1953年から続くドイツの国際デザイン賞 iF Design Awardはデザイン界のオスカーとも呼ばれる。2018年は世界54カ国から6400点を超える応募があった。ハンブルグ市に63名の審査員が集い3日間審査をする。日本からの審査員はSONY Interactive Entertainment のシニアアートディレクター森澤さんとTakramから私の2名。
会場であるハンブルグはドイツ第二の都市で、大阪と姉妹都市、横浜港と姉妹港(姉妹港という言葉をはじめて知りました)。
読書リスト3『雪を作る話』と、天ぷらの語源。
2017年初夏のころロンドンにいた。日曜日だったけど仕事が残っていた。午後三時まえ、中庭が見えるバーカウンターに席を取った。曇ったり日が差したりする、空の深呼吸を眺める。晴れ間はまさに呼気という感じで、徐々に強まる光を受けるたび、水面や菖蒲、苔が生き生きする。
photo by Kotaro Watanabe
何冊かのうちのひとつに、中谷宇吉郎の随筆を携えてきた。雪の結晶の研究で知られる中谷はあるとき、天保時代に書かれた『雪華図説』を探していたそうだ。『雪華図説』には
強い文脈、弱い文脈
ハムレットに登場する有名な台詞 "To be or not to be, that is the question.” は時代によって色々の訳され方をしている。
「世に在る、在らぬ、それが疑問じゃ」としたのは坪内逍遥、1909年。
「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」は小田島雄志の訳で、1972年。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」これは2003年の河合祥一郎訳。
このようなことはよく起こる。ある作品を研究する人のあいだでも、主流とされる解