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ゆっくり読みたい自分用マガジン

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2023年10月の記事一覧

短編小説『ネオシーダーを吸ってたのは誰だ?』

短編小説『ネオシーダーを吸ってたのは誰だ?』

※今回はいつものショートショート小説ではなく、この物語はノンフィクションです。実在の人物・団体・事件と、すべて関係してます。
2023年10月9日に芸人の楽屋で起こった事件、事実を元に、ほぼそのまま小説にしてます。全部で三章あります。お楽しみください。ヒィア。

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『ネオシーダーを吸ってたのは誰だ?』

【第一章〜気になりだしたら止まらない〜】

これず

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童話/動物たちの夜

童話/動物たちの夜

 夜空に輝く星たちは、自分がいままでに食べた動物たちの目らしいです。
 自分がどれだけの動物を食べたのか、もう数えきれないほど食べています。
 昨日も食べました。
 あの右のほうに二つならんでいる星が、昨日食べた鶏の目かもしれません。そう思うと、肉髭をふるわせながら、朝を告げるその姿さえ夜空に浮かんできます。
 わたしの左手に鼻先を押しつけるようにして、この地球上でもっとも愛すべき犬種であるジャマ

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#ライトノベルと聞いて最初に浮かんだ1作 リスト(完全版)

#ライトノベルと聞いて最初に浮かんだ1作 リスト(完全版)

 こんな形ではじまった、タグ企画。

 先日こちらの記事でもお伝えした、

 現時点(10月7日)で、197作品、みなさまよりライトノベルをご紹介いただきました(※複数タイトル挙げられたものも含む)。Xにも三回目集計まで、まとめたものをポストしているのですが、こちらにも記事として、リストを残すことにしました。これをもって、私の「#ライトノベルと聞いて最初に浮かんだ1作」リスト作りは最後になるかな、

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『果てなき蒼氓』:おすすめラノベ

『果てなき蒼氓』:おすすめラノベ

こちらの呼びかけに参加してみようと思います。

水樹和佳子さん(イラスト担当)については、イティハーサを発火点とした記事で触れました。

一般的、ライトノベルとしては「重め」かもしれません。入りやすい作品ならば以下のランキングが参考になるかと。

谷甲州さんの文章に水樹和佳子さんのイラスト。このふたつが醸し出す独特の雰囲気。是非味わって欲しいです。イラストが多く、文体にリズムがあって、ファンタジー

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コイン・チョコレート・トス/1.0グラム

コイン・チョコレート・トス/1.0グラム

まえがきからどうぞ。

宙を舞うコインチョコ。
y=-3x²の放物線。

白い天井の少し下を最高到達点とし、コインチョコは私の手に落ちてきた。
私はそれを両手で優しくキャッチする。
手乗りインコみたいにちょこんと左手の手のひらに乗るコインチョコ。

私が見えないように右手で隠してしまっているから、本当のところ、手乗りインコみたいに乗っているかどうかはわからないけれど。

私はそおっと、手の中を確認

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二の坂

二の坂

短編小説+写真

◇◇◇

 一眼レフのカメラを買ったばかりの頃、写真を撮ることが面白くなり、休日になるとどこへ行くにもカメラを持って出掛けるようになった。

 砂漠色のカメラバッグを肩から提げ、頭にはグレーのハンチング帽を乗せて、市内の公園で桜を撮っていると、顎に無精髭を伸ばしていたせいもあったと思うが、通りがかりの小学生らから、「すげっ、戦場カメラマン」と声をかけられた。そんな時代だった。

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宇宙お犬

宇宙お犬

 石旅さんは、森の中にある小さなお家に暮らしています。
 好きなのは、夜の空をじっとながめること。毎日、必ず流れ星が見つかります。
 町の人たちはその話を聞くと目を丸くして驚きました。そして決まって、流れ星がそんなにしょっちゅう、見えるはずはないと言うのです。
「ほらふき」と、笑われたり。
「うそつき」と、怒られたり。
 僕はただ、みんなと美しい流れ星の話をしたいだけなのに。石旅さんはすっかり、し

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小説『GRACE✨わたしの推し活①』(note1000本投稿記念)

小説『GRACE✨わたしの推し活①』(note1000本投稿記念)

仕事帰りの夕飯の買い物途中、肩にかけたバッグの振動に気がついた。スマホを取り出してみると、数ヵ月ぶりに見る成美からのラインだった。
「由香、来週の土曜日空いてる?」
自分のために缶ビール2本と海老とサラダのトルティーヤ、そして息子の宗介の好物であるトンカツ弁当とコーラの入ったカートを人の流れの邪魔にならない場所へと移動して由香はすぐに返信を打った。
「久しぶり!成美は元気してるの?ランチのお誘い?

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童話「ユニコーンのなみだ」(#ウミネコ文庫応募)

童話「ユニコーンのなみだ」(#ウミネコ文庫応募)

 では、時間をほんの少しまき戻しましょう。
 そんなことができるのかですって?
 もちろん、できますよ。胸に小鳥を飼えばいいんです。
 ぱたぱたと想像力の翼をはばたかせさえすれば物語の世界では、どこにだって飛んでいけるし、勇者にもお姫様にもドラゴンにもなれるし、どんなこともかなえられます。
「ほら、こんなふうに」
 そういって、月から落ちてきた黒猫はふふんと鼻を鳴らし、指をぱちんと鳴らすと、回転

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オオワシのサチ|童話(#ウミネコ文庫応募)

オオワシのサチ|童話(#ウミネコ文庫応募)

「おーい!」

 呼ばれて目を開けると、顔の上に大きな白い羽がふわりと落ちた。寝てる時に僕の上を飛ばないでって、いつも言ってるのに。羽をつまんで上半身を起こすと、オオワシのサチが本棚の上から僕を見下ろしていた。

「いつまで寝とんねん! もう8時やぞ! ホンマにだらしない奴やなぁ」

 こうして猛禽類に起こされる日々を、もう7か月も続けている。

「そりゃ寝るよ。仕事休みなんだから」

 僕は再び

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王子のばら【#ウミネコ文庫応募】

王子のばら【#ウミネコ文庫応募】

 すみれ色の瞳をした、それはそれは美しい王子は、今日も、見合い相手の心を踏みにじります。陶器のようになめらかで白い肌に、とてもよく映えるばら色のくちびるを、醜く歪めます。ほら、となりの国から来た可憐な王女が、がっくりと肩をおとして、国へ帰っていきますよ。

「王子さま、わたし、あなたさまの絵を描いてきましたのよ」

 黒髪の王女が心を込めて王子の姿を絵に描けば、

「なんて気味が悪いんだ。そんなも

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【創作童話】わんこ

【創作童話】わんこ

「ママー! わたし、わんちゃんがかいたい! かってもいい?」
通園バスからとびおりるなり、わたしがさけんだものだから、ママは目をまるくした。
「いきなりどうしちゃったのよ、まゆ」
「あのね、さきちゃんちに、こいぬがきたんだって。すっごくかわいくって、おりこうなんだって!」

ようちえんで、となりのせきのさきちゃんが、いぬの絵をかいていたのだ。ちゃいろくてかわいい、こいぬの絵。
「なまえはチャミって

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【ウミネコ文庫応募童話】 靴をつくる男

【ウミネコ文庫応募童話】 靴をつくる男

小学校3年程度以上が読める内容(高学年以上推奨)と考えていますが、ルビは小学校で習わない漢字と特殊な読み方の熟語等にのみ振りました。
小学校で習う漢字であえて平仮名を使用している言葉も多くありますが、そのあたりのバランスは、あくまで「私の中の童話イメージ」によるものです。

1頁44字×28行の文字組を意識して書きましたので、スマホでは読みにくい部分もあると思います。
どなたかが挿絵を入れてくださ

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真夏なのに、春うららだった  『神様の近くのタクシー運転手さん #01』

真夏なのに、春うららだった 『神様の近くのタクシー運転手さん #01』

7月から一人旅をたくさんしている。

「やりたいことをやれるようになるには、まず1ヶ月以内に行きたい場所に行くと決めて、実行するといいよ。そうすると自信がつくから。できるだけ遠くね。お金や時間がないって思うかもしれないけど、案外なんとかなるから」

友だちの「青ちゃん」の言葉を信じて一人旅をしてみたら、本当になんとかなった。味を占めた私は、日本各地の気になる場所に行こうと決めた。

旅の目的地は、

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