モフヲ

日詩

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マガジン

  • 鬱短歌

    鬱あるあるを短歌にしてみました(実体験に基づく)

最近の記事

しゃぼん玉

切なさや やるせなさが しゃぼん玉になれ 悲しみや 苛立ちが しゃぼん玉になれ 天高くまで昇り もう誰も手が届かなくなって 忘れた頃に ぱちんと弾けて きらきらと 祈りになれ

    • 約束

      ぼくには その傷は治せないよ ごめんね お医者さんでもなんでもないから だけどね きみに 美しい 朝日を見せてあげる 目を閉じても 射し込む 光の束 地平線から 容赦なく 放たれる矢のように そうして徐々に 光に包まれて 世界は夜明けを迎え 眩しそうな きみの横で ぼくはきっとあくびをしてる

      • 水槽

        普通であろうとすればするほど ここは水槽の中 美しく見える世界は 硝子の向こう側にあるようだ 届きそうで届かないし 壊せば生きて行けぬ 同じことは正しくて 同じなら許される 何が違って 何が罪なのか ここから見上げる空は同じなのに

        • ゴースト

          代わりがきくなら 代わってほしい 本物より本物らしく生きられるのなら きっとあの子もそうだったのだろう 代わりがいたから 安心して 偽物だらけの世界にさよならを

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        • 鬱短歌
          12本

        記事

          湧き水

          体の中から 湧き 沁み出てくる それが何かわからず もどかしさに耐える 陽の傾き 終わる季節 降り続く雨 弔いのニュース 悲しみでもなく 苛立ちでもなく 不安でもなく 焦りでもなく 其れは 諦念に似た

          alcoholic

          何がそんなに悲しいの? ぼくときたら 見るもの聞くもの愉快でたまらず 口を開けば歌に変わるし 歩けばダンスのステップに 悲しみなんて揮発の彼方へ 滑空路はどこだ どこまででも飛んでいけるよ さあその燃料を ぼくの脳にぶち込んでくれ 幸せなんて ゲロまみれでその辺に落ちてる

          蜃気楼

          わたしはいつも揺らいでいる なんのカタチにもなれない 真っ直ぐに進んでいるつもりで 大きな回り道をしていたり 正解がない答えを 延々と探してしまったり 単純な話を 複雑にしてしまったりする 目の前の煌めく世界の鮮やかさは ある日突然色彩を失って見え 物事への探求は真髄を極める前に飽き 欲しいものは手が届くまでに諦めてしまう いまになって益々 自分の所在なさを憂うが 何にも交われず 混ざることもせず 何事も為さず ただ蜃気楼のように 揺らぎ佇

          鬱短歌 その12

          泣き暮れて 鏡に映る腫れ瞼 そういえば似てる今日の夕日に

          鬱短歌 その12

          水漏れ

          君の中の悲しみが甚だ 流れ込んでくるからさ どうにもいたたまれなくなって 飛び出してしまった 汲んでも汲んでも すぐに溜まってしまうんだ あんなに可愛い笑顔を見せてくれたから すこしの水漏れなんて 些細なことだと思っていた 二人とも溺れてしまう前に いっそ魚になれる術を身につけてこよう シュノーケルを置いていくから もう少しだけ待っていて

          花占い

          花弁を 一枚また一枚と毟り取る 花は儚くもはらはら落ちる いかにも身勝手な見立て すべては なにかの犠牲のもとでの 世の理 幼き頃にはまだ知る由も無い

          初秋

          歯が痛むような秋の寂しさ 前触れもなくしくしくする 古い木造の廊下をひたひたと裸足で歩くような ただ静謐で重い ふと身を任せると いつぞやの記憶を彷彿とさせる 匂いまでがして どこに進んで良いのやら 迷い子のような心持ちになり 日暮れの風に身震いして 我に帰ると 鳥たちの帰る場所に 私も帰りたいと思う

          ジョーカー

          要らない情報が多すぎる その口に鉛を注いで固めていいですか 私はステルススーツに身を包み 不必要悪との闘いに忙しいのです 加えて 耳年増な子供らを 厨二病な大人達から守らなければなりません 世界は混沌として 都市伝説はまことしやかに流布されている 大切なものが何も見えていないその眼を ボウガンでぶち抜いていいですか

          ジョーカー

          潜水魚

          どうやら相手は 沈黙に窒息しそうらしい わたしにはまだまだ深く潜れる余力があるのに 肺は潰れ 骨はへしゃぎ 眼球は飛び出ても あなたの罪にされたほどの 心への痛みは感じない いくらでも深く潜って あなたが粉々になる様を 見届けてあげる

          ポップコーン

          満を持しての爆発 硬派な彼らが 熱量が故に 普段とは似ても似つかぬ その己を曝け出す 一斉に我れ先へと発砲音を鳴らし 空へ舞い その変容した肢体を見せつける 存在感の増した彼らの あふれんばかりの情熱を 我は むんずと掴みやおら頬張り しばしの享楽に浸るのだ

          ポップコーン

          刹那奏(せつなそう)

          終点ですと 誰かの声が聞こえた 目を開けると そこはもう 終着駅で なんと見事だろう 満点の星空から 星たちは次々と落ちてきて ちりんちりんと 可愛い音をたて地面にぶつかり響くのだ あちらこちらに光を撒き散らすが すぐに消えてしまうので この手には掴めない 始発まではあとどのくらいだろうか 新たな出発などせずに このまま星たちを 悼んでいられたらいい

          刹那奏(せつなそう)

          何度でも

          花の名前と魚の名前が覚えられない私は 何度も繰り返し貴方に尋ねる 何度も嫌がらず貴方は答える きっとまた私は これからも聞くだろう 忘れることで知ることもあるのだ 貴方への深まる想いを

          何度でも