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大学生作家が、大学生最後の日に物語ること。

ーー最後に、出逢ってくれた全ての人に宛てて。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として、本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

毎月最終日には、誰の目を気にすることなく、自分の過去のことをつらつらと物語っているんです。

今日は3月31日。3月の終わりであり、今年度の終わりであり、僕にとっては大学生の終わりでもあります。そんなわけで、いつも以上に気合いが入っているし、心なしか緊張しているんですが、今日も今日とて綴っていきますね。

今回は「大学生作家が、大学生最後の日に物語ること。」というテーマで話していこうと思います。


📚「間違い」から始まった

僕の大学生活は「間違い」から始まりました。

中学2年生の頃から、僕は学芸大学を第一志望校に掲げていて、特に高校3年生になってからは受験勉強に励んでいたんです。一時期は模試でA判定を獲るくらいに順調だったんですが、いざ本番、二次試験の試験日を間違えて、受験することすらできなかったんです。

万が一のことを思って出願していた茨城大学の後期日程の試験を受けて、無事に合格して進学することができたんですが、あのときの僕は人生の底にいました。

初めて茨城に来て、初めて一人暮らしを始めて、見渡しても知り合いひとりいませんでした。そのうえ、当時はコロナ真っ盛り。世界中が息苦しい生活を強いられていた頃。大学の入学式はないし、授業は全部オンラインだし、コンパも合宿も文化祭もない。

「やっぱり間違いだったんだな」

僕は大学生活に希望を見出せずにいたんです。

水戸の夜道


📚小説の道を追いかけようと決めた日

コロナ禍だったとはいえ砂漠のような日々を過ごしていたわけでもなくて、ひとつの恋が始まって終わるくらいには充実していました。そのとき付き合っていた人から、「れいくんは小説の方が向いてるよ」と言われたんです。それが、僕のターニングポイントでした。

当時僕は高校時代の友達とYouTubeをやっていて、教育系の動画を毎日投稿していたんです。といっても、進学先がバラバラで、コロナで行動が制限されていたこともあって、稼働していたのは僕ひとり。企画も撮影も出演も編集も全部僕がやっていました。

元カノは僕の小説も、僕のYouTubeも知っていて、それらを比較して、前者の方が良いと提言してくれたんです。

誰でも言える言葉ではありますし、自分でも心のどこかではずっと思っていたことでした。しかし、当時特に信頼を置いていた彼女からそう言われたから、僕の胸に強く響いたんだと思います。

その言葉を握りしめて、僕はYouTubeをやめ、小説の道を追求してみることにしました。結局元カノとは別れたし、一緒にYouTubeやろうとしていた友達ひとりには絶縁を叩きつけたけれど、僕に迷いはありませんでした。

ふたりの関係に名前を付けた日


📚伝えて、届けて。

小説の道を追いかけようと決めた日から、僕は作品を公募に出してみたり、noteに挙げてみたりしたんですが、どうしても手応えを感じることができませんでした。そのさなか見つけたのが「KDP」でした。Amazonのサービスで、これを使えば紙の本を無料で出版できるのです。

もちろん文学賞を獲ってデビューするのも作家への道だけれど、他の選択肢を取ったって夢は叶えられると思い、とりあえず僕は本を出してみることにしたんです。

そこで、初書籍に選んだ物語が『Message』でした。

大学2年生になった僕は、まもなくして20歳になりました。20歳だからこそできることをやろうと決めた僕は、家族に手紙を書いたり、歌のプレゼントをしたり、成人式や同窓会を思い残すことなく楽しみました。そんなステキな思い出をいつまでも忘れたくない。そんな僕のエゴから創られたのが、小説『Message』だったんです。

『Message』

20歳最後に日に出版した『Message』でしたが、まだ無名の作家の本が見つかるはずもありません。僕は自分の手で届ける作業を始めたんです。それが大学3年生の頃でした。

大学の友達、小中高の旧友、お世話になった先生方、イベントで知り合った人……届け続けてきた甲斐があって、今では260冊以上の『Message』を手売りすることができています。

物語を読んでくれて、涙するほどに感動したと話してくれる人もいました。普段は全然本を読まないけれど、『Message』は面白かったと伝えてくれる人もいました。

何の賞も受賞していないし、出版社を通した本でもありません。しかし、僕の初書籍『Message』は、決して少なくない人の心を動かすことができたんです。

気付いたときには、僕は自分から大学生作家と名乗り、本にまつわる活動をするようになりました。

手売りの軌跡


📚「仲間」と「場所」をつくる

大学4年生になりたての頃、僕はとある場所に通うようになりました。住み開きシェアハウス「はちとご」です。

シェアハウスなのでもちろん住人が住んでいるんですが、住み開きという活動をしているので、地域の人たちにリビングを開放しているんです。小学生も大学生も社会人もいろんな人がやってくる場所なんです。

また、からあげ会やウイスキー会、読書会、モルック大会などなど、多種多様なイベントが開かれます。みんなではちとごで待ち合わせて、交流を深めているのです。

初めてはちとごを訪れた日から居心地の良さを感じた僕は、それ以降住人のごとく入り浸っていて、気付けば、店番をやるようになったし、SNSの運用を担ったこともありました。

はちとごの日々

はちとごとの出逢いは、人の縁を広げてくれて、面白い大人たちとつながることができるようになりました。その縁でラジオにも出演したし、作文教室の先生もやったし、一切就活はやらなかったけれど働き口も見つかりました。

特にこの1年間で感じたのは、「仲間」と「場所」をつくることって大切なんだなってこと。「仲間」との絆は、夢を叶える希望の糸になり、孤独から人を救う命綱になり得るんですよね。そんな仲間とつながることができるのが、そんな風に設計された「場所」。あそこに行けば誰かがいる待ち合わせ場所。

すっかりその魅力に魅せられてしまった僕は、これからその可能性も探りにいきます。

僕の働き口「木の家ゲストハウス」のオーナー


📚大学生活に「読点」を

「終止符を打つ」という表現があるけれど、過去と今と未来は地続きなんだから、「終止符」なんて本当はありません。「ピリオド」も「終わり」も「句点」もありません。

あるのは、読点だけ。

大学一年生のときに一緒にYouTubeをやろうとしていた友達に絶交を叩きつけたけれど、大学三年生になって再会して、四年生になってからは一緒に飲みにいきました。そして、同じ夢を抱きました。

10年来の親友たち

「れいくんは小説の方が向いてるよ」と言ってくれた元カノとはなんだかんだずっと仲良しで、卒業式の日も一緒に写真を撮りました。また近いうちに飲みにいく約束もしました。

水のような関係のふたり

コロナで身動きが取れなかった反動でその脅威が落ち着いてからはひたすら人に会いにいきました。たくさん動いて、挑戦してきました。

ビブリオバトルの全国大会に出場したし、卒業研究のテーマである「桃太郎」について1時間かけて物語る「BOOK TALK LIVE "桃太郎"」を開催したし、高校の同窓会の幹事もやりました。そしてその全てを、このnoteで毎日語ってきました。

全ての過ちも、ミスも、しくじりも、そこで終わらせるから失敗になってしまいます。区切っているだけ、読点を打っているだけと捉えれば、そこからの歩み方次第で正解にすることができるんです。

全国大学ビブリオバトル
「BOOK TALK LIVE "桃太郎"」
高校の同窓会

今日で、今月も、今年度も、大学生も終わるけれど、全部ただの区切りでしかありません。

しあわせを感じた瞬間も、涙するほど辛かった夜も、生きる意味を知った日も、全部握りしめて、引き連れて、道なき道を生きていきます。

きっとこれからの永い人生、また人生の底を這うような瞬間が来るんだろうけれど、僕はそこから這い上がる仕方を知っているから、物語の力を借りて、いつか正解にしていきます。投げ出すんじゃなくて、読点を打って、新しい未来を綴っていきます。

もっとたくさんの人に夜明けを連れてくるような人になれたらいいな。そのためにも、人生という物語を変わらず綴っていきますね。明日からは大学生じゃないから、ちゃんと「作家」として綴っていきます。

最後に、出逢ってくれた全ての人に宛てて。

今までありがとう。

これからもよろしく。

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20240331 横山黎








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