しまのかみ@歴史&古典

大学4年生、江戸時代の朱子学者について研究中 〈目標〉 ・好奇心の力で楽しく生きる人…

しまのかみ@歴史&古典

大学4年生、江戸時代の朱子学者について研究中 〈目標〉 ・好奇心の力で楽しく生きる人を増やす ・歴史の知恵で悩んでいる人を救う ・自分で自分を責めたり、傷つける人をゼロにする 主に、歴史や古典の話になると思いますが、目標にかないそうなことはどんどん発信していきたいです

記事一覧

ブッダの教え10 「因果と後悔」

「因果応報」という言葉があります。つまり、「自分の行動の結果は必ず自分にはねかえってくる」というものですが、これはそう単純なものではありません。例えば、なにか悪…

終戦記念日と地域の歴史

今日8月15日は言わずと知れた終戦記念日です 「言わずと知れた」などと申しましたが、最近では戦争についての風化が進んでおり、知らない人も僕の予想以上に多いのかもし…

先祖とのつながりを想う

今日は8月13日、この時期は僕も含め、多くの方がお墓参りをしたり、お寺で先祖の供養をすると思います。 普段は先祖のことを意識していなくても、このお盆の時期は自分の…

『論語』過ちを認めることが身を救う

これは有名なフレーズかもしれませんが、『論語』学而編第8章に、 「過ちては則ち改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」 という言葉があります。意味は改めて説明す…

『論語』学問で寛容な心を

『論語』の学而編第8章に、「学べば則ち固ならず」という言葉があります。この「固」を「堅固」とする解釈もありますが、ここでは「頑固」とする解釈をとり、「学問をし、…

『論語』 学問=「知識の量」ではない

今回は、『論語』学而編の第7章をみてみましょう。 そこには、孔子の弟子の子夏の言葉が記されています。 子夏曰わく、賢を賢として色に易(か)え、父母に事(つか)えて能(…

禅語6 無事是貴人(ぶじこれきにん)

すべての人は、仏と同じ純粋な心をもともと備えている。だから、自分の外にあるものを求めなくていい。それよりも自分が本来持つ純粋な心を掘り起こしてほしい。
ここの「無事」とは、あれこれ取り計らわないことをいいます。自然体の心こそが「貴人」です

足ることを知る

中国前漢の時代、劉向(りゅうきょう、前77~前6)という大学者が著した書に、『説苑(ぜいえん)』という書物があります。その中に、 「富は足ることを知るに在り」 と…

ブッダの教え9

もしも愚者がみずから愚であると考えれば、すなわち賢者である。愚者でありながら、しかもみずから賢者だと思うものこそ「愚者」だと言われる。
(『ダンマパダ』第5章-63)

好きな言葉(『孟子』編4)

聖人と我とは類を同じくする者なり

「聖人」、すなわち人格が完全に優れている人は、人間離れしているようにみえる。けれど、もともと同じ人間なのだから、学べば誰だって聖人になれますよ、という教えです。

この考え方は、のちに朱子学に受け継がれます

好きな言葉(『孟子』編3) 迎合は畑仕事より疲れる

この言葉の意味するところは、「ちぢこまってへつらいの笑いをすることは、猛暑の下で田畑を耕すよりもずっと疲れる」というものです。 この言葉、古典の言葉の中でもかな…

儒学と僕9 民衆を大事に(節用愛人)

今回は、『論語』学而編第5章を取り上げます。ここは、政治への心構えを記した箇所です。 今回の言葉 「千乗の国」とは、戦車千台を出せる土地のことを言い、諸侯の国を…

ブッダの教え8

花の香りは風に逆らっては進んでいかない(中略)
しかし徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んでいく。徳のある人はすべての方向に薫る。
(『ダンマパダ』第4章-54)

人格の価値は、時勢や場所に関係ない。徳ある人を必ず見出す人がいる、そのように思います

好きな言葉(日本史編)

「百発一中の大砲を百門持った軍艦と、百発百中の大砲が一門しかない軍艦は互角に戦える」
(東郷平八郎)

これはいろんな場面に応用が効く言葉でしょう。どんな素晴らしい武器があっても、訓練を怠れば成果を出せない。当たり前のことですが、忘れがちなことです

ブッダの教え7

他人の過失を見るなかれ。他人のしたこととしなかったことを見るな。ただ自分のしたこととしなかったことだけを見よ。
(『ダンマパダ』第4章-50)

人は、自分がコントロールできないものに注目してしまいがち。自分がコントロールできることに注目し、心の安定を得ましょう

好きな言葉 『孟子』編2

今回取り上げたい言葉は、 「君子は其の人を養う所以(ゆえん)の者を以て人を害せず」 であります。これは、『孟子』の梁恵王編下に出てくるものです。 この言葉の意味…

ブッダの教え10 「因果と後悔」

ブッダの教え10 「因果と後悔」

「因果応報」という言葉があります。つまり、「自分の行動の結果は必ず自分にはねかえってくる」というものですが、これはそう単純なものではありません。例えば、なにか悪事をしたからとって、瞬時に病気になるとか、死んでしまうなどということはないわけです。また、善いと思うことをしても、なんでも自分の望みどおりにはなりませんね。だから、つい人は無謀なことをしてしまいがちです。

ただ、ブッダは、「自分がしたこと

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終戦記念日と地域の歴史

終戦記念日と地域の歴史

今日8月15日は言わずと知れた終戦記念日です
「言わずと知れた」などと申しましたが、最近では戦争についての風化が進んでおり、知らない人も僕の予想以上に多いのかもしれません。
今朝の「北海道新聞」に、ノンフィクション作家で昭和史の語り部である保阪正康さん、そして2021年に亡くなった半藤一利さんに関する記事が掲載されていました。半藤さんはある時大学で講師を務めたのですが、その時に日本とアメリカが戦争

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先祖とのつながりを想う

先祖とのつながりを想う

今日は8月13日、この時期は僕も含め、多くの方がお墓参りをしたり、お寺で先祖の供養をすると思います。
普段は先祖のことを意識していなくても、このお盆の時期は自分の先祖に思いをはせるという方も多いのではないでしょうか。

思えば、自分と先祖とのつながりは本当に不思議なものです。僕の場合、四代前くらいまでは写真が残っていてどういう顔だったのかがわかり、江戸時代の終わりごろにどこに住んでいたかということ

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『論語』過ちを認めることが身を救う

『論語』過ちを認めることが身を救う

これは有名なフレーズかもしれませんが、『論語』学而編第8章に、

「過ちては則ち改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」

という言葉があります。意味は改めて説明するまでもありませんが、「過ちをしたとき、それを改めるのを躊躇してはならない」ということですね。

この何の変哲もない言葉をなぜ取り上げるかと言いますと、第一に僕自身の経験と深く結びついているからです。加えて、処世上大事なことだと思うから

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『論語』学問で寛容な心を

『論語』学問で寛容な心を

『論語』の学而編第8章に、「学べば則ち固ならず」という言葉があります。この「固」を「堅固」とする解釈もありますが、ここでは「頑固」とする解釈をとり、「学問をし、寛容な態度をとれるようになることが大事だ」と考えてみます。

人間、他人に流されないようになるには、まずは何かを学び、自分なりの価値観を作っていくことが大事です。ここがまず学問の第一段階でしょう。
私たちは、生まれてから、親や先生、また学校

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『論語』 学問=「知識の量」ではない

『論語』 学問=「知識の量」ではない

今回は、『論語』学而編の第7章をみてみましょう。
そこには、孔子の弟子の子夏の言葉が記されています。

子夏曰わく、賢を賢として色に易(か)え、父母に事(つか)えて能(よ)くその力を竭(つく)し、君に事えて能く其の身を致し、朋友と交わるに言いて信有れば、未だ学ばずと曰うと雖も、吾は必ず之を学びたりと謂わん、と。

意味としては、
「男性が女性の美しさを好むように賢者を尊び、力を尽くして父母に仕え、

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禅語6 無事是貴人(ぶじこれきにん)

すべての人は、仏と同じ純粋な心をもともと備えている。だから、自分の外にあるものを求めなくていい。それよりも自分が本来持つ純粋な心を掘り起こしてほしい。
ここの「無事」とは、あれこれ取り計らわないことをいいます。自然体の心こそが「貴人」です

足ることを知る

足ることを知る

中国前漢の時代、劉向(りゅうきょう、前77~前6)という大学者が著した書に、『説苑(ぜいえん)』という書物があります。その中に、

「富は足ることを知るに在り」

という言葉があります。これは文字通りの意味で、「真の富は財宝のたぐいを得ることではない。満足するところを知ることである」というものです。

僕はこの言葉を読んだとき、すぐに京都龍安寺にある「知足の蹲(つくばい)」を思い出しました。これは

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ブッダの教え9

もしも愚者がみずから愚であると考えれば、すなわち賢者である。愚者でありながら、しかもみずから賢者だと思うものこそ「愚者」だと言われる。
(『ダンマパダ』第5章-63)

好きな言葉(『孟子』編4)

聖人と我とは類を同じくする者なり

「聖人」、すなわち人格が完全に優れている人は、人間離れしているようにみえる。けれど、もともと同じ人間なのだから、学べば誰だって聖人になれますよ、という教えです。

この考え方は、のちに朱子学に受け継がれます

好きな言葉(『孟子』編3) 迎合は畑仕事より疲れる

好きな言葉(『孟子』編3) 迎合は畑仕事より疲れる

この言葉の意味するところは、「ちぢこまってへつらいの笑いをすることは、猛暑の下で田畑を耕すよりもずっと疲れる」というものです。

この言葉、古典の言葉の中でもかなり納得できるというか、身をもって理解できるものではないでしょうか。この「猛暑の畑仕事より疲れる」という表現が何とも痛快じゃありませんか。

さて、誰しも本心から笑わなかった、相手の機嫌をとるために表情をつくった、という経験はあるでしょう。

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儒学と僕9 民衆を大事に(節用愛人)

儒学と僕9 民衆を大事に(節用愛人)

今回は、『論語』学而編第5章を取り上げます。ここは、政治への心構えを記した箇所です。

今回の言葉

「千乗の国」とは、戦車千台を出せる土地のことを言い、諸侯の国を指します。つまりここでは、国を統治する方法を言っているのですね。ここの部分の意味は、

「千乗の国(=諸侯の国)を治めるには、自分の仕事に心を集中させ、ほかのものに心を乱さないようにする。そうして、民衆に対して信義を尽くす。政治にたずさ

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ブッダの教え8

花の香りは風に逆らっては進んでいかない(中略)
しかし徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んでいく。徳のある人はすべての方向に薫る。
(『ダンマパダ』第4章-54)

人格の価値は、時勢や場所に関係ない。徳ある人を必ず見出す人がいる、そのように思います

好きな言葉(日本史編)

「百発一中の大砲を百門持った軍艦と、百発百中の大砲が一門しかない軍艦は互角に戦える」
(東郷平八郎)

これはいろんな場面に応用が効く言葉でしょう。どんな素晴らしい武器があっても、訓練を怠れば成果を出せない。当たり前のことですが、忘れがちなことです

ブッダの教え7

他人の過失を見るなかれ。他人のしたこととしなかったことを見るな。ただ自分のしたこととしなかったことだけを見よ。
(『ダンマパダ』第4章-50)

人は、自分がコントロールできないものに注目してしまいがち。自分がコントロールできることに注目し、心の安定を得ましょう

好きな言葉 『孟子』編2

好きな言葉 『孟子』編2

今回取り上げたい言葉は、

「君子は其の人を養う所以(ゆえん)の者を以て人を害せず」

であります。これは、『孟子』の梁恵王編下に出てくるものです。
この言葉の意味は、「君子たるもの、人を養うためのもののために人を傷つけるようなことはしない」といった感じです。

この言葉は、孟子本人の言葉ではありません。この言葉がどういう文脈で用いられているか。孟子は、滕(とう)の文公という諸侯から相談を受けます

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