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マンガは工芸品


かなり変なのは承知していますが、クラフト的魅力とか言われて真っ先に連想するのがマンガだったりします・・。正直、陶芸とか、漆器とかではない・・。(なんかスミマセン・・。)

自分にとって、最も親しい工芸品。印刷物、マスプロダクトなのだけれど手仕事の味わい、人間臭さがプンプン感じられます。ザラッとした漫画雑誌の紙質や印刷の粗もむしろ良い。

読むと、それだけでちょっと癒されます。作り手が感じられるのです。漫画家のインクで汚れた手先や筆を強く握った痕などが想起され、本当にこんな面倒臭い仕事をよくやれると頭が下がります・・。

(なので、マンガ家の仕事場に入るドキュメンタリー番組とか大好きです。
工芸品の製作過程を見てるのに似ているけれど、より一層泥臭い、ファイトしている感じがします。最近の工芸の匠は撮影される時、あまりにも綺麗、丁寧すぎる・・。)

そんな私を構成する、血となり肉となっていたらいいな、と思うマンガx5↓です。

聖闘士星矢

小さい頃に、大番狂わせ、ジャイアントキリングの浪漫を刷り込まれたマンガ。格好いい上級生(黄金聖闘士)相手に「奇跡を起こせ」精神で臨むブロンズの気概が気持ちよい。ギリシア神話、宇宙、声に出したくなる必殺技など、華があって子供心を鷲掴みにされました(アニメ含め)。

大人になってから読むと、城戸光政の100人の息子(異母兄弟)として生まれた星矢達が、激闘の最中「(わかり合うことができる)お前達と同じこの時代に生まれて良かった」と互いに励ましあっていて胸アツです。出生の不幸に挫けず、運命愛。仲間があって本当によかったな・・と。


ジョジョの奇妙な冒険

どの世代のジョジョも「これは、敵わない」という相手を眼の前にしても絶望せず活路を見出す。「見方を変えれば、世界は変わるよ」を身を呈して教えてくれる。(見方を変えるには「ガッツが必要」までが1セット。)

少年ジャンプの中にあってパワーゲームに陥らなかった事は、今日の少年マンガの活路にさえなった←いつの間にか、そんな評価。世の中は変わった。

「○部が好き」とか、つい言っちゃうけれど、最新のジョジョはいつも一番深い。世代交代の度にテーマを反芻、昇華する構造を持っているから作品として強い(ズルい)。変わったついでに、最新作がもっと読まれる習慣が定着して欲しい。

ドラゴンボール

天下一、宇宙一、と強くなった悟空に未来からセルの脅威が迫る・・。本当に凄い展開だと子供ながらに驚いた。そんな手があったとは・・。悟空はまだ「現在」の宇宙一に過ぎなかった。伸び代発見。インフレは続いた。

天津飯と天下一を争っていた頃とフリーザと命を懸けて戦っていた頃では、明らかに次元の違う身のこなし、破壊力、戦闘術でバトルは繰り広げられる。普通はインフレを絵にし損ねて失速する(シラケる)。が、そこに一切無理を感じさせなかったのが、鳥山明の天才たる所以。その技量と工夫、努力たるや。やっぱり金字塔。

ファイブスターストーリー

綺麗にまとまって終わって欲しい・・というのとは対極にあるマンガ。世界観先行型で、物語は創作世界の断片を見せる口実に過ぎない(それでも面白いのだけれど。)

永野護はやっぱりアニメの人なのだと思う。突然、MHをやめてGTMにしちゃった理由は正直、漫画では分からない。(アニメを観て「そういうことか、参りました」となる。ムーバブルフレームの生みの親は伊達じゃなかった。)
前代未聞の転回、卓袱台返しは、スティーブ・ジョブズみたいな純粋さを持つ理想家、頑固者オヤジ故の所業だった。引き続き、長く頭の中を覗き込ませてもらいたい。

大日本天狗党絵詞

黒田硫黄の漫画は多分、全部持っているのではないかと思う。ダイナミックな絵、構図?にコマの運び、言葉の綾などマンガの魅力が溢れ、とても素敵。

なかでも天狗党は、「居場所」「繋がり」を扱っているせいか、10代の終わり頃、特にシンクロ率が高かった。30前には、何がそんなに面白かったのか、よくわからなくなっていて少し寂しさも感じたが・・(切実さが変わってしまったのか・・)。が「そういう時期もヒトにはある」という寛容さは得られたのではないかな、と。

振り返ると「師匠」と「弟子」の共依存は興味深いテーマで、もしかすると、職人系の人が読んだ方が面白いのかもしれない・・。


瑞々しくきらびやか。「これからの金彩」を模索しています。 ▼instagram https://www.instagram.com/takenaka_kinsai/