穂音(ほのん)

ちょっとおかしな世界を書きます。犬猫鴉の集う「ミズ・ミステリオーザ」、侘び寂びじんわり…

穂音(ほのん)

ちょっとおかしな世界を書きます。犬猫鴉の集う「ミズ・ミステリオーザ」、侘び寂びじんわり「長夜の長兵衛」など。 白いお犬はいつだって創作のヴィーナス。 オリジナル曲「夢の香り」「hermosa - a piece of harmony」各社より配信中

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  • 穂音のお好み焼きー掌編

    【短編小説】シリーズ化していない、独立した掌編を入れています。お好みのものがあったら嬉しいです。

  • 長夜の長兵衛 七十二候シリーズ <短編小説>

    長夜の長兵衛 二十四節気シリーズに続き、七十二候のシリーズです。 短編の連作です。読み切りですので、どこからでも、お読みいただけます。全部地の文で出来ているこの世界は、一体いつ、どこなのか、どうぞお好きなところへトリップしていただけましたら。

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    「見えなくてもいい、いまそこにいる。信じて感じるのだ!」をスローガンに活動するこびと部が運営する図書館です。 こびと部はゆっくりのんびり各自のびのびをモットーに活動しております。

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    2023年・春ピリカグランプリ、記事収納マガジンです。

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花畑お悩み相談所 プロローグ 

プロローグ  寝る前にスマホを見ないのは、良い眠りのためのお約束だそうだ。  そう言われましても。若い頃からずっと夜型で、寝室へ向かう前に最後のメールチェックをしてしまう。退職した今でも、その習慣は変わらない。富原律子は老眼鏡をかけると、スマホの画面をタップする。  深夜のリビングに、かすかな金属音が届く。家の前の空き地に、マンション建設が始まっていて、今夜は突貫で電気工事をすると知らされていた。  律子の耳からその音がすっ、と消えた。  息は小さく、浅くなり、自分でも手が

    • 藤井風さんのライブ配信、誰でも見られるらしいと、ついさっき聞きました。 https://www.youtube.com/live/TELFpTs29Ag?si=VGTp0Hm5cXiyHfgp これ見ながら桃太郎読もうかしら!! 月曜4じまでアーカイブもあるらしいです

      • 善良の果て #白4企画応募

         好奇心。  知的生命体にとって、不可欠なものではないか、とわたくしは思います。  五つの自由、ってご存知でしょうかしら。  好奇心を満たす、という正常な行動をできる生活。そのためにはどうしたら良いのか考えまして、わたくしは野良犬であることをやめ、人間の庇護下に入ろうと思いました。もちろん、お相手は善良であることが必須です。わたくしの選んだおじいさんは山へ柴刈りへ行き、おばあさんは川で洗濯をする、その程度には真っ当でした。  なにも贅沢な暮らしを求めておるわけではありません

        • 校長先生、のこと

           松岡正剛さんが逝かれた。  ガラン、と心の奥に音が響いた。  わたしはISIS編集学校の卒業生で、松岡さんは校長先生。  編集、というとつい本や雑誌のことを思い浮かべてしまうが、松岡さんの考える編集とは、もっと広い。情報の扱い方、そのものなのだと思う。  決して書き方の学校では、ない。  以前、したためた編集学校のこと。    世田谷の編集工学研究所にはものすごい量の蔵書がある。卒業で訪れた日に、福袋のように放出されたものを一袋求めて帰った。ガチの化学の教科書のような

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        • 俳句を詠みたくなりまして
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        記事

          長夜の長兵衛 蒙霧升降 (ふかききりまとう)

          細小波  朝が早いと、もう、霧が出る。木々の息遣いと共にそこいらを漂っておる。  安兵衛の供をして、銀兵衛は峠のてっぺんにたつ。  このところ心が晴れぬ。何をしくじったわけでもないが、どうも調子が狂う。金兵衛の弟子が己ひとりであったなら、感ずることはなかった、些細な違和感。  もう一人の弟子、長兵衛の振る舞いが心から離れぬ。驚くほど、ものを識らぬかと思うと、たれも気付かぬところで心憎い働きを見せる。  わたしは、器が小さいのであろうか。  いにしえに霧の香という菓子があっ

          長夜の長兵衛 蒙霧升降 (ふかききりまとう)

          超ド級ラインナップ、きたる! #文学フリマ大阪12 ウミネコ制作委員会 「か-25」

           暦の上では秋、  ついにこの時がやってきた。  ウミネコ制作委員会より公式動画完成のお知らせでございます。  思えば、小雑誌ウミネコ第一号、から始まりました。記念すべきこの号を、お持ちでいらっしゃいますでしょうか。残り、わずかでございます、今がチャンスです。  敏腕編集長と、ご参加の皆さまと、声援に支えられて、超ド級ラインナップを擁するに至りました!  ささ、ご覧になってくださいまし。    当日は、dekoさんとわたくしとが、お店にて待ち構えてお待ちしております。

          超ド級ラインナップ、きたる! #文学フリマ大阪12 ウミネコ制作委員会 「か-25」

          長夜の長兵衛 寒蝉鳴 (ひぐらしなく)

          踊  ひぐらしが止んでしばらく、群青色があたりを支配する。  金兵衛の屋敷では、久兵衛が縁側に胡座をかいて雲のぼんやりと白い流れを眺めている。  蝋燭から提灯に火を移すと、金兵衛は幼馴染の隣に腰をおろした。なにを語るでもない、ただ、静かに過ごす。  青の色はそろそろと濃く、風はやさしくなる。  やもめ二人、今宵ばかりは酒を呑まぬ。  りーん。  おりんの響きが透きとおり、空はいよいよ深くなる。  仏壇の前で手を合わせていた銀兵衛と長兵衛が無言のままするする、と庭へ降りた。

          長夜の長兵衛 寒蝉鳴 (ひぐらしなく)

          ライカに出逢った日のこと…と文フリ大阪の宣伝

           こちらへ行ってまいりました。  はしもとみおさんのことを知ったのは数年前、X(旧twitter)だったと思います。一度、本物を見たいと思っていましたが、ついに願いが叶いました。  しかも写真撮影OK、一部は触ってもOK。  ほんの一部ですがご紹介を。猫さんも、イグアナも、海の生き物もたくさんいたのですけれど、ここはお犬ということで。  ちなみに、ヘッダ画像で座っているのは、会場にあったガチャで買ったホッキョクオオカミ、です。わたくし、お犬のフィギュアはお求めいたしませんの

          ライカに出逢った日のこと…と文フリ大阪の宣伝

          長夜の長兵衛 涼風至(すずかぜいたる)

          溝蕎麦  雲の行き先を眺める。  空の高いところで、夏と秋が行き合うて何やら話でも交わしたものだろうか。朝夕の風がほんの少しだけ色を変えたように、久兵衛には思われるのである。  こうして水を打つのも、もうあとしばらくのことかもしれぬ。  柄杓と桶をしまうと、すぐ近くに住まう、幼馴染にしてやもめ仲間の顔でも見に行こうか、と思う。  おーい、金兵衛、おらぬのか。  つい先ほどお出かけになりました。弟子の長兵衛が、勝手口より姿を見せる。  そうか。そんなら長兵衛よ、ちと付き合え

          長夜の長兵衛 涼風至(すずかぜいたる)

          夏、とも、だち #シロクマ文芸部

           夏の雲がむくむくするみたいに、私の中には楽しいが溢れてた。つい三秒前まで。  ノリコってそんな人だったんだ、と言われてポカンとなる。何のことって聞き返す。 「あのさ。ノリコは今、あたしといるじゃん」  出張でこっちに来た同級生のアミと、久しぶりにごはんを食べにいこうとしているのだが。 「なのに他の人と話したりするタイプ」  さっぱりわからない。さっき、サエに出会った時のことを言っているのだろうけど。 「ノリコ、偶然だねえ」 「わあ、サエ。こちらはアミ。これからサエが教えてく

          夏、とも、だち #シロクマ文芸部

          長夜の長兵衛 大雨時行(たいうときどきふる)

          糸蜻蛉  土の匂いがたちのぼったかと思えば、雨粒が地面を叩きつけ始めた。みるみるうちに、先を競うように庵の庇から水が落ちてゆく。  よう育った入道雲は、こうして雨に変わる。暑い暑いといいながらも、たがうことなく季節は巡る。  ほどなく、蜘蛛がほっとしたように姿をあらわし、草木をすべりながら水が光る。源兵衛は隣に建てた染め物小屋へと向かう。早々に反物屋ののれんを譲り、道楽の染め物に没頭する日々である。  おやまあ、長兵衛さん。  しばらくぶりの夕立にございましたな、源兵衛さ

          長夜の長兵衛 大雨時行(たいうときどきふる)

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          空蝉と眺める先よレモネード

          空蝉と眺める先よレモネード

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          絵しりとり 

           これ、何かの間違いかしら、と思っているフォロワーさま。  たしかに、これはあたいの記事でございます。  問答無用で描けないのさ。  楽しそうすぎてつい、出来心ってやつなのさ。  はそやm画伯の次に描いちゃうなんて、大胆すぎるわ、あたい!  夏の冒険!  あまりにできないので、写真見て練習してから、そのあと何も見ずに描きました。どうよ渾身の一作よ!  多分、あってると思うのですけれど!  誰かにつながりますように。  はじめまして、カンナさん。おかげさまでン十年ぶりに

          創作大賞、応募するのも、読むのも、感想書くのも、とっても燃えました。昨年よりずっとずっと楽しい気がしているのは何でかしら。たくさんの作者さんと交流できたからかしら。高校の文化祭とか体育祭とかが終わるような、焚き火を囲んで歌ってしんみりするような気分です。皆さま本当にありがとう!

          創作大賞、応募するのも、読むのも、感想書くのも、とっても燃えました。昨年よりずっとずっと楽しい気がしているのは何でかしら。たくさんの作者さんと交流できたからかしら。高校の文化祭とか体育祭とかが終わるような、焚き火を囲んで歌ってしんみりするような気分です。皆さま本当にありがとう!

          長夜の長兵衛 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)

          日向水    峠を下ってくると風が小さく、重たくなる。じい、じいと絶え間ない蝉の声に合わせるように肌が灼くる。  この夏一番かもしれぬ。地面から立ちのぼる熱がゆらゆらと、やぶりとられた紙切れのように舞っている。むっとするような土熱れ。  長兵衛の後ろで、乾いた埃が小さな渦を描いては落ちる。  ご苦労さんだったね、長兵衛。  屋敷へ辿り着いて、あずかった書き付けを渡すと、大家の金兵衛が冷ました白湯と梅干しを勧めてくれる。  さっぱりしていけ、日差しが強い日は、これに限る。勝

          長夜の長兵衛 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)

          三十連発、やけどするぜ! <後半> #創作大賞感想

           前半はこちらから    やけどしそうに熱い作品の数々、引き続きいってみよう!   作者名五十音順です。長くなったので二つに分けまして、今回は後半をご紹介。 ナアジマ ヒカルさん  落語、って実際に聴きに(見に)行ったのは片手くらいの回数です。あと、たまにテレビで。それが、この物語のおかげでグッと身近にやってきました。主人公の若手落語家が、身からでた錆を落としながら歩んでいくさまは、まんま落語の噺になりそうです。知らず知らず主人公を応援してしまい、自分がタニマチになっ

          三十連発、やけどするぜ! <後半> #創作大賞感想