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記事にて感想を書かせていただいた作品

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自分の記事内で感想を書かせていただいた記事です。批評禁止・言及されたくない方は、伝えていただければ幸いです。 感想本文はhttps://note.com/ryose/m/mcb5…
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記事一覧

BUMP OF CHICKENが歌う「強さ」と「強がり」の境界線

人の強さってなんだろう? 頭の隅にずっとありながら答えが出なかった問いだ。誰かの言葉で簡…

Mica
4年前
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光を待つひと #ナイトソングスミューズ

駅のホームのへりに立ち、遠ざかっていく電車の後ろ姿に手袋をした親指をあてる。羽虫でも押し…

七屋 糸
4年前
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【小説】漁村の女 #磨け感情解像度

私の腕の中では、ショールにくるまれて今年産まれた娘の真里が眠っている。夫が運転するレンタ…

上田聡子
4年前
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かなしみの音色

ある秋雨の日、十七歳のわたしは音楽室でピアノを弾いていた。ドビュッシーの『夢』だ。窓に流…

残像とポストカード

人との出会いを、簡単には言葉にしたくない。 「○○さんのどういうところが好き?」「あなた…

あおやぎ
4年前
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漢たちの挽歌

人の数だけ美学がある。 僕自身が高校生の時からずっと言っている 「マヨネーズをかけないカ…

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今夜も白い壁じゃなくて、顔を見て眠りにつきたかった

この世でいちばん哀しい光景は、眠りにつく前に見る目の前の白い壁だ。 桜の季節に初めて一人暮らしをした部屋は、お世辞にも広いとは言えないワンルーム。バストイレ別ということだけが自慢な、けれどすきなものだけを集めた小さなそのお城は、雪の降る頃にいつしか二人暮らしに変わっていた。 狭い、ということは近い、ということで。 気配につつまれた濃密な8.5畳は、どこにいてもふたりがいて、どこにもいけないほどふたりしかいなかった。 炊くお米の量が増えて、洗濯の回数が増えて、帰ったときに

『線路』

日が長くなったのと、このところ感染症が流行している影響で、明るいうちに帰宅することが増え…

ケイ
4年前
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ミッドナイト・イン・インド

「この店の扉を開くと、あの日に戻れる」 え?何がって?もちろん開いただけでは何も変わらな…

【小説】潮騒の家

高校生の私は、海が好きだった。実家は漁港のそばにあり、夜自転車を押して塾から帰るとき、い…

上田聡子
7年前
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短編小説 『アストロノーツ』 #同じテーマで小説を書こう

この作品は杉本しほさんの企画「#同じテーマで小説を書こう」に参加しています。 テーマは「ブ…

い〜の
4年前
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短編小説 『ガールフレンド』

この小説は杉本しほさんとのコラボ小説です。 コラボテーマは「踊り狂うパスタ」 ーーー 今…

い〜の
4年前
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とうとうバレた。「noteで変な小説書いてますよね? 」と後輩から言われてしまった。

「私ね、実は知ってるんですよー」 「何の話? 」 「先輩、noteで変な小説を書いてたりします…

家路

運賃箱に小銭を入れて、路面電車から降りた。しっとりと水気を含んだ空気が頰に触れ、ああ、着いたんだ、と気づく。 リュックサックを背負い、暗い夜道をゆっくりと歩いていく。十年以上前、毎日のように歩き、毎日のように走った一本道だ。 とぼとぼ歩いた。すたすた歩いた。嬉しくて走った。悔しくて走った。どうでもよくなって走った。どうでもよくないから走った。 田畑に囲まれていたはずの脇道には、住宅が何軒も建っていた。 すぐ横を、ひとりの少女が駆け抜けていく。 月 静寂に包まれてい