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エッセイとか

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金魚の死は怖い

私には、特技と呼んでいいのかは分かりませんが、ちょっとだけ得意な事がありまして、
お魚が捌けるのです。

活け締め(ざっくりいうと、活魚を脳死状態にさせ血抜きをする事)している魚を、
3枚におろして刺身に盛り付けるまでの調理を、
鯵やハマチ、鯛はもちろん、
マゴチや鰆といった一般的な魚と違う形状をしているものや、身崩れしやすく扱いにくいものでも、
なんとか人様にお出し出来る程度には仕上げられます。

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民話を書くまで【エッセイ】

民話を書くまで【エッセイ】

今日は非常に残念な出来事があって、そのまま気分が落ち込んでいくような気がしたけど、割とすぐに持ち直した。
最近、そんなにめげなくなってきた。日常の心構えが文芸に対する姿勢と似てきて、妙な統一感というか、シンクロ率が高まっているような身体感覚がある(エヴァーのことはあまり知りませんが)。色んなことに耐性がついてきた。良い傾向だと思う。

つい先日、短編小説『アポロンの顔をして』の再掲載を終えたところ

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大人っていうのは一体何処からが大人ですか?

こんにちは。逡巡です。

最近よく将来どうしようだとか、
学校を卒業したら何をしようだとか、
自分の人生をどう生きようなどといったことを考えては、
思考がマイペースにマイナスをさまよって逡巡しています。

悪い癖ですよね。

将来や未来のことについて考えると、
いつもたどり着く問いがありまして。

大人とは一体なんなのでしょうか。

学校を卒業して働いていたら大人?

奥さんや旦那さん、そして子供

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ゴルゴ13からたくさんのことを学び成長した。

ゴルゴ13からたくさんのことを学び成長した。

 さいとう・たかをさんが亡くなった。言わずと知れた「ゴルゴ13」の作者だ。

  私は、ゴルゴ13とともに成長してきた。私だけではない、多くの人にとってそうだろう。最初に読んだのは中学生の頃。それから、必ず新作は読んできたし、コンビニエンスストアなどで特集版が出る都度購入してきた。この特集版もさまざまなバージョンで出されるものだから、同じ話を三度、四度、読むこともあった。

 コミックとして、エン

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古典の魅力

古典の魅力

古典の面白さを知ったのは、20代の半ば。
大人と呼ばれる年齢になって、数年経った頃だ。

それまで、和風ファンタジーは好きだったものの、その下地となる古典に触れたことはなかった。

試しに角川ビギナーズの『源氏物語』を読んだら、めちゃくちゃ面白かったのだ。
それをきっかけに、瀬戸内寂聴さん訳の源氏を全巻読みふけった。
(『源氏物語』はたくさんのひとが訳してるけど、瀬戸内寂聴さん訳のものは読みやすく

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僕は、一度、死んだ。

僕は、一度、死んだ。

今日(2021年7月21日)で、個人事業主の開業届けを出してから、ちょうど10年が経った。いい機会なので、社会人人生を振り返ってみる。

まず、ここまで生き残れたのは、偏屈な私に仕事を依頼してくださった寛大な方々はじめ、関係各所の皆様のおかげです。心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

さて。

私が社会に出たのは、就職超氷河期に超がついていた時代で、あんな大きな新聞社にヌルッと入り込

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「なんで創らないの?」から始まる物語

「なんで創らないの?」から始まる物語

「なんで創らないの?好きなら創るでしょ」

一年前、あるクリエイターに言われた言葉。
その一言がなければ、いまの僕はいませんでした。

僕はいま「小説家」を目指して、毎日のように執筆活動を続けています。

夜な夜な文章を綴っては、コンテストに応募する用の作品を作ったり、webへ小説を投稿してみたり、誰かからのご依頼に応えたりしています。

ですが、あの一言がなければ、動くことはなかったでしょう。

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特別な日

特別な日

わたしと母の関係性は今となってはまったくうまく行っていなくて話をすることすらも困難になってしまってはいるが、それでも幼い頃の母との思い出といえば父が生きていた時代のものを抜き出しさえすれば温かい色をしているものが多い。

幼い頃、父の誕生日だけは特別に学校を休むことが許されていた。
朝起きると母がもう学校に欠席の連絡を入れたあとで、いつもより少しゆっくりと朝食を摂ったらデパートへ出かけるのが定番だ

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散文 空気の色と駆け抜ける

散文 空気の色と駆け抜ける

風が優しくなった。それは、世界が私に優しくなったのか、私が世界に優しくなったのか。

自転車で駆け抜ける街を私はよく見ててこなかったんだと気づく。コンクリートを突き抜けて生えていた雑草の強さが少しだけ自分の身に着いてきた、と言えたらいいけど、そこまで私は意思がない。

黒猫が路地をゆく。

それを私も横目に見て、気にしなかった道を進む。駆け抜けて、駆け抜けてなお、私の街。何故、この街を自分のものだ

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天才と凡才

天才と凡才

天才と凡人の対比、というのは創作物でも好まれて書かれる話である。
天才、を辞書で紐解くと、生まれつき備わっているきわめて優れた才能、とあり、凡人、を辞書で紐解くと、特に長所のない、普通の人間、とある。
普通、を辞書で紐解くと、特に変わっていない、ありふれた、とある。

○○の天才、というのは、様々なジャンルの創作物で主人公に立ちはだかる。そして、大抵は変人乃至は変わった人物として描かれる、類型に落

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沈みたいのはわたしだった。

沈みたいのはわたしだった。

私は、恋をしたことがない。

わたしが書いた物語を読んだことがある方は、この一文を読んで何か思い当たるものがあるかもしれない。
一度だけ、同じ悩みを抱える二人をテーマに物語を書いたことがある。

あれはわたしの実体験ではない。
でも、所々にわたしが感じたことのある苦しみが混ざってしまったのは事実だ。

昔から、《恋愛感情》というものが何なのかがわからなかった。

わたしが「自分には恋愛感情がない」

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「不倫」の断章

「不倫」の断章

世間からみれば「不倫」という一言で片づけられてしまう三人以上の関係性、横たえる背景は雑駁としている。にもかかわらず、世間はそれらを一括りに、規範の縄で吊るしあげる。

では、そこで規範とされているものとは、いったいなんだろう。世間が吊るしあげにする「不倫関係」とは対極の「純粋な夫婦関係」とはいったいなんだろうか。

リベラルであることを自称する人たちはしばしば「ふつう」という言葉に対して過剰的な反

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【エッセイ】ロックなグランマとの会話

【エッセイ】ロックなグランマとの会話

僕の祖母はロックな人間で、82歳になるのに演歌が嫌い。椎名林檎やエレファントカシマシの、宮本浩次の歌なんかが好きだ。

ずっと一人で旅館を経営してきて、今年、引退して一緒に住むことになった。僕は小さな頃からおばあちゃん子で、夏休みや冬休みの度に一人で。電車で2時間かけて祖母の旅館に行き。
美味しいご飯を食べさせてもらい、四畳半の部屋でくつろいだ。

東京にも何度も連れていってもらった、美術館や博物

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自らの正気を疑わぬ者たち

自らの正気を疑わぬ者たち

昔々のこと、個人的興味から「犯罪心理学」なる分野に興味を持ち、それにまつわる書籍を読んだことがありました。

今となってはどんな本を読んだのか皆目思い出すことができないくらいの浅い興味だったわけですが、ふとした時になぜか思い出します。

遍く犯罪に適用できる学問などないとは思います。
しかし、犯罪に至る心理というのはどういった思考回路からなのだろう?
そう疑問に思ったことがあります。

人道に反す

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