烏の王
夜より黒い翼の下
男も女も眠ってる
ゆらゆら油を滲ませた
雨に覆われたアスファルト
エナメルのような
夢と湿度にふくれた指
緑の肺に眠るウサギ
ダイヤモンドをくわえたまま
濡れてやぶけた空を見てる
この世で一番美しい
黒をまとった時間の中
虚ろな命のうちがわに
光をさがして目をつむる
拾うものもなく
億の言葉に飾られても
あのとき生まれてすぐ消えた
たった一つがいつまでも
銀のまぶたを巡っている
烏の王の翼の下
男も女も眠ってる
信じたことが叶うのなら
二度とこの場所に生まれない
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