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#多様性を考える

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・多様性の宝庫である世界との接点の中で気づいたこと ・職場におけるダイバーシティ&インクルージョンの実践 ・自分のマイノリティ性に向き合う
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#多様性を考える

幸せそうなタイ人とその根底にあるものについて

幸せそうなタイ人とその根底にあるものについて

タイに駐在で来て2ヶ月。なんだかタイの人は日本人より幸せそうに見えます。

「幸せ」って時間的継続性を伴うものなので、エピソードとして紹介しにくいけど、例えばお昼の時間。私がご飯を残さないように頑張って食べようとする横でタイ人は「もうお腹いっぱいだから」とご飯を残していることは日常茶飯事。つまり、自分の気持ちに正直。
タイ人は「頑張る」ことよりも「楽しく、楽に、幸せに」な小さな選択を日々積み重ねて

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象乗りについて真剣に考えた

象乗りについて真剣に考えた

タイ観光で人気のアクティビティの一つが象乗りです。しかし、近年主に動物愛護団体から「人間に従順な象というのは自然な状態ではなく、人間による虐待過程を経てそうなっている。そんな残酷なアクティビティを支援してはいけない」という批判にさらされ、「no elephant ride(象乗りなし)」が新しい倫理的な観光アクティビティの旗印と掲げられるようになってきています。

lonely planet(世界

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アイデンティティを自分で定義する

アイデンティティを自分で定義する

以前書いたnoteからの抜粋で、これは私の個人的な体験です。

所属欲求は人間の基本的な欲求の一つなので、私にとって、海外に行ったら日本人に見られるのに(つまり外国人の仲間入りができるわけでもなく)、日本に帰ったら「日本人らしくない」とレッテルを貼られ続ける体験は痛みそのものでした。

これまで実に20年弱(!)かけて色んな出来事を咀嚼し、悩み、海外の知見にも頼りつつ、やっとやっと「アイデンティテ

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強みに着目して生きる:帰国子女の場合

強みに着目して生きる:帰国子女の場合

昨日は帰国子女であることより生じた不安感を和らげる方法について書いたのですが、今日はさらにそれをどうやってポジティブなストーリーに変換させて生きていくか、簡単にまとめます。 

あなたの強みも見つかるかも?

TCK(帰国子女)に良く見られる強みに関するまとめです。最後の言語能力以外は、根っこに「偏見がなく心が広い(違いに寛容である)こと」が共通してあるかなと思います。

例えば;

適応力が高い

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東大女子率20%の壁をなぜ突破できないのか

東大女子率20%の壁をなぜ突破できないのか

「色んな国のトップの大学では男女比が5:5なのに、なんで日本トップの東京大学は女子が20%しかいないの?日本の女性はバカなの?」

私が大学時代に多国籍の大学生と一緒にお昼を食べていたときに聞かれた質問です。

確かに、世界の大学ランキングのtop10と、アジア圏の東京大学よりランクが高い大学の女子率を並べて見てみると東大の女子率の低さが異様に目立ちます。

「違う、学力に男女差はない!ただ社会か

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人生全体で設計するワークライフバランス

人生全体で設計するワークライフバランス

仕事は楽しい。子どもも欲しい。でも、仕事と子育ては両立するのか。そんなモヤモヤで一歩踏み出せずにいたときに、薄井シンシアさんの話をオンラインで聞く機会に恵まれました。

シンシアさんは、専業主婦を経て子育てが落ち着いた40代後半で仕事の世界に戻り、高級ホテルのディレクターなどを経て現在は日本コカ・コーラで東京オリンピックホスピタリティの責任者を務めている方です。

そんなシンシアさんに私のモヤモヤ

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共働き世代に残された課題

共働き世代に残された課題

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「私のお母さんは専業主婦です。仕事と家庭を両立するってどうやるのか、正直イメージが湧かず不安です。」

以前高校生のキャリア相談を受けたときに言われた言葉です。自分の一回り下の世代も「お母さんが専業主婦」がまだまだ多くて、自分と同じような悩みを抱えているということに新鮮な驚きを感じました。

でもそれは確かに考えてみれば分かることで、専業主婦世帯数と共働き世帯数がやっと並び始めたのが

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育児したら出世できなくなるのは正当か

twitterでこちらの質問箱の回答が流れてきて、至極理路整然とした回答であるものの、何となくモヤモヤしたので真面目に考えてみました。

こちらの回答は理解できるのですが、追加的に考えられることとして、その悪影響がどの程度持続するかという論点が挙げられます。ケア労働によって収入が短期的に下がるだけなのか、長期的に出世コースから外されるかの違いは大きいです。後者は「会社への貢献度が高い人を評価する」

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概念整理:メンターとスポンサー

概念整理:メンターとスポンサー

特に「女性が活躍するには…」という文脈でよく「メンター・スポンサー(が大事)」という言葉を見聞きします。でもこれらが何を指し、どのように活用すればいいのかピンと来ていなかったので、色んな文献を振り返って頭の中を整理整頓してみました。(参考文献は文末に記載)

特にキャリアの初期においては、メンターの支援も受けて自信をつけることが、後に仕事で花開くために重要のようです。
一方、メンターは「アドバイス

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マイクロアグレッション─日常の中の小さな無意識の差別─に抗うべきなのか

マイクロアグレッション─日常の中の小さな無意識の差別─に抗うべきなのか

マイクロアグレッション=「小さな(マイクロ)攻撃(アグレッション)」。日常生活の中で、色んなマイノリティに対して発される、偏見や差別にもとづく小さな否定的な態度や発言のことです。

例えば、
・町中で外国人とすれ違うときにカバンを押さえる、電車の中で外国人の横には座らない、という行為は「外国人は信用ならないもので、もしかしたら犯罪者かもしれない」と思っていることを示唆します。
・仕事で女性に対して

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異文化と働く:変化に強い遅刻魔たち|The Culture Map

異文化と働く:変化に強い遅刻魔たち|The Culture Map

コロナによる突然のロックダウン、在宅勤務の開始、変化し続ける市場環境。そんな中で私(タイ駐在中)は東南アジア出身の同僚たちの活躍(「変化」に対する適応力の高さ)に目を見張りました。

その気付きを深めるきっかけをくれた、『The Culture Map(邦題:異文化理解力)』という本をお供に、そんなコロナ体験を振り返ってみようと思います。

引用は、8章の「How Late Is Late? Sc

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職場におけるダイバーシティ:ポイントはマジョリティ/マイノリティ理解

職場におけるダイバーシティ:ポイントはマジョリティ/マイノリティ理解

タイに赴任して、より多国籍な人と働く部署への異動してきました。赴任前の私の目標は、「より様々なバックグラウンドの人と働くことになるから、"diversity & inclusion" を実践し極めよう」でした。

ところが、来てみたら "diversity & inclusion" ということにほとんど気を使っていない自分に気づきました。

「より多国籍な環境に来たら、なんでかえって簡単に感じるん

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職場の女性比率と生きやすさ|35%を目指そう

職場の女性比率と生きやすさ|35%を目指そう

「女性が職場で苦労していることってまだ何かあるの?」
度々聞かれる質問です。

もちろん、女性が働くという選択肢がほとんどなかった時代と比べると、男女雇用機会均等法ができ、先人となる多くの女性が道を切り開いてくださったからこそ、「女性活躍」が注目される今があります。

しかし、課題はまだ残っています。管理職に占める女性の割合、賃金格差など、統計データを使って論じられることも色々ありますが、今回は「

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