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#小説

森鴎外「高瀬舟」から読む、善悪の基準の浅はかさ

森鴎外「高瀬舟」から読む、善悪の基準の浅はかさ

ーー時代は江戸。島流しになった罪人を送る船、「高瀬舟」の護送を行う官吏が聞いた、とある罪人の物語。

貧困にあえぐ兄弟のどうしようもない悲劇。罪人となった兄は、いったいどうすれば正解だったのだろう?どう転んでも、兄は泥をかぶらなければならなかった・・・

島根出身、明治の代表的作家。世間で判断される「善」と「悪」の基準のいかに曖昧として不正確なものであるか。物事をうわべだけで判断しがちな人間社会に

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東野圭吾『白鳥とコウモリ』刊行記念 モノクロ写真コンテスト

東野圭吾『白鳥とコウモリ』刊行記念 モノクロ写真コンテスト

※3/15(月)
「募集期間の延長」
「結果発表の時期変更」
「追加賞品情報」
を更新しました。
4月7日に刊行される東野圭吾の最新刊『白鳥とコウモリ』。内容がほとんど明かされてない中、先日、白と黒を対比させたデザインの"ティザー版カバー"が発表されました。はたしてこの対比は何を表しているのでしょうか――。

『白鳥とコウモリ』公式ページはこちら幻冬舎電子書籍チームでは、刊行に先立ち、白と黒の世界

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『消失の惑星』絶賛の声、続々!〈涙が止まらない〉〈鳥肌が立つほど素晴らしい〉〈この作品だけで2021年が終わっても問題ないと思える超傑作〉〈装幀も完璧〉

『消失の惑星』絶賛の声、続々!〈涙が止まらない〉〈鳥肌が立つほど素晴らしい〉〈この作品だけで2021年が終わっても問題ないと思える超傑作〉〈装幀も完璧〉

先週2月17日に発売した『消失の惑星』。さっそく読んだ方々から、絶賛の言葉があがっています。その一部をご紹介します。

『消失の惑星【ほし】』
ジュリア・フィリップス 井上 里訳

◎あらすじ8月のある午後、ロシア東部のカムチャツカ半島の街で、幼い姉妹が行方不明になった。警察の捜査は難航し、事故か誘拐かもわからぬまま時ばかりが過ぎる。失踪事件は、半島中の女性たちに影を落としてゆく。

姉妹の母親、

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情報伝聞による真実のゆがみ:ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」から学ぶ②

情報伝聞による真実のゆがみ:ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」から学ぶ②

 14世紀北イタリアにある架空の世界最大級図書館で起きる謎ときが主題の「薔薇の名前」。ストーリーは、著者と思われる学者が古書店で偶然見つけた写本として語られます。学者(研究者)が小説という空想本をあたかもリアルの様に見せかけるための入れ子構造が、この小説にはある。どういうことなのか考察してみたい。(小野堅太郎)

 研究は積み重ねである。

 一人の研究者人生で万物のあらゆるものを解き明かすことは

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【作家・麻耶雄嵩氏の推薦コメント公開!】エラリイ・クイーン『十日間の不思議〔新訳版〕』2月17日発売!

【作家・麻耶雄嵩氏の推薦コメント公開!】エラリイ・クイーン『十日間の不思議〔新訳版〕』2月17日発売!

◎巨匠エラリイ・クイーンの代表作がついについに新訳版で登場!
 大変お待たせいたしました。今月17日、早川書房ではミステリ界の巨匠エラリイ・クイーンの『十日間の不思議〔新訳版〕』(訳=越前敏弥)をハヤカワ・ミステリ文庫より刊行いたします。

 ながらく新訳版刊行が待ち望まれていた、エラリイ・クイーン円熟期を代表する傑作です。

◎作家・麻耶雄嵩氏の推薦コメント紹介!
 この度の刊行に際して、作家・

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ノーベル文学賞受賞第一作! カズオ・イシグロ最新作『クララとお日さま』が2021年3月2日(火)世界同時発売!

ノーベル文学賞受賞第一作! カズオ・イシグロ最新作『クララとお日さま』が2021年3月2日(火)世界同時発売!

2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの最新長篇『クララとお日さま』 が、3月2日(火)、世界同時発売となります。

全世界の注目と期待を集める本作の主人公は、なんとクララという名のAI搭載ロボット。海外のインタビューによれば児童書とサスペンスの構想が結実したものだそうです。当代随一の語り手によっていったいどんな物語が紡ぎだされるのでしょうか。内容については、3月2日のイギリスのFa

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【作家・綾辻行人氏推薦!】エラリイ・クイーン『フォックス家の殺人〔新訳版〕』12月17日発売!

【作家・綾辻行人氏推薦!】エラリイ・クイーン『フォックス家の殺人〔新訳版〕』12月17日発売!

◎エラリイ・クイーンの本格ミステリが新訳版で登場! 今月17日、早川書房ではミステリ界の巨匠エラリイ・クイーンの『フォックス家の殺人〔新訳版〕』(訳=越前敏弥)をハヤカワ・ミステリ文庫より刊行いたします。

 傷ついた戦争の英雄が故郷に帰ってきたとき、過去の毒殺事件の扉が開く。はたして名探偵エラリイは12年前の事件の謎を解き明かすことが出来るのか!?

◎作家・綾辻行人氏の推薦コメント紹介! この

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2010年代に発表された選りすぐりの海外SF短篇を1冊に。『2010年代海外SF傑作選』収録作品紹介

2010年代に発表された選りすぐりの海外SF短篇を1冊に。『2010年代海外SF傑作選』収録作品紹介

先月ハヤカワ文庫SFより発売されたひさしぶりの年代別アンソロジー『2000年代海外SF傑作選』。いかがでしたでしょうか?

『2000年代海外SF傑作選』に続き、2010年代の海外SF短篇を精選したアンソロジー『2010年代海外SF傑作選』が12月に刊行されます。編集は『2000年代』同様橋本輝幸氏が担当! 本ページではその収録作品とカバーを初公開いたします。

「火炎病」ピーター・トライアス/中

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文学の意義、開かれた"読み"~『批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義』

文学の意義、開かれた"読み"~『批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義』

これは良かった。すごくよかった。小説を読む全員に、ぜひとも一冊ずつ持っていてほしい。

「批評理論」の格好の入門書文学作品の読解と批評の技法として発展を遂げてきた「批評理論」。この領域が本格的に産声を上げたのは18世紀末と、意外にも歴史は浅いのだが、現在に至るまで様々な理論が提出されており、素人にはややとっつきにくい。

本書は、そうした批評理論の全体像や、各理論の成立過程と概略を「批評史」として

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【4つの“初めて”が結集したデビュー作】なぜいま児童文学を書くのか? 新人作家×担当編集者

【4つの“初めて”が結集したデビュー作】なぜいま児童文学を書くのか? 新人作家×担当編集者

突然ですが、皆さんは「ポプラズッコケ文学新人賞」をご存じでしょうか?

この賞では「子どもが自分で考え、動き、成長するものがたり。
子どもたちが自分で選び、本当に読みたいと思えるものがたり」を募集しています。
つまり、子どものための、児童文学を募集している賞なのです。

でも、それってどんなものがたりなの? と思う人も多いかもしれません。
子どもって言っても、書いている人も、編集している人も大人だ

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【シリーズ第二作邦訳決定!】大好評の英国ミステリ『ストーンサークルの殺人』訳者あとがきを公開!

【シリーズ第二作邦訳決定!】大好評の英国ミステリ『ストーンサークルの殺人』訳者あとがきを公開!

 英国ミステリの最高峰「ゴールド・ダガー」受賞作『ストーンサークルの殺人』。発売直後から大好評をいただいております! 本作に続く〈ワシントン・ポー〉シリーズ第二作『Black Summer』も邦訳が決定しました(刊行時期は来年を予定しております)。どうぞお楽しみに!
 この度『ストーンサークルの殺人』に収録された訳者あとがきを特別公開いたします。

◎訳者あとがき 山の緑を背景に巨石が環状に並ぶス

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