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雑記

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2021年6月の記事一覧

馬車道と街



横浜の馬車道を散歩。綺麗な街並みなんだけど、どこか不揃いな印象がある。明治時代のガス灯や建築、ヤシの木、ランドマークタワーなどなど雑多に集っている。

デカルトは『方法序説』の中で、複数の人々によって徐々に変化を加えながら作られる街よりも、ひとりの独断によってすべて作られる街の方が美しい、というようなことを言っている。衛生環境が最悪だったパリを今の美しい姿に変貌させたナポレオン3世を考えればこ

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死と美

死と美。

『鬼滅の刃』で煉獄さんというキャラクターが、こんかことを言う。

老いることも死ぬことも

人間という儚い生き物の美しさだ

老いるからこそ

死ぬからこそ

堪らなく愛おしく

尊いのだ

捉え方によっては対極にあるようにも思える死と美はどのように結びついているのか。軽くこれについて考えてみたい。

仮に、死がなかった世界を想像してみる。その中で人々はどう生きるのだろうか。

思うに

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音楽なくして生きられない!?

大学で音楽の授業を受けていた時に、先生がこんなことを言っていた。

「コロナでコンサートが軒並み中止になったときは本当に死んでしまいそうになった…」

その時の僕は、音楽は好きだったけれど、先生の言っていることは大袈裟なんじゃないかと思った。それは恐らく、自分の中に大切な音楽「らしき」ものしか持っていなかったからだと思う。

ただ、今になって思い出された先生の言葉は、無限の広がりを持って僕の心を

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眠りを豊かに

17世紀の大作で、世界で最も売れている小説であるセルバンテスの『ドン・キホーテ』。3.4ヶ月ちまちま読み進めてようやく読了。

今回はその中から好きな一節を。

まったく、眠りってものを創り出したお人に幸いあれ、と言いたいね。だって眠りは、人間のあらゆる思惑を被い隠してくれるマントであり、飢えを取り除いてくれる食糧であり、渇きを癒してくれる水であり、寒さを暖めてくれる火であり、暑さを和らげてくれる

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専門を持つことの大切さ

YouTubeチャンネル「東大TV」にて、哲学研究者である國分功一郎先生の講座を視聴。

イタリアの哲学者、ジョルジュ・アガンペンを引用しながら、コロナ禍で政府が移動制限を課すことを国民が易々と受け入れていいのか?について論じている。大変面白かったので、ぜひご覧あれ。

動画の後半は質疑応答なのだが、その中にこんな質問があった。ちなみに文脈としては、今までEUに代表されるようにオープンであることが

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十六茶のCM

十六茶のCM

最近お気に入りの十六茶のCM。

澄んだ空気に包まれながら明るい日差しを受けた川沿いで、ガッキーと男の子が語り合う。
きゅうりとトマトのみずみずしさも、味覚ではなく視覚から伝わってくる。

そして何よりも音楽が素晴らしい。ガッキーと男の子のかけ合いの愛おしさを一層掻き立ててくれる。そしてどこか懐かしさを感じさせる清涼な響きが心地よい。

そんな曲を作曲したのはジブリ音楽で有名な久石譲さん。さすがで

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小津安二郎の不思議な力

小津安二郎の不思議な力

何だろう、小津安二郎の映画を鑑賞した後ず〜っと数々のシーンが頭から離れない。紀子3部作を観終えた今、折に触れて数々のシーンが何度も繰り返し思い出される。こんな映画は今までにない。

まるで恋人との思い出の如く、甘く強く胸に刻まれ、また寄せては返す波のように、絶えず離れていっては迫ってくる。

『晩春』で男女が湘南の海岸を自転車で駆けるシーンは、僕の胸の内を明かしているようだ。

今は無き素読教育

今は無き素読教育

先日、小田原にある二宮金二郎の生家と記念館に足を運んだ。

プラプラ見学していると、突然管理人さんに声をかけられ、二宮金二郎について、かなり詳細にご教示賜った。(2時間半くらい付き添っていただけたかな・・笑)

ところで、周知のように二宮金二郎は勉学に勤しみ、数々の村の財政を整えた。ではなにを勉強したいのか?というと、和算や俳句など様々だが、『論語』に肩を並べる中国の四書『大学』を読み込んだらしい

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英語の試験にある独特の雰囲気

昨日はTOEICを受けてきた。先日、しょーもない試験だと一蹴したが、昔から英語の試験を受験する日は、朝から晩まで満ち満ちとした気持ちになる。何を隠そう、英語の試験にある独特の雰囲気がたまらなく好きなのだ。(分かる人、いるかな…?)

正直、この理由はよく分からないが、推測するに、「異世界に行ける」という体験ができるからなのだと思う。

普段、知らない人が一同に会して同じ問題(しかも英語)を四苦八苦

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趣味に貴賎はない!

音楽、美術、文学、映画などが好きというと、何やら高尚な趣味を持っているかのように思われる。それに被せるように「自分は漫画とかアニメにしか触れてなくて・・・」とよく言われる。いやー、趣味に貴賎なんてないでしょ!

漫画やアニメなども上に挙げたものと同じく芸術である。漫画家、作家、画家、作曲家それぞれに表現したいものがあって、その形式がたまたま漫画であり、文学であり、美術であり、音楽であるわけだ。

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理想郷はどこに

遠い昔、東京の街に憧れていた。特に、テレビで見た夕暮れ時に空から見下ろす東京の様子が何とも形容し難いほどに美しかったのは色濃く記憶に残っている。「こんな世界があるんだ。行ってみたい!」と思い、幼い頃電車の乗り方も曖昧ながら、何度か一人で東京に出かけたものだ。

何なら、あれから幾度となく東京に足を運んでいながら、今もその理想は持ち続けている。きっと僕が思い描いている理想の世界は東京にあるはずだ、と

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TOEICを受けるが・・・

今週末TOEICを受けるのだが、わざわざ申し込む必要なんてなかったなと少し後悔している。

人間の評価を数で測る権威制度には疑念があるし、TOEICが扱うビジネス英語が英語界のすべてであるかのように扱う日本の風潮は好きではない。詩や小説、コメディなど英語の世界はもっと広いはずだ。これはTOEIC自体を批判しているのではなく、TOEIC至上主義の日本の風潮が疑問なだけだ。

ただかく言う僕は知らず知

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「分かりやすさ」と「分かりにくさ」

分かりやすさと分かりにくさのバランスが難しい。

なぜか僕は昔から分かりにくいものを好む傾向にある。小学生の頃に山崎豊子の『不毛地帯』を読んだり、中学生で無謀にもニーチェに挑戦したり、今も理解に苦しむ学術書を好き好んで読んでいるし、セリフで多くを語らない映画を好んで観ている。
今ふと思い出したのだが、中学の頃、国語の授業で作文を課されたときに書いた文章が無駄に冗長で難しかったらしく、先生が大変面白

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心の中で、愛おしく思っていることも、表に出した途端、陳腐になる