【ミステリーレビュー】女王国の城/有栖川有栖(2007)
+1

【ミステリーレビュー】女王国の城/有栖川有栖(2007)

女王国の城/有栖川有栖 「双頭の悪魔」から15年という歳月を経て発表された、"学生アリスシリーズ"の4作目。 随分前に購入していたものの、上下巻に及ぶ大長編であることや、現時点で前日譚的な短編集を除けば最新作であることから、読後の燃え尽き感を懸念して尻込みしていたまま、だいぶ時間が過ぎてしまった。 重い腰をあげて読んでみたのだが、従来以上にチーム感が増しているわ、青春ミステリーとしても機能しているわで、ハードルが上がり切っていた中で、満足度が高い新本格ミステリーであったと

スキ
3
木元哉多ゼミ〜推理作家の思考    第24回    小説講座    第1巻第4話    君嶋世志輝編②

木元哉多ゼミ〜推理作家の思考 第24回 小説講座 第1巻第4話 君嶋世志輝編②

    第1巻の三話までは、僕のなかで沙羅のイメージが固まっていないため、セリフはかなり控えめです。     でも、大事なのはキャラクターではなく、物語上の立ち位置です。     成長小説という枠組みを取る以上、沙羅は主人公に試練を与え、成長をうながす存在でなければならない。表面上はおちゃらけていても、それにふさわしい人格をそなえている必要がある。     キャラクターが先にあるのではなく、まず物語があり、各登場人物にはそのなかにおけるポジションと役割がある。     サッカ

〈変格ミステリ〉は、ジャンルとして成立可能か?
+8

〈変格ミステリ〉は、ジャンルとして成立可能か?

書評:竹本健治編『変格ミステリ傑作選【戦前篇】』(行舟文庫) 「行舟文庫」という聞きなれないレーベルから刊行された、「変格ミステリ」というこれまた聞いたことがありそうでないようなミステリジャンルの傑作選である。 どうして、聞いたことがありそうでないのかというと、「変格」というのは従来「変格探偵小説」という言葉で使われてきたものであり、「変格ミステリ」とは、あまり言われなかったからで、これは「史的用語論」的な問題だと言えるだろう。だが、難しい話ではない。  ○ ○ ○

スキ
2
【推理短編】雪山コテージ密室殺人

【推理短編】雪山コテージ密室殺人

 僕は九鬼。東京都に住む大学生だ。ここnoteには久しぶりの登場だろう。本当、作者が独りよがりな恋愛短編やエッセイにばかり手を出しているから僕の登場回数が少なくて仕方ない。この場を借りて文句を言わせてもらう。もっと僕を出してほしい。(作注:九鬼さんすみません。)  さて、それはさておき、だ。僕は今雪山を登っている。雪山と言っても別に登山というほどのものではない。小高い丘という程度だ。北陸の奥地にあるので雪が深いだけ。体操競技部に所属して日ごろから体を鍛えている僕にとっては、

スキ
10
🍆🌽🍅「野菜ソムリエ」(てのひら官能推理小説)🥒🧅

🍆🌽🍅「野菜ソムリエ」(てのひら官能推理小説)🥒🧅

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます

スキ
30
短編小説「杉谷瑠璃とコージー・ミステリ殺人事件」

短編小説「杉谷瑠璃とコージー・ミステリ殺人事件」

00杉谷瑠璃は猫のように気まぐれだ。 猫のように周りに愛され友人も多いので協調性があるのかと思いきや、突然一人でどこかへ行ってしまう事がある。そして何故急にいなくなったのかと問う友人に対し、まともな答えを返したのを見た事がない。 それらの行動一つ一つに論理的な理由を追求するのは難しい。少なくとも傍から見ている分には、彼女の言動のほとんどに大きな意味を見出せない。猫が無意味に虚空を見つめ続けるように、杉谷の言動もまた無意味なのだ。 僕は猫が苦手だ。大抵の動物と違って何を考

スキ
1
科捜研の鳥 FILE30

所長「ピアノの運指表と鍵盤の指紋が違ってる!」

マリコ「犯人は指に怪我を、、。会場のピアノをもう一度調べるのよ!」

会場に駆けつける科捜研。

マリコ「ピ、ピアノがなくなってる!それにあの不審な男は誰なの?」

財津「モットモ〜ット!タケモット!」

科捜研の鳥 FILE30 所長「ピアノの運指表と鍵盤の指紋が違ってる!」 マリコ「犯人は指に怪我を、、。会場のピアノをもう一度調べるのよ!」 会場に駆けつける科捜研。 マリコ「ピ、ピアノがなくなってる!それにあの不審な男は誰なの?」 財津「モットモ〜ット!タケモット!」

スキ
13
殺人犯が書くミステリー!? 300万部超売り上げるベストセラー作家の殺人

殺人犯が書くミステリー!? 300万部超売り上げるベストセラー作家の殺人

「本当にあったことしか書けないなら、僕なんか大量殺人犯ですよ~~」というセリフを聞いたことがあるに違いない。 推理小説家がよく言うセリフである。 日本において、本当に殺人を犯した人が書くミステリーは私の知る限り無いはずだが、世界には元殺人犯の推理小説家が存在する。 その名も「アン・ペリー」(Anne Perry) 300万部以上を売り上げ、2000年にはエドガー・アラン・ポーの名を冠したエドガー賞を受賞した実力のある作家だ。 映画化もされた、ペリーが犯した殺人の全貌とは

スキ
1
【ミステリーレビュー】甘美なる誘拐/平居紀一(2021)
+1

【ミステリーレビュー】甘美なる誘拐/平居紀一(2021)

甘美なる誘拐/平居紀一 第19回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した、平居紀一のデビュー作。 群像劇×コンゲーム。 ヤクザの下っ端である真二と悠人は、ある日、金貸しである稲村の他殺体を発見してしまう。 他方で、下町で自動車部品店を経営する植草父娘は、地上げ屋による嫌がらせを受けていた。 その頃、宗教団体・ニルヴァーナでは、教祖の孫娘が誘拐される事件が起きて、身代金が要求されて。 重なりそうで重ならないいくつかの物語が、衝撃のラストに帰結する、新感覚の誘拐ミステリーで

スキ
4
苗族放草鬼呪符事件 ⑱

苗族放草鬼呪符事件 ⑱

「神農ですか?それは神農氏のことですよね!」 風間は小さく叫んだ。 「神農氏は警察関係では知られている神さまの名ですよ」 平野もかすかな笑顔を見せた。 神農氏は日本では医薬や農業の神であり、また、神農の時代に交易が盛んになり、はじめて市場や店ができたともいわれているため、商売の神様ともされている。 現在では、香具師や的屋といった露天商が祀っていることで知られている。 露天商の歴史は古いが、寺社の門前や市で漢方薬や香料を商い、辻医者、物売りをしていた彼らが、中華圏から伝来した

スキ
79