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月刊『抽象的な歩き方』

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様々なフリー切符や長旅に出た記録の置き場。
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2024年1月の記事一覧

ACT.69『夕闇を跨いで』

ACT.69『夕闇を跨いで』

継承された花

 北海道の県花として、現在では『はまなす』は多くの人々に認知されている。
 JR北海道でも、昭和63年以降にそれまでの青函連絡船の廃止に伴う青函トンネルの開通。そして深夜の移動手段の代替手段として寝台急行・『はまなす』を昭和63年以降に札幌から青森まで運転した。寝台車と座席車を併結して走行する姿とその走りは、多くの鉄道ファン・旅人に愛され平成28年の北海道新幹線開業までその使命を果

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ACT.68『はまなすにさよならを』

ACT.68『はまなすにさよならを』

最北端追求

 宗谷岬は、昭和51年のNHK『みんなのうた』にてダ・カーポの楽曲である『宗谷岬』がオンエアされた事を受け、全国規模にその知名度が拡がった。そしてその影響…になっているのか、周辺は最果ての場所とは思えないような喧騒に包まれ、多くの観光施設が立ち並ぶ。
 宗谷岬の石碑周辺では多くの人が記念撮影に興じ、宗谷岬の観光地たる知名度を現在に物語っている。
 宗谷岬での滞在時間は、決して長くない

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ACT.67『最果ての時間』

ACT.67『最果ての時間』

予想外

 日本最北の場所、稚内に到達した。
 稚内から、もう少し先に向かってバスに乗車して行こうと思う。向かうは日本の最北端、宗谷岬だ。この宗谷岬から先は、ロシア…樺太が続く事になる。名実共にして、日本最北の場所に向かう事になるのである。
 事前調べでは、稚内駅から宗谷岬に向かう為にはバスに乗車せねばならないのだという。バスターミナルの待合室にあるカウンターで、宗谷岬への行き方を聞いた。
「すい

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ACT.66『宗谷滞在〜豊富編②・稚内編〜』

ACT.66『宗谷滞在〜豊富編②・稚内編〜』

木造の番人の姿に

 豊富の駅前には、平成2年まで北見で活躍し戦前の木造客車以来の日々を駆け抜けてきた救援車・オエ61-67が保存されている。
 保存…なのかどうかは訪問してみて自分の目で確認し、意識としての問題になってくるのだろうが何かこの客車の主張は薄いように思われた。
 既に前回記事の方でも残しているのだが、この客車の年代。経過した日々は想像以上に車体へのダメージを与えている。ボロボロになっ

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ACT.65『宗谷滞在〜音威子府編(後編)・豊富編①〜』

ACT.65『宗谷滞在〜音威子府編(後編)・豊富編①〜』

感銘

 音威子府で、普通列車に乗車し宿で共に宿泊していた老人の女性と話に落ち合う。
 かなりの高齢の方で、関東方面から来たのだと言っていた。最終的には宗谷岬を久しぶりに(この話に関しては30年か40年ぶりと言っていたような)目指すとの事であった。
 話は上手く弾み、この列車では音威子府から先のすぐ近くの駅。筬島まで乗車して文化センターの方に訪問するのだという。幾つになっても元気発剌、そして自分の

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