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記事一覧
数字と物語②──群と個、あるいは操縦士の眼差し
「数字と物語」を色々のレンズ越しに眺めてみたい。もとは芸術と技術、自然科学と人文科学、論理と直観、有用性の問題の切り口を思い浮かべていたが、今日は少し迂回して、サン=テグジュペリの『人間の土地』で描かれている言葉をたよりに、これを考えてみたい。
『人間の土地』の冒頭に、「地理学者」と「操縦士」の眼差しの対比、とでもいえるモチーフを覗き見ることができる。一般的な知と個別の感覚、または「群」と「個」
数字と物語①──再現性と一回性の波打ち際
「はかどる」と「はかない」「はかどる」と「はかない」──それぞれ「仕事の効率」と「無常の美意識」に紐づくふたつの言葉は、実は「はか」というおなじ概念でつながっている。
はか、という言葉を辞書で調べてみると、「時間に応じた、仕事の進みぐあい」とある。もとは稲を植えたり刈ったりするときの田んぼの一区画のことをいったそうだ。どれだけの米がとれるのか、どれだけ能率的か。「はか」は、なにかを「量る」ことを
続・問いの因数分解|問いの探索先のバリエーションと制約の効用
イノベーションプロジェクトやワークショップデザインにおける「問いのデザイン」の性質を方法を検討するなかで、以下の記事では「問いの因数分解」という考え方を紹介し、そこから見えてくる問いの基本性質を5つにまとめました。
<問いの基本性質>
1. 「問い」は、いくつかの「前提」「制約」「小問」によって構成される
2. 「小問」は、問われた側に対して、なんらかの探索を誘発する。
3. 「制約」は、「探索
コンテクストデザインとは
コンテクストデザインとは、それに触れた一人ひとりからそれぞれの「ものがたり」が生まれるような「ものづくり」の取り組みや現象を指す。換言するならば、読み手の主体的な関わりと多義的な解釈が表出することを、書き手が意図した創作活動だ。
もともと現代的なデザインは産業革命以降の大量生産・大量消費を背景に成長してきた。それは、特定の使い手を一意に想定し、特定の問題を解決するためのものだ。
デザインはふつ
問いの「因数分解」から見えてくる、問いの5つの基本性質
拙著『問いのデザイン』では、複雑な問題の本質を見抜き、適切な課題をデザインする方法から、実際のファシリテーション場面の具体的な問いの設計まで、体系的に解説しました。
その中でも、書籍の後半で紹介している問いのミクロな性質分析が、マネジメントの目標設計やミーティングの問いかけなど、さまざまな場面で有用です。
問いを"因数分解"するという考え方ファシリテーションの場面で実際に投げかける「問い」の基
WITH コロナ時代のこれからの見通し
過小評価から過大評価へ3/12-13日が株式市場の最悪期であったと判断しています。ただし、それは新型コロナウイルス(以下コロナ)が収束したというわけではありません。むしろ逆です。
世界の株式市場の中心は米国です。日本株も欧州株もある意味米国の株式市場の派生商品的な位置づけになっています。なので米国の株式市場の動向がもっとも重要だと思っています。米国の株式市場は当初新型コロナウイルス(以下コロナ)
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』図解
どうも、きょんです。
今回は『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』という本について図解しました。
▼本のリンク
この本、だいぶ前にも読みましたが、改めて読み返してもとても面白い、非常に示唆に富む内容です。しかも読みやすい。
せっかく読んだので、内容を自分なりに整理してみました。
以下、図解です。
図解は以上です。
ちなみに、この図解を光文社さんに注目していただき、本書をわか
リスクよりも責任を恐れる日本人:正しい失敗を許容する社会へ
スタートアップ界隈、しかも海外と接点が多いと、「日本人はリスクを取りたがらない」という話をよく聞きます。何事にしても決めるのに時間がかかるし、革新を求める割には前例の無いことは躊躇する。確かに、他国と比べて、リスク回避の傾向が強いように見えるかもしれません。ただ私は、日本人は別にリスクを嫌う国民だとは思っていまん。むしろ、日本に住んでいる人達というのは、世界的に見てもかなりのリスクテイカーだと思い
もっとみるなぜ「問いのデザイン」なのか
2015年頃から「問いのデザイン」を一つのキーワードに掲げて、研究会や講座イベント、さまざまなプロジェクトを実施してきました。次第に外部企業様からお声がけをいただくかたちで「問い」を題材にした研修やセミナーなどの機会も増えてきました。
"問いのデザイン"というテーマに対するニーズの強さを感じると同時に、一口に"問いのデザイン"といっても現場によって指し示しているもの(要望のレイヤー)が異なると感