれば
カタカタカタと小気味好く金箔粉を振るう音が聞こえる、
そんな環境で育ちました。

「楽しそう」「知ってほしい」。だからnote始めま

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『鬼滅の刃』は、ジョジョと似て非なる所にこそテーマが詰まっている。

大人気、鬼滅の刃。とても面白い。少し読めば「なるほど、これは、ジョジョ(第一部)だな・・笑」と思うのですが、だからいけない、と言いたい訳でなく 、似て非なるところがあり、そこにこのマンガの美味しいところ、 テーマみたいなのがぎゅっと詰まってるという感じがします。(だから、パクリとか言って済ますのは、一番勿体無い、と思います。)

多分、鬼滅の作者は、描きたい事を上手に展開できるようにジョジョ

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