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言葉・文章・書くこと

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2018年10月の記事一覧

本の中で出会う人

本の中で出会う人

今読んでいる本のジャンルがある程度ニッチなものだからかもしれないが、このところ、読んでいる本の中に見知った人の名前を見つけることが続いている。

ただ、「見知っている」といっても顔見知りなわけではないし、ましてや向こうがこちらのことを知っているわけでもない。一方的に、著作等を通じて存じ上げているだけのことだ。それでもある本の中に見覚えのある名前を見つけると、「おぉ!」と思う。

例えば、最近はもっ

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「可愛い」と「かわいい」と「カワイイ」

「可愛い」と「かわいい」と「カワイイ」

【MEMO】

編集において、言葉の表記というのはとても難しく、何よりも楽しい。同じ言葉1つでも、漢字で書くかひらがなで書くかカタカナで書くかで、伝えようとするイメージが変わるというのだから不思議だ。同じ意味であるはずなのに、同じ意味ではないのだ。



タイトルのとおり、「可愛い」にもいろいろある。「可愛い」も「かわいい」も「カワイイ」も全部違う。同じ言葉でも、表記の違いで意味合いが変わってし

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25歳、表現の自由を知る。

25歳、表現の自由を知る。

なにを書いたって、いいじゃない。
そう思っているはずだし、そう思っていたはずだけど、ふとした瞬間にどこかで誰かがつぶやいていたことが引っ掛かっていることに気がつく。

「自分をネタにするような表現活動はなんか痛々しい」「ナンセンス」
どこかで、そんなようなことが言われていた。

(おそらく)最初はmixiに始まり、TwitterやFacebook、instagram、最近だとティック・トック?いろ

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書くことのほとんどは「視る」ことなんじゃないかと思う

書くことのほとんどは「視る」ことなんじゃないかと思う

先日あるライターさんと話をした。

その人は
「どんなに身近な人でも、私はその人の100パーセントを知っているわけじゃないと思うことが重要だなって。だから、わかったつもりになって、『あの人って○○な人だよね』と、自分の目線で評価をしないようにするのが大事だと思う」
と、言っていた。

確かに、その通りだと思う。

でも、と、一方で思う。

100パーセントその人のことを分かるなんてことはありえ

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相互支配。-言葉の力-

相互支配。-言葉の力-

僕たちは、当たり前のように言葉を習得できる人がほとんどです。

生まれた国で生活を続けていれば、苦労したり、努力したりする必要もなく、だいたいの人が身に付けられる。

また日常生活に必要な言葉ぐらいは、子どもでも充分使いこなせる。

大人になれば仕事で使うような専門用語、趣味における専門用語、年代によっては昔の言葉を用いたり、流行の言葉を使ったりする。

参考程度に記載しておくのですが、日本人の平

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書くという行為について

書くという行為について

言葉に力なんて宿ってない。期待もしていない。

迷いがなかったことは、一度もない。

高校生の時、小論文の授業で自分の過去を振り返ることがあった。今まで世間についてきた嘘がバレていくようで嫌だった。つらいし、痛いし、みっともない。文章を書くとはそういうことだ。

じゃあ、なぜ私は書くのだろう?

少し前まで「誰かのために」とか「救いになれば」と思っていた。

文字に力なんてないと思いながら

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ぜんぶバレている、という前提で。

ぜんぶバレている、という前提で。

こういうの、おれも書きたいなあ。

おもしろい本を手にすると、半分も読み終わらない前にそう思ってしまう。「そうそう、こういうのが書いてみたかったんだよ」と思ったり、「こういう書きかたもあるんだよな。これは一度もやったことないな」と思ったり。とくにノンフィクション系の翻訳書を読んでいると、そのスタイルの違いからそう感じることが多い。

このとき大切なのは、感覚的な「こういうの」の正体を、きちんと言語

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