理想郷はどこに

遠い昔、東京の街に憧れていた。特に、テレビで見た夕暮れ時に空から見下ろす東京の様子が何とも形容し難いほどに美しかったのは色濃く記憶に残っている。「こんな世界があるんだ。行ってみたい!」と思い、幼い頃電車の乗り方も曖昧ながら、何度か一人で東京に出かけたものだ。

何なら、あれから幾度となく東京に足を運んでいながら、今もその理想は持ち続けている。きっと僕が思い描いている理想の世界は東京にあるはずだ、と。

しかし、そんなものに一度も出会えたことはない。何度手を差し伸べても、掴んだと思った瞬間に手元を離れてゆく。理想とはそういうものだろう。

理想なんてまやかしだと思っていても、ついそれを追い求めてしまう。人生は理想の追求の連続なのかも知れない。煎じ詰めると、人は理想なくして生きられないのではないだろうか。

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