見出し画像

glassmarker-彩- 私達らしい祝い方


りんごはニュートンの足元にしか落ちなかった。
万有引力はニュートンの生き様があってこそ発見された、と思うのです。

私たちtakenaka kinsaiには、glassmarker-彩-(グラスマーカー彩)という代名詞的商品があります。これも「私たちの元にしか落ちようがなかった」商品だと考えています。

というか、私たち自身の有様があまりに色濃く反映している、トランプのポーカーで例えるなら、私たち自身が役の一部を担っている、と思えるような商品なのです。

私たち自身とグラスマーカー彩が、どのように「切っても切れない」かを感じていただけたらと思います・・。

画像1


晴れ着で、グラスをドレスアップ。

glassmarkerは、着物地に金彩(金箔で装飾)を施したグラスマーカー(誰のワイングラスか、を表す目印)です。パーティシーンに、雅な彩りを添えます。

画像8

金彩工芸は、もともと婚礼花嫁衣装、晴れ着といったところでもよく用いられてきた技術なので祝宴にふさわしい華やかさを備えています。晴れ着をワイングラスに着せ替え、ドレスアップしているイメージを思い浮かべてもらうといいかもしれません。

一枚一枚に日本人のお祝いの気持ち、厳かさと思いやりが詰まっています。図案も、お祝いの意味のある文様が多いです。

画像18

画像6

製作にあたっては、既存の生地、ハギレを仕入れさせてもらって金彩加工しています。生地を新規に作成するという事はしていません。

同じものを継続して作る事は出来ませんが、反対に、作る度に新しい「一点もの」のグラスマーカーが出来上がると言えます。決して他人と被らないので、目印としては機能性抜群なのです。理屈的には何万人規模のパーティだろうと対応可能です。

画像5

画像4

セット箱は、どの箱を開けても違う組み合わせで入っています。

画像14

画像15

画像16

ちゃんと撥水加工もしてあります。

画像2

背伸びしない。冷蔵庫にはいい食材が残っていた。

どういう経緯でこの商品は誕生したのか?というと

2013年の秋、「京ものユースコンペ」(京都市主催、工芸に携わる新しい才能発掘を目的としたコンペ。)に応募、準グランプリ受賞。せっかく受賞したのだから、と2014年に商品化&販売開始。
そのまま定番の人気商品として今に至る、です。

あっさり書きましたが、その裏側もあっさりしたもので15分くらいで考えたアイデアで、製作期間も2日くらい。そもそもコンペの存在を知ったのが締切の5日前といった具合でした・・。

でも、なぜそんな軽いノリでうまくいったのか。
諸々全てがいい方向に転んだのでラッキー、実力以上が発揮されたに違いないのですが、あえて言うなら、背伸びをすることがなかったのが良かったのかなと思っています。

言い換えると、冷蔵庫の残り物を生かして美味しい料理が出来た感じでした。

もともと伝統工芸はアーカイブの宝庫すぎるので、冷蔵庫に大抵めっちゃいい食材が残っているものですが

「時間ないし、チャーハンでいいんちゃう?
その具、大きめに刻んで炒めたら、もう美味しいんちゃう?」

という感じのリスペクトがあるのか、ないのか分からないような態度がその時は丁度いいように働いたと思うのです・・。

受け継いできたお祝いの気持ち。

コンペに際しては、そもそも締め切りまで本当に時間がなかったので、ストライクゾーンに投げるだけで精一杯、速い球を投げたいだの色気を出す余裕もありませんでしたし、また所詮「目印」でしかないグラスマーカーは、作るのも簡単で都合が良かったのです。

そして何より、長年、婚礼花嫁衣装、晴れ着に携わってきた私たちが、祝いにこだわりる事は、継続性の面から必要に思えました。モノは変えても、マインドは変えない。受け継いできたお祝いの気持ちをおろそかにはできなかった・・。

画像18

ともかく当時は、限られた条件の中で精一杯やっただけでしたが、身の丈にあったことに注力した、せざるを得なかった結果、私たちにしかできない祝い方にたどり着いたと考えています。

時間があれば、あるいは事業体としての規模がもう少し大きければ、違う答えもあり得たのかもしれません・・。

画像9

仕事は長距離走だから、無理しなくて良かった。

今思えば、背伸びをしなかった事は続けていく上でも「良かった点」で、

分業制が普通の京都では、一から十までものづくりを完結する事は難しいのですが、ありものの生地を仕入れて加工する「他力ベース」や「作るのが簡単」は、負担なく続けていくことができている理由になっています。

(長距離走を見据えるなら、チャレンジしすぎは良くないのかもしれません。)

結果論として、私たちの等身大を生かす戦術がハマった商品だと思います(長所は生かし、短所は隠す)。実力以上はそういう意味です。

等身大を正しく測ることができた事も戦術論の前提として、大事だろうと思います。息子という程よい距離に私がいたことが功を奏したのかもしれません。(最近はむしろ難しそうだ・・。近づきすぎた。)

※勘違いして欲しくないので一言添えると、背伸びをする戦略、例えば銀行からお金を借りるとか、設備を入れるとかを全く否定しません。経験がないので何かをいう資格がありません。

画像19

画像11

画像12

画像13

さて、知らぬ間に、なんだか偉そうに書いておりましたが、販売に関しては、とても弱わしく、関係者の皆様のおかげで死なずに済んでおります、という状況です。猛勉強が必要です・・。

画像13

結局、アイデア自体は、人の手の届かない所から、やってくるだけのものかもしれませんが、

それに投機して「未来を切り開こう」という段においては、勇気と覚悟が必要になります。ものづくりには、いつもこのガッツが伴っています。

願わくば、このガッツが益々尊重、リスペクトされる世の中であってほしいと思います。

ーーー

先日(2020/6/21)のTV「京都知新」(MBS)は、『#205 嵯峩螺鈿 野村 三代・野村守|デザイナー・竹中大輔』の放送回でした。
嵯峩螺鈿 野村さんにおんぶに抱っこの抱き合わせ販売みたいで恐縮でしたが
嬉しかったです。感謝感謝です。

takenaka kinsaiは後半パートに登場。内容は、#148 2019年04月28日(日)放送回 の編集版です。

MBS動画イズム で2020年06月28日 06:14までは無料でいつでもご覧頂けます。また、しばらくしたら 京都知新web からもご覧いただけるようになると思います。

宜しければ、これを機に、是非、京都知新の視聴習慣を身につけて下さい。
深く、面白く、新しい、マイペースな京都を発見できることと思います

ーー

glassmarker-彩- はオンラインショップで絶賛販売中です。
creemaにも先日、進出いたしましたので、ぜひご覧ください。




瑞々しくきらびやか。「これからの金彩」を模索しています。 ▼instagram https://www.instagram.com/takenaka_kinsai/