宮崎悟

ただの会社員ですが、たまに歌を作って歌ったりとかする、イタいおっさんです。それ以上のも…

宮崎悟

ただの会社員ですが、たまに歌を作って歌ったりとかする、イタいおっさんです。それ以上のものでもそれ以下のものでもありません。

最近の記事

I'm sorry for smudging the air with my song

さてさて。 わたしが今まで作ってきた歌詞のアップに始まり、一冊だけ作った詩集に収録した作品、古いノートから拾い出した拾遺的なものまで、転居に伴う一週間ほどの休止を挟んで、ほぼ毎日作品をアップしてきましたが、そろそろ古いノートの詩のようなものも、ネタが尽きてきたようです。 なのでこの辺で、日課としての詩のアップを一旦終了します。 これからも、何かの拍子で発見できた作品や、もしかしたら新しく書けたものがあれば、不定期にアップして行くつもりではあります。あくまでもつもりなので

    • untitled-53

      20世紀の中にいくつか置き忘れた小さな爆発が いま生活しながら立ち止まっているうつろな両手に届けられた 触れたものすべてから形を奪って通りすぎてゆく大きな力は 白い手のひらの上にポトリ 小さく落ちて冷たくなった 過去だとか歴史だとか都合のいい堅い服を着せられて いつの間にか机の上の置きもののようになってしまったけど それでも輝きはまぶしすぎて 瞳を傷つけることがある

      • Tシャツ

        猫の名前はTシャツ 夏を背負った丸い背中 青さがまぶしい今日に いつまでも座ってる 午前いっぱいを使って 終わった今日をつなぎ合わせ 白い昼と黒い夜が 瞳の中で回っているね 空から街を見下ろせば きみのいる場所が分かるかな

        • 烏の王

          夜より黒い翼の下 男も女も眠ってる ゆらゆら油を滲ませた 雨に覆われたアスファルト エナメルのような 夢と湿度にふくれた指 緑の肺に眠るウサギ ダイヤモンドをくわえたまま 濡れてやぶけた空を見てる この世で一番美しい 黒をまとった時間の中 虚ろな命のうちがわに 光をさがして目をつむる 拾うものもなく 億の言葉に飾られても あのとき生まれてすぐ消えた たった一つがいつまでも 銀のまぶたを巡っている 烏の王の翼の下 男も女も眠ってる 信じた

        I'm sorry for smudging the air with my song

          untitled-52

          失われた冬の夜に 降るような直線と曲線の中で 潰し終えた言葉をトランクに押し込みながら 刃こぼれした農具を手に 呆けた宝探しは一旦終了 最後の一瞬が焼き付いた路上に 狭くて居心地の悪い タイル貼りの庭園を背にして たくさんの本を拾ってきた あの遠い惑星を振り返る

          untitled-52

          カナリヤ

          日々はモノラルの足音に乗って あなたの消えたまちを目指す 今日は歌を忘れたカナリヤ 暮れる空へと放しましょう 歌の代わりに色をおくれよ 鈴をこよりで巻きつけた 指がたどる季節外れの花火 散って思いの底に沈む 一年経てばまたいつもの 場所に戻るよ あなたのために燃やす空を ねじってゆくだけ 恋は時計の針を狂わせて 昨日を足踏みさせる 今日も歌を忘れたカナリヤ 籠の外へと放しましょう 耳をすまして息を止めて 見えるものみな こぼれて落ちてやがて

          カナリヤ

          untitled-52

          逃げ出せない悲しみの中で 脱け出せない沈黙の中で 服に落ちた銀の雨を払い 駅までの15分を歩く ボールペンのインク 残り少ない影の色 語ろうとすれば抜け落ちて 胸にしまったままでおいた方が いくらかましだと思うのです 砂漠は遠い海のはてで 何十年も口をつぐんでいるのです

          untitled-52

          セッション11月

          深夜の中に見出した白日の記憶は なんてまぶしいのだろう 目のくらんだぼくはいま 白い闇の支配する夜に沈む 悲しくなくて 思うことは止まらなかった 朝が来ることがないのなら このまま心臓をあたため合おう 正しい光がすべてを分けてしまったら もとどおり違う世界に戻り それぞれの道で偶然出会おう 光がすべてからぼくを引き離すとき 孤独という一単位に変わることを ぼくが恐れることはない 引力 破壊や死を伴うほど強く愛し合う 物体と地球 時間が 速度

          セッション11月

          untitled-51

          こころは気もちを入れる器 ついたウソが見えないように つかれたウソを見ないですむように しまっておくところ ふたをしてきれいな柄でかざる 誰にも嫌われないように 誰からも嫌われないように 誰もが愛してくれるように 汚れた雨に肩をぬらし ぼくもきみたちも大人になる ぼくのかたちを愛して欲しい そしてこころにはさわらないで 傷ついた指 時計回りの明日 こころは気もちを入れる器

          untitled-51

          御来迎

          おむかえは ほろを外したジープに乗って 定員オーバーでやってくる 高速道路を 爆音空に響かせて 猛スピードでやってくる 待ちくたびれた みんなを乗っけて 泥をはね飛ばしながら 西の果てにある おもしろおかしい 浄土まで おむかえは ほろを外したジープに乗って 野を越え山越えやってくる ガタガタ道に 脱輪しそうになりながら それでもきっとやってくる

          ドッグバンド

          ドッグバンドのツアーは続く だれか死ぬまで続く 切れた弦 割れたシンバル ほんのわずかなプライドも 全部捨てて次の街へ ドッグバンドのツアーは続く だれか死んでも続く 善男善女の拍手を背負い 未来永劫救いのない 迷いだらけのいびつな足を引きずって

          ドッグバンド

          untitled-50

          水の上にこぼれた 光と花びら 降りつづく激しい 夜の雨 自転車で走りぬける いつまでも続くような まばたきがこだまする 夜と同じ色の世界に ビニール傘に描かれた ビーズのギラギラ 境い目が消えていく 夜と雨 数えても25番目の どこでもあり得ない場所 自転車で走りぬける 盗んだ光を胸にしまって

          untitled-50

          豚の日々

          何年も何十年も ずっとずっと続いてる もう飽き飽きしてるんだろう? もうこんな小っちゃな小屋から 逃げ出したくなったんだろ? でも一つだけ、勘違いしちゃいけない 愛されないのは お前が豚だからじゃない 嫌になっても朝がくる 飽き飽きしても朝がくる 耳から下げた番号札 もうこんな小っちゃな小屋から 逃げ出したくなったんだろ? だけど誰からも愛されないのは お前が豚だからじゃないぜ

          豚の日々

          飛び魚

          空からもらったもの 濡れた両翼 渇いた空へは 返せぬはばたき うず高く宙を切る優しい記憶 身も心も差し出して 日差しも射し込まない暗い部屋の中 空を飛びたい高望み 空を飛べないふしあわせ

          クラウディ・ヘブン

          天国はうす曇り 時計は5分先を進む ずぶ濡れの小さな心臓を 水色のシャツで包んで 翼を閉じてアスファルトに ぬくもりを落として 歩く 天国はうす曇り 時間の後ろ姿を追って 紫のくちびるのすき間をめがけ 折りたたんだ言葉を投げる 咲くような優しさで舞い降りる 柔らかい影に 沈む 天国はうす曇り もう誰も帰ってこない

          クラウディ・ヘブン

          やまいだれ

          寒い夜風の音ときみの言葉は 背骨の曲がった矢印、心の毒 笑いも絶たれ愛想も尽かして 今夜はこのまま眠ってしまおう 皮一枚で隔たれた 汚れた空気と黒ずんだ心 やまいだれ被ったままで 今夜は疲れて眠っちまおう シャツにしみついたとばっちり 甲でも乙でもない第三者 やまいだれ被ったままで こんな暮らしにも病みつきさ

          やまいだれ