まんまる

夫とわたしとのこと。 日々の暮らし。感じること。

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夫とわたしとのこと。 日々の暮らし。感じること。

最近の記事

生活を続ける他ないから

自分に恥じずに生きてきた人たちのことがわからない どうしてそんなに自信を持って生きられるのか。 人の目を見て話すことができない。 空っぽの中身を見透かされているようで居た堪れなくなる。 多少のお金を手にして、なるべく良いものの中に身を置いてみすぼらしくないよう生きようと決めたが、いつも分不相応な感じがするし、周りから気取っていると笑われているように感じる。 悲しいと思いながら過去をなぞって生きることに意味がないことはわかっている 自分に自信がなく劣っていると感じているのに、

    • どうでもいいことばかりで

      夜全く眠れない日が何日も続いたり、一日中眠りすぎてしまったりと極端な日を繰り返してる。 体調は悪くないはずなのにいつも気分がすぐれない。 気が緩むとすぐに涙が出てきて止まらない。何が悲しいかわからないが全てが悲しくてたまらない。 今までの人生のことを考えてみても何かに特別夢中になったり 好きでたまらなかったり 何もかも忘れて没頭したり そんな当たり前のことがほとんどなかったことに気がつく。 好きな食べもの、好きな映画、趣味や特技、好きな芸能人を聞かれてもこれと言って特別に語

      • 意識がはっきりとしているので書き留めておく

        お酒を飲まなくなったので、やけにはっきりと物事を考える時間が増えてしまった。 読書や裁縫は捗るが、そもそも「どうでもいいや」を買うために酒を飲んでいたのでそれができなくなった今心が辛くなる日も増えた。 わっと暗闇が襲ってきた時、気を失うように眠ってしまえれば助かるが、頭が冴えている分そう簡単に行かないので厄介だ。 どうでも良くなりたいのにうまく眠れずに明け方に目が覚める。 隣で安心して寝息を立てている夫の髪をそっと撫で、おでこに口付ける。 無意識なのだろうがぎゅっとわたしに

        • 取り留めのない日記

          夕暮れ時に近所の海の見える公園を散歩するのが好きだ。 夕陽が海に溶けていくのを見ていると、本当に美しくて全部おしまいの気持ちになる。 辺りが暗くなるまであっという間で、ぼんやり帰り道を歩いていると、コンビニの灯りがバカみたいに白く眩しくて何処か別の街へ来たみたいだ。 見上げるとどこの家にもオレンジ色の灯りが灯っていて、カレーの匂いと各々の家の楽しそうな声がする。 幼い頃母が嬉しそうに3人分の夕食を作り、家族で食卓を囲んで食べたあの部屋と、いつ帰っても真っ暗で誰もいなか

        生活を続ける他ないから

          秋の夜に

          夏の暑さにうんざりして早く秋にならないかしらと思っていたのに、急に寒くなってきたことが心細い。 その上雨の日は全部がおしまいの気持ちになる。 夜中に目が覚めて、かつて恋人だった男のことを思い出すなんて馬鹿みたいだ。 どうしようもなく世間知らずだけど愛情をたくさん受けて育ってきた、快活な 声の大きな男だった。 熊のような大きな身体でわたしを抱きしめるといつも安っぽい柔軟剤の香りがした。 君は他の誰にも似ていない とわたしのことを褒め、賢くて可愛らしいと甘やかしてくれた。

          秋の夜に

          ありふれた愛の話

          夫と、8億年ぶりにセックスをした。 なんの前触れもなく無言で始まり無言で終わったので夢かと思って硬直してしまった。 次の日もお互いそれについて語ったりしなかったので、やっぱり夢だったのかなと思ってすっかり忘れていたら、なんとわたしは妊娠した。 身に覚えがないのに妊娠した人みたいな気分だった。 本当にコウノトリっていたのかしら?とかちょっとだけメルヘンなことも思った。いや、身に覚えはあるのだけれど。 訳がわからないうちに妊婦になったわたしは、訳がわからないけどつわりが来て、

          ありふれた愛の話

          ふたりで住むこと

          新居へ越した。 憧れていたピカピカの新築のマンションへ。 新婚当初、わたし達ふたりはわたしたちより少し歳上の古臭いアパートへ2人で移り住んだ。 周りの新婚の友達はピカピカのマンションや新築のマイホームを建ててとても幸せそうにしていたので、オートロックもアイランドキッチンも中庭もコンシェルジュもいないオンボロアパートへ移り住まなければいけない自分のことを呪い、たくさん泣いた。 今考えれば本当に馬鹿馬鹿しいのだけれどわたしは新婚さんに夢を見ていた。 結婚をすれば突然キラキラで人

          ふたりで住むこと

          いい夫婦の日

          まあちゃんが突然花束とケーキを持って帰ってきた。 「いい夫婦の日だから。」 とグッとわたしに花束とケーキの箱を押し付ける。 驚いて、そしてぎゃあ!と大きな声で喜ぶわたしを背に「早くご飯の準備してー。手を洗ってくるね。」とどこまでもぶっきらぼうなまあちゃん。 左上の方を見ていて全然目線が合わない。 すごく照れている時のまあちゃんは子どもみたいだ。 普段はサプライズなど全然しない、超現実主義の我が夫。 季節の変わり目もあり気持ちが塞いでいたわたしを彼なりに気にかけてくれたのか

          いい夫婦の日

          暗い海のこと

          母の生まれ育った島は、本当に海と山以外何も無くて、中学入学と同時にぽんっとそこへ投げ入れられたわたしに馴染めるはずなんてなかった。 まわりは同じ病院で産まれ、同じ保育園に通い、小学校6年間を同じ1クラスで共有し続けてきた家族より絆の深い子供たち。 余所者で都会からやってきたわたしの場所なんて初めからあるわけなかった。 『都会から引っ越してくるやつは訳あり』というのをこの島の子供たちはよく知っている。 わたしが話さずとも、親たちの間で瞬く間に広まった噂話によりわたしに父

          暗い海のこと

          結婚記念日には

          毎年結婚記念日に夫がちいさな花束を持って帰ってくる。 わたしが誰かからもらう花を愛していて 「わたしね、結婚記念日にはまあちゃんが花束をくれるって噂を聞いたよ。」 などと何日も前から噂話を流しておくので仕方なく花を持って帰ってくるのだ。 夫は相変わらず花の名前がひとつも覚えられないし、彼が自分で花を選ぶとなるとスーパーの仏花コーナーから、『可愛かったから』という理由で紫色の小菊を買ってきてわたしをギョッとさせたりするので、最近はお店の人に「妻に渡すのでドライフラワーにも

          結婚記念日には

          特別な日

          わたしと母の関係性は今となってはまったくうまく行っていなくて話をすることすらも困難になってしまってはいるが、それでも幼い頃の母との思い出といえば父が生きていた時代のものを抜き出しさえすれば温かい色をしているものが多い。 幼い頃、父の誕生日だけは特別に学校を休むことが許されていた。 朝起きると母がもう学校に欠席の連絡を入れたあとで、いつもより少しゆっくりと朝食を摂ったらデパートへ出かけるのが定番だった。 デパートで母はとびきりお洒落な服を見て回り、買ったそばからそれを着る。

          特別な日

          憧れの部屋

          結婚をすれば埋まるのではないかしらと漠然と思っていた心の寂しい部分とか、はっきり言って幻で、実は全く埋まらずに大きく空いたままだけど 別の全然知らなかったところが温かい、初めての幸福を日々感じる。 子供を持てば満たされるのではないかしらと思っている、今はすーすー風の通る部分も おそらく叶ったところで幻だったと知るんだろう。 それはそれできっと、夫とならば別のずっと温かな幸福を知るんじゃないかなとも思う。 結婚して5年が過ぎた。ありがとう。ただ側にいてくれて。 二人で住むこ

          憧れの部屋

          夏の夜の話

          8月16日夏休み。 雨続きで気分が落ち込んでいたので夜になって音楽をかけ、歌いながら酒を舐めていると突然気持ちが昂り、家中の酒を海賊のように漁って呑んだ。 消毒用に と昨年買った77%のスピリッツに手を出したとき突然何かがはじけた。 横になりながらケータイを触る夫、わたしがお酒を作りにいくたびに(まだ呑むの?)という顔でこちらを目だけでちらりと見る。 濃いめのスピリッツを入れたロックグラスを持ち 、横たわる夫を見降ろしながら、わたしは思わず口にした。 BGMにはCHAR

          夏の夜の話