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ショートステイ

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クリエイター・リンク集「バスを待つ間に触れられるものを探しています」
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2020年9月の記事一覧

居座る人

知らない人が
代わりばんこに毎日
わたしの部屋で
わたしを待っている

はじめの人には
大層驚いて
尋ねたり諭したり
怒ったり脅したり
などして
実力行使に出たが
うんともすんとも言わず動かず
居座りは解けなかった

警察も呼んだが
物語の紋切型よろしく
他人には見えないようで
気がつけば
わたしは
異常者だということになった

さて
居座る人は
次の人も次の人も
次の人も次の人も
一日で消えてゆ

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「絵を描くのはしんどい、でも完成したら達成感がある」

「絵を描くのはしんどい、でも完成したら達成感がある」

「絵を描くのはしんどい、でも完成したら達成感がある」

今日もこうしてアートのことを考える時間が与えられしことを天に感謝します。

僕の専門は絵画でありますが、それは1日で描けるものもあれば何日もかかるものもあります。私は描くのが早いのでアクリル画で80号くらいのも5時間くらいあれば完成させることもできます。まあ、そんな早く描けるのですが油絵のようなものは何日も何週間もかかるものもあります。

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現実的非現実

ある昼下がり

大通りに面したオープンカフェでは
憂いを含むジャズが静かに流れ

コーヒーを飲み干し
気だるそうにあくびを噛む男と

その隣に

手鏡を見ながら口を開け
口紅を塗り直す女が座る

少し離れた席では

ラブラドールが
新聞を読み耽る老紳士の足元に
顎を付け穏やかに伏せ寝している

通りに目をやると

ボーダーのカットソーを着た青年が
古い二眼レフカメラの
ファインダーを覗いており

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とある街でひとしきり用を終えて、バックパックに荷物を詰めて、電車やバスに乗り込む時って、なんか凄く自由を感じるんですよね
「次この街にいつ来れるか分からない、でも次の街にもう行かなくちゃならない」という感覚です。なんかねーーー。空飛べそうな感じがするんですよねー。大袈裟ですかね

葉桜の道

視界から最後のバスが消え

残った人影をぬぐい去る

ゆっくりと明日へカーブして

ここに思い描かれたばかり

光をあきらめても

まだ今日は続く

いたずらに撒き散らした日々の

重なり合うところに足を止め

花びらに埋もれた歩道橋

終わりはじめた季節の向こう

白く輝く死を引き裂いて

緑の呼吸が空を縁取る

誰の足音もなく

誰のつぶやきもなく

誰の思い出もなく

誰の空白もなく

裏返

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待ち合せ

待ち合せ

 自販機から、3メートル50センチ離れた、

 カーブミラーの真下が、

 わたしたちの、いつもの座標点だ。

 わたしは、君に「会おう」と云われれば、

 12秒以内に、そのポイントに到達できる。

 だけれども、君もおんなじくらいの速度なので、

 いつも、毎度、重なってしまう。

 そして、視界が真っ暗になる。

 人の中身って、案外黒っぽくて、静かだ。

 その、居心地の良さに、いつも酔っ

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坂道

話が長いのが苦手だ。というか多分、つまらないから早く話を終わらせたいのだと思う。間延びしている会話はじれったくて仕方がない。良かれ、と思って話を広げられるのも嫌だ。リズムよく必要なことを話して、次のステップを踏みたい。長い時間を共に過ごせば、みたいなことで生まれる一体感みたいなものは幻想だと思っている。余白は必要だけれど、それは誰かと共有しなくても良い。やりたいことは沢山あるのだ。人が集ったという

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2020/09/08【立ち喰い蕎麦】

2020/09/08【立ち喰い蕎麦】

物語の主人公になれる人ってだいたいさ、昔ながらのナポリタンとか、駅前の安い立ち喰いそばが好きだよね。社会人何年目になっても、東京には染まらず、高級なお店には背伸びしていくよね。

いつまで経ってもそういった安い立ち喰いそばが好きなことが、青春を忘れないための布石になっていて、いつまでも舌が肥えていないことが、あえて、優位になる世界な気がする。
私がそういった物差しでしか物事を図れないのかもしれない

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思考停止。

思考停止。

良い感じで思考停止している。

少しの間

思考停止状態が続く。

その状態が今の自分には

優しい。

停止している時間を

緩やかに楽しんでみる。

それは悲しさも楽しさも悔しさも無い

停止の時間に脳の塵を放り捨てていこう。

脳の疲れも無くなる様に

思考停止。