高野和明『踏切の幽霊』(文藝春秋)【読書メモ】
一九九四年の終わり、元新聞記者で現在は女性誌の取材記者をしている松田は、下北沢の踏切で撮られた心霊写真を取材することになり、やがて知るそこで起こった事件に足を踏み入れていく。ということで本作は妻が死んだことをきっかけに、ぽっかりと心に穴の開いたような気持ちで日々を過ごす記者を主人公にした、ファンタジックな雰囲気の現代サスペンスです。ファンタジックな雰囲気、と書きましたが、内容はかなりシリアスで、悲惨の結末を辿るしかなかった人間のやるせなさが描かれています。ただ矮小な言葉のみ